9月4日（土）J2 第32節 甲府 vs 川崎Ｆ（19:00KICK OFF/小瀬）
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　前節、鳥栖を相手に5-0と圧倒的な力の差を見せつけた川崎Fは、この勝利によってクラブ記録となる11連勝をマーク。勝ち点を80点にまで伸ばすと共に、下位チームのもたつきもあって11日にも2位以内が確定するという所までこぎ着けている。この甲府とのアウェイマッチは、クラブ記録となる12連勝を賭けると共に、最短での昇格となる11日を目指すこととなる。悲願に向けて着実に階段を上ってきた川崎Fだが、そんな中にあってこの試合に関してはチームの総合力が試されることとなった。

　川崎Fのここまでの快進撃を支えてきたのは、前節までに31ゴールを上げたジュニーニョの個人能力だった。ボールを持つことで複数の選手が対応せざるを得なくなり、それによってまわりの選手の負担が減り、チーム全体の得点力がアップしていた。直接的な得点力に限らず、チームへの貢献度は非常に高いといえる。

　そのジュニーニョだが、前節に今季8枚目となるイエローカードを受けており、この甲府戦から2試合の出場停止処分が下されている。また同じように、左ウィングバックとして攻守に渡ってチームに貢献してきたアウグストも、前節のイエローカードによって累積警告が8枚目に。これによって彼も2試合の出場停止処分を受けることとなっている。

　川崎Fのポイントは、この2人の外国人選手の抜けた穴をいかにして埋めるのか、という点になる。第3クールに入って出番を増やしてきた黒津勝。シーズン序盤からコンスタントに出場機会を得てきた町田忠道といった選手の起用が考えられるが、彼らの働きがジュニーニョ不在のチームをどの程度活性化するのか、注目される。その一方で、中盤に多くのポテンシャルを持つ選手を保有しているだけに、アウグストの損失は割合簡単に埋まるのではと予想するのだが。

　川崎Fは、前節の試合途中に負傷交代した寺田周平の足の状態も気になる。寺田が間に合わないとなると、一気に攻守の要を失うこととなる。そうした状況でいかに自分達の力を発揮できるのかもポイントだ。

　一方首位を独走する川崎Fをホームに迎え撃つ甲府だが、このチームの強みはホームゲームでの高い勝率にある。今季ここまでホームで15試合を消化しているが、敗戦はわずかに2試合のみ。その2敗も、序盤の5節までに集中している。今季の甲府は、スタジアムの芝の改修工事の影響でシーズン序盤にホームスタジアムである小瀬を使えないという事情があった。そのため、2節の川崎F戦はホーム扱いながら松本で試合を開催。芝の改修後初めての小瀬開催となった5節の大宮戦で敗戦しているが、これは開幕からの4試合が松本での試合も含めてアウェイマッチだったという点を考慮すべきだろう。実際、これ以降ホームゲームでは13試合で負けなしと小瀬での勝負強さが目立っている。川崎Fに戦線を離脱する選手が多い今節は、地の利もあって甲府にとっては大きなチャンスだと言えるだろう。

　気になるのは28試合に出場してきた石原克哉が出場停止処分を受けている点。左サイドハーフを務める石原は、その豊富な運動量もさることながら、タテに抜けて上げてくるクロスの精度や、中に切れ込んでシュートにまで持ち込む強引さなど、攻撃面での貢献が大きかった。それだけにこの出場停止は痛い。代わりに投入される選手が誰になるのか。24節以降8試合で連続出場し、2ゴールを決めている藤田健に個人的には注目しているのだがどうだろうか？

　圧倒的な強さを誇る川崎Fを、今季初めてホーム小瀬に迎え撃つ甲府にとってこの試合は非常に重要な意味を持つ試合となりそうだ。J1昇格に向けて、この強敵を下せれば大きな弾みになるだろう。そもそも甲府はJ1昇格のためにはスタジアム改修が不可欠となっているが、まだそのチーム力に懐疑的な県民に対し、強い川崎Fを下すことで与えるメッセージは絶大だろう。

　もちろん川崎Fも、外国人選手がいなければ勝てない、と言われたくはないはずで、激しい気迫で試合に臨んでくるだろう。

　戦力的には拮抗した状態になっていることもあって、お互いに気持ちで負けない激しい好ゲームが期待される。試合の行方が楽しみである。

以上

2004.9.3 Reported by 江藤高志