8月29日（日） 2004 J1リーグ戦 2ndステージ 第3節
鹿島 0 - 1 市原　（18:30／カシマ／13,901人）
得点者：'13 マルキーニョス（市原）
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「2点目をとられない。バランスをとってやっていた。しかしチャンスをあれだけ作って決められなった」(トニーニョ・セレーゾ監督)ボール支配率・チャンスの数などを見れば、試合の主導権を握っていたのは鹿島である。しかし、自分たちで作り上げたチャンスを得点という形で締めくくることが出来なかったことが、この試合の勝敗を決定付けるものとなった。「内容は悪くなかったけれど、結果がついてきていない」（鹿島・新井場）試合後の鹿島の選手は堅く口を閉ざし、足早にスタジアムを後にした。

日本列島に接近中の台風の影響もあり、たたきつけるような雨の中で試合は行なわれた。鹿島のスタメンは、鈴木・バロンの2トップに2列目の両サイドには小笠原・本山が入る。ボランチは中田・フェルナンド。4バックには新井場・大岩・金古・名良橋、GKに曽ヶ端となった。しかし、前半開始早々に名良橋は右ふくらはぎの痛みのため、急遽内田がピッチに投入される。

前半の立ち上がりは鹿島が優位に試合を進め、何度となくペナルティエリアにボールが供給される。中央にバロンがドッシリと構え、鈴木が少し下がって動き回り市原DFを翻弄する。前の2人に加え、フェルナンドが積極的に前線に顔を出すことで市原DFがひきつけられ、本山・小笠原は比較的フリーになることが多く、ポジションチェンジを繰り返しながら、サイドから中央にボールを集める。しかし、中にボールが入るものの、シュート体制に持ち込む前に詰めてきた市原に潰されてしまう。

「鹿島がセンタリングを上げて中に放り込んでくることを想定していたので、そういう意味ではそこをうまくケアできたと思う」とオシム監督にとってはシュミレーションどおりの展開だった。

あと一歩をつめることが出来ない鹿島に対し、市原はやっとめぐってきたチャンスをしっかりとものにする。前半13分、右サイドの工藤が起点となって、坂本が中央へクロス。不意をつかれた鹿島が体制を整える前に、マルキーニョスがヘッドでゴール右上に叩き込み先制点を奪取した。わずかな隙をつかれたゴールに鹿島の選手たちは、雨の中呆然と立ち尽くす。

その後も鹿島は高さを生かし、中央のバロンが一旦落としたボールをつめてきたフェルナンドや鈴木がシュートするも枠を捉えることが出来ない。前半43分に、ゴール前の混戦から抜け出たボールをバロンが角度のない場所からシュート！　という惜しいシーンもあったが、結果はノーゴール。そのまま前半は0-1で市原リードのまま折り返した。

後半に入っても鹿島の攻撃の手は休まることがない。後半25分に金古に代わり野沢が投入されると、中田がセンターバックに下がり、小笠原とフェルナンドがボランチを組む。2列目・3列目からの攻撃の厚みが増すとともに、左サイドバックの新井場が積極的なサイドの上がりを見せて果敢にゴールを狙う。攻める鹿島、守る市原という図は前半同様。しかし、市原のディフェンスは堅く、なかなかゴールを割ることが出来ず、結局0-1で大雨の中の一戦は市原の勝利で幕を閉じた。

90分間通して、鹿島のシュート数は24、市原は12。倍のチャンスを作りながらも決められなかった鹿島。「きれいにやることも大事だけれど、今まではずるがしこさが足りなかった」と市原・坂本がいうように、攻められてはいるものの虎視眈々とチャンスを狙い、わずかな隙を突いた市原の試合巧者ぶりが光った試合だった。

「無失点で終わるのは久しぶりじゃないか。1-0や2-1で勝てることは大きい。今日は自信を得たことが大きな収穫」（坂本選手）接戦を勝ちきることができずに引き分けを量産してきた市原にとって、強豪・鹿島相手に僅差で勝利したということは選手に大きな自信を与えた。

反対に、2ndステージ制覇に向けて連敗だけは許されないと臨んだ鹿島の選手にとっては、生かしきれなかったチャンスという悔いの残る内容だけに、表情は一様に厳しい。バロン・鈴木の2トップは新たな鹿島のスタイルを作り出したが、1stステージ同様、決定力不足に泣いた試合だった。

「優勝するにはもう負けられない。とにかく気持ちを切り替えてやるしかない」（鹿島・新井場）


以上

2004.08.29 Reported by 柴田愛子