札幌の独走かと思われた明治安田生命J2リーグは、終盤にきて再び混とんとした状況になっている。その理由は札幌の失速だ。10月は1勝2分2敗と5ポイントしか加算できず、2位の松本に勝点3差に詰められている。これまでの貯金がモノをいい首位の座を保っているものの、残り4試合で転落する可能性も生まれてきた。
追撃する松本は3勝2分と無敗で乗り切った。ただし連勝はなく勢いに乗り切れているとはいいがたい。勝ち切るしたたかさを身に付ければ、逆転優勝の芽も十分出てくるだろう。ただし、振り向けば5連勝の清水が勝点3差に迫っている状況も見逃せない。追われる立場でもあるだけに、残り4試合はプレッシャーとの戦いにもなるだろう。
その清水は大前 元紀と鄭 大世のダブルエースが好調なのが心強い。第35節の町田戦から4試合連続でアベックゴールを記録しており、連勝街道を突き進むチームをけん引。自動昇格となる2位には勝点3差、首位には勝点6差と逆転優勝の可能性も出てきている。この勢いを維持できれば、奇跡のシナリオを実現したとしても決して不思議はないだろう。
C大阪は勝ち切れない試合が目立ち4位に転落。直近の3試合はすべて引き分けと失速気味で、自動昇格が厳しい状況に追い込まれている。現実的に逆転は難しく、残り試合は出場を決めたプレーオフを優位な立場で迎えるために「より良い順位を目指す」戦いとなるだろう。
岡山と京都はプレーオフ進出圏内の確保が最大のテーマとなる。ともに勝点63で、7位の町田と8位横浜FCとの勝点差は8(7位の町田はJ1ライセンスがないためプレーオフには出場できない)。セーフティーリードを保っているが、逆転される可能性はゼロではない。とりわけ10月に1勝しかできなかった岡山は踏ん張りどころ。まずは6位以内を確定させ、プレーオフへの準備を進めたい。
町田は3勝を挙げて7位をキープ。一時は勝てない時期もあったが再び立て直し、昇格1年目にして最後まで上位争いを演じられたのは自信となったはず。残り4試合、来季につながる戦いを示したい。横浜FCはプレーオフ進出に望みをつないだ。勢いが失われていたなか、直近の2試合で連勝を実現し、残り4試合での逆転を目指す。
9位の愛媛は10月を無敗で乗り切ったが、4引き分け。リーグ最多の20引き分けと、シーズンを通して勝ち切れない戦いが続いている。徳島は粘り強く勝点を拾って10位にまで順位を上げてきた。逆に山口は、10月は4敗を喫し、失速の気配が漂っている。千葉も1分4敗と状態は深刻で、早々に昇格プレーオフ進出の望みが絶たれている。
中位陣で健闘を見せたのは熊本。過密日程に苛まれた9月とは異なり、通常のスケジュールで臨めた10月は2勝2分1敗と好成績を残した。とりわけ第38節では首位の札幌を撃破し、存在感をアピール。降格圏ととの勝点差も引き離しており、苦しかったシーズンを良い形で終えられそうだ。
残留争いは、実質的には18位の山形以下の5チームに絞られた。山形から最下位の岐阜まで勝点差は6。残り4試合で運命が決することとなる。
長く下位に沈んでいた金沢は2勝2分1敗と復調し、残留圏内の20位に浮上。同じく北九州も勝点8を加え、21位へと順位を上げた。苦境に陥ったのは岐阜だ。10月は5連敗で、ついに最下位に転落。20位の金沢との勝点差は3と逆転は十分に可能だが、流れを踏まえれば苦しいと言わざるを得ない。まずはこの悪い流れを断ち切り、残り4試合でひとつでも多くの勝利を手にしたい。