明治安田生命J2リーグは折り返し地点となる21節を迎える。今節の注目は熊本vsC大阪。震災の影響で使用できなかったうまかな・よかなスタジアムでおよそ3か月ぶりの開催となる。いまだ震災の爪痕が大きく残る熊本にとって、復興へと大きく歩を進める節目の一戦となることは間違いない。
同会場は現在も避難所として使用されているため、メインスタンドのみの使用となるが、地元のファンにとっては久しぶりに熊本の試合を生で見られる機会とあって、熱いサポートで選手たちの背中を押すだろう。そうしたバックボーンだけでなく、両チームともに好調を維持したまま迎える一戦とあって、ピッチ上でも激しいバトルが期待できる。熊本は5試合負けなし、C大阪は4連勝中。その勢いを加速させるのは果たしてどちらのチームか。
首位の札幌は横浜FCをホームに迎える。3連勝中と着実に勝点を積み重ねる札幌だが、今節はエース都倉 賢が出場停止。 得点源を欠くものの選手層は厚く、他の攻撃陣がその穴を埋めるはずだ。対する横浜FCは前節8試合ぶりの勝利を手にし、状態は上がっている。ここ3試合スタメン出場を続ける三浦 知良のパフォーマンスも注目ポイント。粘り強く戦い抜き、首位チームの連勝をストップできるか。
3位の松本はアウェイで水戸と対戦。前節は難敵の京都をアウェイで撃破するなど好調を維持しており、今節もハードワークをベースに試合を優位に進めることが予想される。前節2得点を奪ったセットプレーもカギを握るだろう。水戸は6試合勝利がなく苦しい戦いが続く。それでも攻撃面に良化の兆しが見えるなど、反撃体制は徐々に整いつつある。これまでに一度も勝ったことのない松本が相手だが、ホームで意地を見せたいところだ。
岡山と清水の一戦も興味深い。ともに6月を負けなしで乗り切り、それぞれ4位(岡山)、6位(清水)と昇格レースの主要キャストとして名乗りを上げている。より勢いを感じさせるのは清水。前節も山口相手に4ゴールを叩き込むなど、攻撃陣が絶好調。大前 元紀を欠くなかでも白崎 凌兵、石毛 秀樹ら若手が躍動しチームをけん引している。その勢いを今節にもつなげられるか。
3試合勝利がない京都は岐阜の本拠地に乗り込む。失点が増えつつあるのが不調の原因なだけに、まずは守備の安定を図り慎重に試合に入りたい。対する岐阜は前節熊本に3失点。アグレッシブなスタイルは魅力だが、リーグワーストとなる33失点の守備に不安を残す。攻守のバランスにどう折り合いをつけるか。ラモス瑠偉監督の手腕に注目だ。
4試合勝利から見放されている町田は群馬とのアウェイゲームに臨む。2試合連続ゴールがなく、得点力不足に悩まされているだけに、攻撃陣の奮起が何より求められる。群馬も3試合勝ちがなく20位に低迷する。敗れれば降格圏に沈む可能性もあるだけに、大きな危機感が備わっているはずだ。その想いを活力に代え、ホームで白星を手にしたい。
なかなか調子が上がらないのが愛媛と千葉。上位争いに加わるためにも、そろそろギアを上げたいところだろう。愛媛は得点力不足が課題。千葉は序盤の失点が目立つ。ともに状態はいいとは言えず、果敢に仕掛けるよりも相手の出方を窺うような慎重な戦いとなりそうだ。2連敗中の徳島は調子を上げてきた長崎をホームに迎える。前節、終了間際の失点で金沢に敗れた徳島とすれば切り替えが重要なテーマに。逆に終了間際の得点で愛媛に競り勝った長崎には勢いが備わる。状況を考えれば後者が優位と見られるが、長崎は得点源の永井 龍を出場停止で欠くのは痛手だろう。代役の選手の奮起が望まれる。
21位の北九州は19位の東京Vをホームに迎える。結果次第では両者の立場が入れ替わる可能性もある重要な一戦だ。ここ3試合で2勝と調子を上げてきた北九州は、得点源の原 一樹がカギを握る。得点力不足が顕著な東京Vにとっては、新戦力の二川 孝広の存在が大きい。このベテランがピッチに立てば、攻撃が一気に活性化する可能性もあるだろう。最下位の金沢はホームに讃岐を迎える。徐々に調子を上げており、徳島を打ち破った前節同様に粘り強い戦いで勝機を見出したい。一方の讃岐は4連敗と泥沼にはまっている。気がかりなのは失点の多さ。攻撃スタイルが魅力のチームだが、結果を求めるのであれば方向転換が必要かもしれない。
■第21節の見どころをチェック
札幌vs横浜FC
山形vs山口
水戸vs松本
金沢vs讃岐
岡山vs清水
徳島vs長崎
北九州vs東京V
熊本vsC大阪
岐阜vs京都
愛媛vs千葉
群馬vs町田