昨日の晴天から一転して朝から雨模様となった本日、あいにくの天気の中でも、ロアッソ熊本の選手たちはハードなトレーニングに取り組みました。また、本日の練習前にはU-23日本代表の手倉森 誠監督とスタッフが練習場を訪れ、選手とチームスタッフを激励しました。
手倉森監督は、東日本大震災が発生した2011年シーズン、ベガルタ仙台の監督としてチームを率いた経験をもとに「これからは大きな作業が待っているが、ピッチ上で起きる苦しさというのは被災して苦しんでいる人、亡くなった人の無念さを思えば、苦しいことではない」と切り出し、「こうした状況でも使命感を持って外に発信できるのはスポーツの力であり、サッカーの持つ力。ロアッソ熊本はそれができる立場なので、やりがいと生きがいを持ってやってほしい」と、今後の選手たちの活動にエールを送りました。
ロアッソ熊本は5月15日(日)、フクダ電子アリーナで行われる明治安田生命J2リーグ第13節ジェフユナイテッド千葉戦で震災後初の試合に臨み、1週間後の5月22日(日)には、代替会場となる日立柏サッカー場で震災後初のホームゲームを迎えます。
〔U-23日本代表 手倉森 誠 監督 激励終了後コメント(質疑応答)〕
Q.仙台時代に再開後のリーグ戦で躍進を続けた時の力の源は?
「やっぱり被災地のために、という思いです。被災地に勇気と感動、喜びを届けたいという一心でした。私は結果が出る前から、『選手たちがピッチの上で力強く戦ってくれればいい』という思いで送り出していました。勝ちたいのは選手だけではない。勝ってもらいたいという周りの思いで勝たせてもらったように思います。そういったものを一心に集められれば、ロアッソにも結果がついてくるのかなと思います。ただベガルタの時と少し状況が違うのは、今回はロアッソしか中断してないということです。それはすごく苦しい状況だろうと思います。2011シーズンは全チームが一時中断になりました。ある意味コンディション的にはイーブンでした。しかし今はロアッソしか休んでいません。ここから彼らだけがコンディションを作り直して戦わなければならないという試練が待っています。今日も彼らは通常に戻ったかのように練習していましたが、これは全然通常ではありません。他のチームの選手たちよりも、ものすごくエネルギーをかけなければいけないぐらい、苦しい中で、もがきながらやろうとしているわけです。それはベガルタの時と全然状況が違うと思います」
Q.オリンピック予選を戦った植田 直通選手(鹿島)や豊川 雄太選手(岡山)も故郷熊本のために被災地を訪れたり、物資を届けたりしています。彼らの行動や気持ちをどう思いますか?
「もう居ても立ってもいられないという気持ちはわかりますよね。自分を育ててくれた故郷に対して、傷を負った故郷の打撃に対して、何かの力になりたいという郷土愛ですよね。そういう人間だからこそ代表まで成長してくれたのだと思うし、代表になった人たちはそういうところでもいち早く気付ける人間になってほしいと思います。彼らはまたこれから地域のために成長してくれるのだろうと思います」
Q.3ヶ月後に日の丸を背負って大きな戦いがあります。熊本だけでなく、サッカーファミリー皆が活躍を期待していると思いますが、どんな心境ですか?
「東日本大震災の後、大きなものを背負いながら戦い、優勝争いした結果、今こうして代表の監督まで務めさせていただいています。いざオリンピックを前にし、今度は九州で大震災がありました。日本の希望にならなければいけない立場として戦うことになるのだと思います。5年のうちに2回も大震災を経験した日本という国に明るいニュースを届けようと、サッカーだけでなくいろんな競技の人たちが、そういう気持ちを持って戦う大会になるのだと思います」