2022年10月25日
2022年度 第10回Jリーグ理事会後チェアマン定例会見発言録
2022年10月25日(火)17:30~
JFAハウス4階会議室およびWebミーティングシステムにて実施
登壇:野々村 芳和チェアマン
陪席:窪田 慎二 理事
クラブライセンス事務局 大城 亨太 クラブライセンスマネージャー
〔司会より説明〕
第10回理事会後会見を開催いたします。はじめに本日の決議事項と報告事項についてご説明いたします。決議事項は5件、報告事項は1件です。
《決議事項》
1.2023シーズン J2クラブライセンス判定結果について
本日の理事会で、2023シーズン J2クラブライセンス判定結果について、下記の通り決定いたしました。
ヴァンラーレ八戸、福島ユナイテッドFC、いわきFC、SC相模原、AC長野パルセイロ、藤枝MYFC、ガイナーレ鳥取、カマタマーレ讃岐、FC今治
J2クラブライセンス申請があったY.S.C.C.横浜(YS横浜)については、財務状況をより詳細に確認する必要があると判断されたため、継続審議となっています。改めて11月の理事会で審議・決議を行うことになりました。
2.2023シーズン J2クラブライセンス判定結果について
本日の理事会で、アスルクラロ沼津、テゲバジャーロ宮崎の2クラブにJ3クラブライセンスを交付することを決定いたしました。
3.Jリーグ入会審査(J3)結果について
J3の入会を申請していたJリーグ百年構想クラブの5クラブに対し、Jリーグへの入会を条件付きで承認いたしましたのでご報告させていただきます。
日本フットボールリーグ(JFL)の2022シーズン最終節が11月20日(日)に開催されます。そのため、1試合の平均入場者数および最終順位の要件を満たすことを条件に、本日の理事会で承認したものです。これによってJリーグ役員によるホームタウン支援体制の確認が完了したクラブは、平均入場者数及び最終順位の要件を満たした時点で入会が確定することとなります。
承認するクラブは、ラインメール青森、ヴァイティン三重、FC大阪、奈良クラブ、ヴェルスパ大分の5クラブとなります。
現在は、10月25日時点の入場者数平均数の情報をプレスリリースに記載しています。
なお、奈良クラブは残りのホームゲームの入場者数に関わらず、現時点ですでに1試合の平均入場者数が2,000人を超えるという要件を充足しています。
4.実行委員選任について(いわてグルージャ盛岡)
いわてグルージャ盛岡の実行委員を、坂本達朗氏から秋田豊氏に変更することを承認しました。
5.2023シーズン JリーグYBCルヴァンカップ大会方式について
先月(9月)に2023シーズンは従来通りの大会方式で実施するとお伝えいたしました。本日の理事会では出場クラブ数を決議しましたので、口頭でお伝えいたします。J1の18クラブおよびJ1からJ2に降格した2クラブの20クラブで2023シーズンの大会を実施することを決定いたしました。
詳細については、他の大会と合わせて今シーズン中に大会方式としてプレスリリース等で発表いたします。
《報告事項》
1.第25回ジュビロ磐田メモリアルマラソン共催
本件につきまして、コーポレートサイトに掲載していますのでご確認いただければと思います。
〔野々村チェアマンよりコメント〕
先日(10月22日)JリーグYBCルヴァンカップ決勝が行われ、4万人近いお客様に集まっていただきました。また、声を出して両クラブのサポーターがとても良い雰囲気を作ってくださいました。これがサッカーだということを改めて思い出させてくれたと思います。加えて劇的な幕切れだったというものも含めて、とても良い試合だったと思っています。メディアの皆様もいろいろな切り口で伝えていただき、非常にありがたかったと思っています。
当日は、テゲバジャーロ宮崎の工藤壮人選手が決勝前日になくなられたということで黙とうをいたしました。工藤選手に関わった方々の濃度にもよりますが、色々な思いを伝えられたのではないかと感じています。各クラブのホームゲームでも同じように黙とうが今週末の試合でも行われることをお伝えします。宮崎のホームゲームも10月27日、30日、11月13日に行われますが、10月27日、30日はスタジアムに献花台を設置することが決まっています。
リーグ戦は、J2はリーグ戦の全日程を終了し、アルビレックス新潟が優勝、横浜FCがJ1昇格ということが決まっています。J1参入プレーオフに進出する4チームも決まって、ここからまたある意味色々なドラマがみられるのではないかと楽しみです。
新潟では、新潟のファン・サポーターがすごく盛り上がっていて、ホームタウンのクラブが一つの結果を出すことがこれだけうれしいということを、現場に行き改めて感じさせられました。自分の経験も含めて選手の立場に立つと、昇格して優勝を決めて、ホームに戻って勝たなくてはいけないという試合ほどプレッシャーがかかる試合は無いと思います。相手チームのFC町田ゼルビアもとても良いゲームをして難しい試合だったと思いますが、最後は新潟の選手たちがサポーターの後押しを受けて良い結果を出したのかなということを純粋に感じました。
J1があと2節。優勝争い、残留争いが非常に楽しみではありますし、J3も次節でいわきFCに優勝の可能性があります。私たちは優勝の可能性がある試合で「優勝(表彰セレモニー)対応」をするのですが、毎週どこに行くのかを楽しみにしています。
そして、本日の決議事項の中に、いわてグルージャ盛岡の社長に秋田豊さんが就任されるということがありましたが、先週オンラインで秋田さんと話をしました。秋田さんもすごく前向きで、どうすれば地域のためになるか、このクラブをどう成長させてまた上のカテゴリーに戻していくかなど、完全にスイッチが変わっていると思いました。その場でも、アジアの選手を連れてくることの難しさとメリットなど、私が北海道コンサドーレ札幌の社長をしていた際の経験を聞かれるなど、いずれにしてもスイッチが変わったなと感じています。
また、本日J2およびJ3クラブライセンス判定結果を公表しましたが、福島ユナイテッドFCといわきFCが初のJ2ライセンスを取得しました。Jリーグも開幕から30年たっていろいろなクラブが増えている中で、環境面、経営面、ピッチ上の成績など、少しでも上を目指していくことをある種具現化したのがライセンスだと思います。福島は近くの2クラブが、互いに切磋琢磨して、日本のサッカーを成長させてくれる場所になるのではないかと期待しています。
〔質疑応答〕
Q:Y.S.C.C.横浜の件ですが、ある程度見込みがあって、もう少し改善できるようにしてくださいというコミュニケーションの中でのことなのか、今季に関してはかなり厳しい状況なのか、言える範囲で見通しをお伺いできればと思います。
A:大城クラブライセンスマネージャー
YS横浜に関しては、まず、初めにお伝えしておきたいのは、今、クラブが何か資金繰りに苦しんでいるとか、経営にすごく行き詰っているとか、そういう状態ではありません。ただ財務基準の充足状況を考えたときには、もう少し確認しなければいけないことがあるので、1カ月継続審議という形にさせていただきました。
Q:鈴鹿ポイントゲッターズの将来構想クラブに向けた体制について、引き続きコミュニケーションを取り続けていると思いますが、今季までに見通しがつきそうなのか、進捗状況を言える範囲で教えてください。
A:大城マネージャー
鈴鹿ポイントゲッターズとは引き続きコミュニケーションは取っており、状況は確認しておりますが、今、ご報告できることはないという状況です。正式に方向性が固まっているわけではありませんが、鈴鹿の件とは別に、百年構想クラブ制度の在り方の見直しも考えているので、11月、12月にはそういったご報告もさせていただくことになると思います。
Q:見直しとはどういった点でしょうか。
A:大城マネージャー
百年構想クラブ制度ができ、その後にクラブライセンス制度ができましたので、来年J3を目指すクラブは2回同じようなプロセスを踏むような印象があります。まだ(リーグとして正式に)決議した事項ではありませんが、そこをスッキリさせたいというところが一つです。
A:仲村広報部長
最後の点についてはまだ検討中ですので、改めてお伝えさせていただきます。
Q:今回のJ2ライセンスの方で、条件付きの承認になったところがなかったのですが、そのあたりをもう少し教えてもらうことは可能でしょうか。
A:大城マネージャー
明確な条件付きというクラブはないのですが、施設基準、スタジアムに関しては、例外規定というルールがあって、今は基準を満たしていなくても、将来満たすことをお約束いただいて交付するというルールがございます。スタジアムの改修に関してそのルールを使っているのが藤枝MYFCの1クラブ、スタジアムを将来的に整備するという規定では、ヴァンラーレ八戸、福島ユナイテッドFC、いわきFC、SC相模原、FC今治がこの施設基準の例外規定を使ってJ2ライセンスが交付されています。
※10月25日(火)20:40 プレスリリースに、各クラブの施設基準例外規定適用状況および例外規定の内容を追記
Q:J2のFC町田ゼルビアが来季の新監督に高校サッカーで一時代を築いている黒田剛さんを監督に招聘したことを発表しました。この件について率直にチェアマンの受け止め等を教えていただけますか。
A:野々村チェアマン
日本は監督だけでなく、選手の成長する過程もヨーロッパと全然違います。クラブからプロより、高校、大学からすごく良い選手が育ってくるのは日本独特だと思います。そいう意味では指導者がいろいろな過程でトップのリーグに上がってくるのは、日本ならではの良いところではないかと感じています。今回の黒田さんだけではなく、いろいろなところから日本のトップリーグの監督が出てくるようになることの一つのキッカケになるとすればすごく良いことだと思います。
Q:J3の入会審査のところで1試合平均2,000人という基準があると思いますが、ラインメール青森は今のところ638人とかなり開きがあると思います。これは基準としては2,000人で、もし達成できなければ、基準は満たさないという考えでよろしいですか?
A:大城マネージャー
基本的には規約の中に記載されている入会要件になりますので、そこを満たさなかった場合には入会要件を満たさないという判断になるとは思いますが、最終的には理事会の判断になります。
Q:それも含めて条件付きで交付しているということですか?
A:大城マネージャー
今回の条件付きは、2,000人に満たないからというよりは、青森以外のクラブも含めてですが、最終的なリーグ戦の順位と入場者数については確定していないという意味での条件付きということです。
Q:FC大阪が2,000人いくかどうかで頑張っているところだと思いますが、2,000人に一人でも足りなかったら満たさないことになりますか。
A:大城マネージャー
要件としては2,000人なので、1,999人でも満たないことは満たないということです。
Q:新型コロナウイルス感染症の影響で試合中止もありましたが、そういったところは勘案しないのでしょうか。
A:大城マネージャー
最終的には理事会の判断になるので、今、確実なことは申し上げられませんが、入会要件に充足か充足ではないかという意味では充足ではないという状況です。FC大阪に関しては、最終戦を東大阪市の協力で花園ラグビー場で開催することになりましたので、要件を満たしていただけるのではないかと思っています。
Q:先ほどの入会審査の関係で、明日(26日)チェアマンのヒアリングがFC大阪であり、11月1日にも奈良クラブでも行われ、今回の入会審査とは関係ないとはいえないと思うのですが、役員によるホームタウン支援体制の確認とチェアマンのヒアリングとは別物でしょうか?
A:大城マネージャー
分かりづらくて大変申し訳ございません。同じものです。予定しているチェアマンヒアリングがホームタウンの支援体制の確認になります。従って、奈良クラブは週末の試合で競技要件を満たす可能性があるのですが、チェアマンヒアリングも重要なプロセスの一つですので、それが完了するまでは入会が確定という形にはなりません。
Q:今日の条件付き承認によって、成績面と、観客動員面がクリアになっても、仮の話ですが、明日、FC大坂にチェアマンがヒアリングして、何かあった場合には入会できないということですか?
A:大城マネージャー
はい。ご認識の通りです。
Q:もう1点、今回、仮に2チームがJ3に参入した場合には、Jリーグは60チームになって来年度からJFLとJ3の昇降格がある、ないという話が出ていますが、その部分の現状どのようになっていますか。
A:窪田理事
昇降格については行われる予定ですが、まだどのようなルールで昇降格枠を設定するかということは最終決定していません。これから決定次第、皆様にもお知らせしたいと思っています。
A:仲村広報部長
J3の入会が決定した際にはJリーグからプレスリリースを発信いたしますので、そちらを持って正式入会とご認識いただければと思います。
Q:ラインメール青森の平均入場者数が680人ということで、かなり2,000人にはほぼ遠い数字です。クラブ側は相当努力していると思いますがかなり厳しい状況です。チェアマンは今後、クラブに対してヒアリングを予定していますか。仮に予定しているのであれば、どうコミュニケーションを取るのか、来季以降、そういうクラブもあるという点をどう捉えているか教えてください。
A:窪田理事
青森に関しては、役員のヒアリングということになっていまして、私の方でヒアリングをさせていただいています。入場者数に関しては、規定がこのようになっているということをお伝えしたうえで、課題感について共有をしています。
A:野々村チェアマン
当然、上を目指していく中で、土地柄によって難しいところはあるとは思います。いろいろな地域の人たちが乗り越えて、Jリーグに入っていこうとしているので、ぜひそこは頑張っていただきたいと思います。Jリーグに属している58クラブだけではなく、そこを目指そうとしているクラブに対してのいろいろなサポートは今もやっていますし、今後もしっかりとやっていきたいと思っています。コミュニケーションを取りながら、全国いろいろなところで可能性を感じるような、選手、子供たちが増えることにJリーグとしても力を使っていきたいと思います。
Q:補足ですが、400人、500人も集まらない試合がある地域に関して、どのように観客増員のサポートや取り組みを行っていくのでしょうか。
A:野々村チェアマン
いろいろなやり方があると思います。どうやっても入らないということではないと思います。そこを考えるのがクラブの経営をやっていて楽しいところでもありますし、これは無理だと思った時点で、もう前に進めないと思います。Jリーグとして持っているアイデア、またはJクラブとして持っているアイデアは当然共有できると思っています。まだまだやれると思っていますので、そんなマインドでやっていきたいと思っています。
Q:チェアマンにお伺いします。いわてグルージャ盛岡では秋田監督がオーナー兼社長という形になりますが、Jリーグで監督から株式の一部を保有してオーナー兼社長になるのは初めてでしょうか。
A:大城マネージャー
オーナーの定義はいろいろあって、100%持っていなければいけないとか、過半数持っていなければいけないことでもありません。オーナー兼代表取締役社長になられるということが、正式に我々がお伺いしているところです。
A:野々村チェアマン
冒頭もコメントしましたが、サッカーで日本を代表として頑張っていて、かつクラブの監督までやった方が、クラブの経営、社長になるということはすごく良いことだと思います。サッカー経験者とか、高いレベルでやってきたからこそ出てくるサッカーへの想い、サポーターへの想いは、そういうキャリアではない人とは少し違うと思います。そういうところがもしクラブの経営にプラスに働くと、すごく楽しい変化が起こせると思っています。もちろんビジネス畑としてすごくキャリアを積んできたビジネスマンとして優秀な方もサッカー界には必要だと思いますが、選手として、一定のレベルでやってきた人が経営に携わる比率がもっともっと増えた方が良いと思いますので、秋田さんがこれから成功することで、そこを目指すサッカー選手が出てくることを期待しています。だからこそ秋田さんにも頑張っていただきたいと思います。
Q:Jリーグの中で監督からそういった形(オーナー兼社長)に役職を変えるのは初めてですか?
A:野々村チェアマン
監督を務めた人が社長になったというのは、似たような形はありましたが、(オーナー兼社長と)明確に立場を代えてというのは初めてじゃないでしょうか。
Q:先ほど話があったことについて確認させていただきたいのですが、いわきFCが例外規定を適用して交付の申請をしていましたが、その結果、条件付きではなく普通にライセンスが交付されたという認識でよろしいでしょうか?
A:大城マネージャー
条件付きではなく、J2ライセンスが交付されたとことになります。
Q:例外規定の適用を申請していた場合、例外規定がある中で交付された場合は条件付き交付とは言えないということで良いですか?
A:大城マネージャー
私たちの中で条件付き交付という言い方はしていません。
Q:条件付き交付をされているのがチームとして一つだけということでしょうか?
A:大城マネージャー
今回の交付において条件付きクラブはありません。少し補足すると、将来的にスタジアムを整備するという制度なのですが、施設基準の例外規定というルールを使っています。それは昇格すると3年以内に具体的な計画を出して、5年以内にスタジアムの整備、竣工するということが原則になりますので、いわきFCが仮にJ2に昇格した場合はこのスケジュールが動き出すという形になります。
Q:条件付きで、交付される場合とはどのような場合になりますか?
A:大城マネージャー
過去にあった例で言うと、J2に昇格することが決まればスタジアムを一部改修するのですが、昇格しなかった場合は改修しませんといった形をクラブが出してきたときに条件付きで交付し、結果、昇格しなかったときには改修は行われず、J2ライセンス基準は満たさないので、J3ライセンスに戻るという形で条件付きの交付をしていたことはありました。
Q:福島ユナイテッドFCに関してですが、昨年はJ2ライセンス不交付になっていたと思いますが、こちらはユース組織が今年から動き出したということで、J2ライセンス交付になったとの受け止めでよろしいでしょうか。
A:大城マネージャー
昨年の判定結果でご説明させていただいた通りですので、ご認識の通りです。
Q:いわきFCの関係で初歩的なことを教えてください。先ほどのお話ですと、今回例外規定が適用されて、施設の基準、スタジアム整備について、3年以内に計画を出して、5年以内に整備を完了させなければいけないということが決まりということでよろしかったでしょうか?
A:大城マネージャー
ルールとしてはご認識の通りです。