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2022年度 第3回臨時理事会後チェアマン定例会見発言録

2022年4月11日(月) 15:30

2022年度 第3回臨時理事会後チェアマン定例会見発言録

2022年度 第3回臨時理事会後チェアマン定例会見発言録
2022年度 第3回臨時理事会後チェアマン定例会見発言録

2022年4月5日

2022年度第3回臨時理事会後チェアマン定例会見発言録

2022年4月5日(水)18:15~19:10
オンラインにて実施
登壇:Jリーグチェアマン 野々村 芳和
公益財団日本サッカー協会(JFA)扇谷 健司 審判委員長 
Jリーグ フットボール本部 本部長 黒田 卓志
陪席:Jリーグ クラブ経営本部 本部長 鈴木 徳昭
Jリーグ クラブライセンスマネージャー 大城 亨太

〔司会より決議事項、報告事項について説明〕

本日は、決議事項が1点、報告事項が1点です。

決議事項は、「明治安田生命J2リーグ 第8節 モンテディオ山形 vs. ファジアーノ岡山 競技規則適用ミスによる試合の取り扱いについて」です。4月5日に開催された試合において担当審判員による明らかな競技規則の適用ミスがあり、試合の結果に影響を及ぼし得たことが確認されました。本事案についてJFAを通じてIFAB(国際サッカー評議会)にも確認をした上で、本日臨時実行委員会および臨時理事会を開催し協議した結果、当該試合の取り扱いを再試合とすることを決定いたしました。

なお本件、詳細につきましては、フットボール本部長の黒田より説明させていただきます。

〔フットボール本部・黒田本部長より説明〕

先ほど実行委員会と理事会で、以下の5点をご説明し、当該試合の取扱いについて決議をされています。

1.発生した事象及びJFA審判委員会の見解
2.競技規則の適用ミスについて
3.競技規則に基づく、試合の取り扱いの考え方について
4.決裁権限について
5.当該試合の取り扱いについて

まず前提情報としたしまして、サッカー競技規則(以下、競技規則)についてご説明させていただきます。

●サッカー競技規則(https://www.jfa.jp/laws/soccer/2021_22/)について

サッカーの競技規則は、国際サッカー評議会(IFAB)によって制定されており、JFAでは毎年改正部分を含めて日本語に相訳し、解説を入れています。FIFAならびにFIFAに加盟する各大陸連盟および加盟協会下で行われるサッカー競技は、すべてこの規則に基づきプレーされています。

Jリーグにおいても規約にて競技規則に基づきプレーされることが明記されています。

●Jリーグ規約 第46 条(競技規則)

公式試合は、すべて国際サッカー連盟(以下「FIFA」という)および協会の競技規則に従って実施される。

続いて、前述の5点をご説明します。

1.発生した事象及び JFA 審判委員会の見解

まず、以下のとおりJFA 審判委員会より発生事象と見解の説明がありました。

----

・前半 11分、山形のGK後藤選手がレッドカードによって退場となったが、これは担当審判員による明らかな競技規則の適用ミスであり、競技規則においては退場としてはいけないものだった。
・以降、山形は 10人で試合を行い、90分の岡山のゴールによって山形0-1岡山で試合終了した。

----(引用以上)

2. 競技規則の適用ミスについて

次に、関連する競技規則をお示しします。

----

●競技規則 第 12条 ファウルと不正行為 *ー部抜粋

ゴールキーパーは、自分のペナルティーエリア外でボールを手や腕で扱うことについて、他の競技者と同様に制限される。

ゴールキーバーが自分のペナルティーエリア内で、認められていないにもかかわらず手や腕でボールを扱った場合、間接フリーキックが与えられるが、懲戒の罰則は与えられない。

しかしながら、プレーが再開された後、他の競技者が触れる前にゴールキーパーが再びボールを触れる反則の場合(手や腕による、よらないにかかわらず)、相手の大きなチャンスとなる攻撃を阻止した、または相手の得点や決定的な得点の機会を阻止したのであれば、懲戒の罰則が与えられる。

----(抜粋以上)

上記規則に従いますと、「懲戒の罰則は与えられない」ため、当該プレーにおいてはレッドカードを出してはいけないものでした。

この条文の後半にある「しかしながら」以降は、2年前に追加されておりますが、こちらについて少し解説をさせていただきます。

●「しかしながら」以降の解釈について

この文面のみを読みますと、下記の2通りの解釈ができます。

【解釈1】

しかしながら、
(1)プレーが再開された後、他の競技者が触れる前にゴールキーバーが再びボールを触れる反則の場合(手や腕による、よらないにかかわらず)
(2)相手の大きなチャンスとなる攻撃を阻止した
(3)または相手の得点や決定的な得点の機会を阻止したのであれば、懲戒の罰則が与えられる。

【解釈2】

しかしながら、
プレーが再開された後、他の競技者が触れる前にゴールキーバーが再びボールを触れる反則の場合(手や腕による、よらないにかかわらず)
(1)相手の大きなチャンスとなる攻撃を阻止した
(2)または相手の得点や決定的な得点の機会を阻止したのであれば懲戒の罰則が与えられる。

これら2通りの解釈のうち、 JFA 審判委員会及びIFAB の確認によると、 【解釈2】 が正しいということでした。

3. 競技規則に基づく、試合の取り扱いの考え方について

続いて、試合の取り扱いの考え方に関連する競技規則をお示しします。

----

●競技規則 第5条 主審 *一部抜粋

2. 主審の決定

決定は、主審が競技規則および「サッカー競技の精神」に従って、その能力の最大を尽くして下し、適切な処置をとるために競技規則の枠組の範囲で与えられた裁量権を有する主客の見解に基づくものである。

プレーに関する事実についての主審の決定は、得点となったかどうか、または試合結果を含め最終である。主審およびその他すべての審利員の決定は、常にリスペクトされなければならない。

----(抜粋以上)

この部分の 「主審の決定は、得点となったかどうか、または試合結果を含め最終である」の部分の解釈について以下に整理します。

●「主審の決定は、得点となったかどうか、または試合結果を含め最終である」の解駅について

上記「2.主審の決定」の文章の前半には次の記載があります。

----

決定は、主審が競技規則および「サッカー競技の精神」に従って、その能力の最大を尽くして下し、適切な処置をとるために競技規則の枠組の範囲で与えられた裁量権を有する主審の見解に基づくものである。

----(抜粋以上)

つまり、競技規則に従っている限りは「主審の決定は最終である」が、本事象は「競技規則に従っていない」ため、「主審の決定は最終である」とすることはできません。審判員が競技規則を誤って適用した場合、適切と判断されれば、競技規則の誤適用を是正するための措置が取られることがあります。

なおJFAからIFABへ確認した結果、IFABからも本事象は審判員が競技規則を誤って適用した事案であるとの見解が得られています。

4.決裁権限について

競技規則の適用ミスを是正するための措置に関するJFA 及びJリーグの各種規程の具体的な定めはありませんが、試合の成否を決定するというJリーグにとって重要な意思決定に該当する場合、Jリーグ理事会規程に基づく決裁権限の定めがあり、「定献、Jリーグ規約その他の諸規程に定められた事項およびこの法人の重要な業務執行に関する事項」は理事会で決議することが定められているため、本事案も理事会にて決議を行いました。

https://aboutj.jleague.jp/corporate/wp-content/themes/j_corp/assets/pdf/004_20220228.pdf

5. 当該試合の取り扱いについて

以上の説明により、本事象の対応は競技規則に従っていないため、当該試合は「主審の決定は最終」 として取り扱うことはできません。「主審の決定が最終である」とできない中で、当該試合の取り扱いについて取りうる選択肢は下記の2案が挙げられます。

案1 このまま試合成立とする

案2 再試合を行う

当該試合は競技規則の適用ミスにより山形が約 80分間にわたって1人少ない状態で試合を行うことになり、試合の結果に重大な影響を及ぼし得ました。よって、当該試合の全体または一部を無効とし、「案2 再試合を行う」 ことを決議しました。

本日は当該試合の取り扱いの大きな方向性が決議されていますが、今後、(4月3日開催試合の記録等の取り扱いも含む)再試合に向けて整理が必要な事項を列記しています。

●今後、整理が必要な事項

・再試合を前半 11分時点から実施するか、最初から実施するか
・メンバーを4月3日関催時と同様とする制限を設けるか、制限を設けないか
・4月3日開催試合の個人の公式記録の扱い(例:岡山 木村選手の得点の扱い)
・本件における費用補填の範囲など
・再試合の開催日 
(コロナ影響などで代替試合を設定する際の「45日以内」等のルールの対象外とし、Jリーグが両クラブと協議の上、支障の少ない日に設定する。)
・今後、同種の事象が発生した際のルールを規約に定める

Jリーグからの説明は以上です。

〔司会より〕

続いて、日本サッカー協会の扇谷審判委員長よりコメントをいただきます。

〔JFA扇谷審判委員長よりコメント〕

まずは、今回試合の判定に関して多くの方にご迷惑をおかけいたしましたこと、お詫び申し上げます。本日この後Jリーグの試合が開催されますが、このようなタイミングで皆様にお集まりいただいたことについてもお詫びしたいと思います。

この後、当該試合を担当した審判員はどうなるのかということを先にお伝えいたします。もちろん、今回競技規則の適用を誤ったことは審判員にとってあってはならないことだと思っていますが、何か犯罪があったわけではないことは皆さんにご理解いただきたいと思っています。我々として、今回の4名の審判員たちをどのような形で研修を組むかも含め、次の試合に向けて準備いたしますが、現在いろいろなところで本件が取り上げられていることで、(審判員たちは)メンタル的にもフィジカル的にも参っている状態です。それをリカバリーさせ、次の試合に向けていろいろなトレーニングをしなければなりません。

競技規則の解釈の誤りですので、それについても再認識をしなければいけないと考えていますし、そのための研修プログラムも用意しなければならないと思っています。そうした期間が1カ月半、2カ月、彼らの状況によってはもしかするとそれ以上になってしまうかもしれませんが、選手やクラブ、Jリーグの皆様に対し、どのように復帰させればよいのかを模索しながら、我々がサポートいたしたいと思っています。ご理解いただければと考えています。

〔報告事項〕

「鈴鹿ポイントゲッターズのJリーグ百年構想クラブ資格の件」

2月28日のJリーグ理事会後にリリースした、JFL所属の鈴鹿ポイントゲッターズのJリーグ百年構想クラブの資格に関連する報告案件です。本日、日本サッカー協会(JFA)の規律委員会より、鈴鹿ポイントゲッターズの2020年日本フットボールリーグ(JFL)最終節に関する処分内容が決定され、公表されました。その内容を本日Jリーグの理事会でも共有、報告いたしました。なお、今後のJリーグの対応は、鈴鹿が日本サッカー協会より懲罰通知を受けた日、すなわち本日から7日以内であれば、JFAの不服申立委員会に対し不服申し立てを行うことが可能となるため、本日時点でなんらかの決定、対応を行うことはいたしませんが、4月26日の理事会に向けて、Jリーグ百年構想クラブ規程第7条に該当するかどうかを改めて確認したうえで決定したいと思います。

(https://aboutj.jleague.jp/corporate/wp-content/themes/j_corp/assets/pdf/030_2022_0228.pdf)

〔野々村チェアマンよりコメント〕

非常にレアなケースが発生したことで、急遽お集まりいただきまして、ありがとうございます。

山形対岡山戦の事案について、どのように試合結果を決めるべきか実行委員会、理事会で話をしました。当然いろいろな意見が出てきましたが、公平性の観点、Jリーグの信頼をどのように守るかというところについて議論いたしました。Jクラブの現場の気持ち、ファン・サポーターの気持ちを考えると非常につらいものがあるのですが、最終的には再試合を設定することに決まりました。

会議中、私からの確認として、改めて、今までも、これからも審判員へのリスペクトは当然ながら同じだということ、また共にサッカーという良い作品を作っていく仲間であるという気持ちを皆さんと共有して会を終えました。

〔質疑応答〕

Q:Jリーグの過去の件について伺います。競技規則の適用ミスによって再試合が行われるというのは、初めてでしょうか。また、IFABにも確認されたということでしたが、再試合が適切だったという具体的な答申はあったのでしょうか。

A:フットボール本部 黒田本部長
競技規則の適用ミスによっての再試合というのは初めてです。

IFABからは特に、再試合の是非やそのまま成立がいいというような見解は示されていません。あくまでも、競技規則の解釈(本事象の対応はサッカー競技規則に従っていないため、当該試合は「主審の決定は最終」 として取り扱うことはできない点)について、説明を受けたという状況です。

Q:別のケースで、話題になっていた事例をお伺いします。鹿島アントラーズ vs. 清水エスパルスの件です。ディエゴ ピトゥカ選手が退場になった時、選手交代の手続き中の退場で、選手交代が適切に行われていたのかということです。結果的に上田選手が途中出場してきたと思いますが、選手交代の完了まであれば、その退場は、適切に行われていなかったのではないかということが、一部問題になっているのではないかと捉えています。議論がなされていれば教えてください。本件もおそらく競技規則の適用に関わるものだと思います。

A:JFA扇谷審判委員長
当然、状況は認識しております。ただ、こちらに関しては主審が判断するものですから、当然、差異というのは認められるべきものだと思っております。主審が入っているということを認めたのであれば、ピッチ上の判断になるということです。

Q:再試合では、最初からやるか、11分からやるか、また再開日を設定するという話がありましたが、これらが決まる目処は、いつぐらいになるのでしょうか。また実行委員会を含めて、山形や岡山からは、どういった要望があって、結論に至ったのでしょうか。

A:フットボール本部 黒田本部長
今後、整理が必要な事項につきましては、4月末のJリーグの理事会に向けて整理をし、起案したいと考えております。また、特に両クラブから具体的な要望などはありませんでした。

Q:今回の審判員4名ですが、判定後に適切な対応にたどり着けなかった原因として、現段階で本人たちからのヒアリングなどで出てきた原因を教えていただけますか。

A:JFA扇谷審判委員長
先ほど、競技規則を掲示いたしましたが、懲戒の罰則は与えられないということの次に「しかしながら」という説明がありました。やはり、そこが少し勘違いをする原因になっていたと思います。「懲戒の罰則を与えない」というものですが、実は、3年前は「与えることができる」となっていました。それが2年前に変わったことも原因の一つです。もう一点は、「しかしながら」以降に「懲戒の罰則ができる」と書いてあることです。そこで少し混乱があったことが、今、伺っているところです。

Q:細かいことになります。個人の記録の取り扱いは、今後、検討ということでしたが、後藤選手の退場処分に関しては、取り消されるという解釈でいいのでしょうか。

A:フットボール本部 黒田本部長
本件に関しましては、規律委員会で協議し、決定する予定になっています。

Q:そこ(後藤選手の退場処分)についても、今後、検討するということでしょうか?

A:フットボール本部 黒田本部長
はい、その通りです。

Q: 先程、審判員の研修をという話がありましたが、審判員は処分の対象になるのでしょうか。JFAもしくはJリーグで処分することがあるのか、見解を教えてください。

A:JFA扇谷審判委員長
審判員はJFAが管理しています。審判委員会では、審判員を処分することはしません。あくまでも指導をするということになっています。クラブで選手に何があった場合も、なかなか処分ということにはなってはいないと思います。

審判員もチームと考えています。次に向けて指導をし、研修プログラムを組んでいくことを考えています。

Q:totoも延期になっていますが、その取り扱いについて何か決まっていることなどはありますでしょうか。

A:フットボール本部 黒田本部長
totoの取り扱いについては、(くじを運営する)独立行政法人日本スポーツ振興センターで決定することになりますので、こちらでコメントできることはございません。

Q:今回、4人の審判員に対する研修プログラムをするとおっしゃっていましたが、これは今までにないプログラムを審判委員会で用意して、しっかりと行うという解釈でよろしいでしょうか。

A:JFA扇谷審判委員長
4年前だったと思いますが、天皇杯でPKの事例(第98回天皇杯全日本選手権2回戦/名古屋グランパス vs. 奈良クラブ)がありました。実はその時、4人の審判員に直接向き合って、関わらせていただきました。今、こういった状況では、審判をしようという意識に、まだならないので、まずそういったメンタルケアをしなければいけないと思っています。そして、それがクリアになった時点で、今度はコンディションを戻していかなければいけないと思っています。

やはり審判員にとって、競技規則は非常に大きな柱です。そのことに関しては、しっかりともう1回、考える時間を用意しようと思っています。一昨日起こった事案なので、そういったことを今から考えていきます。

Q:鈴鹿の件です。今日、鈴鹿の方ではJFAの規律委員会から処分が出ました。鈴鹿からJリーグへ報告などの類はあったのでしょうか。

A:クラブ経営本部 鈴木本部長
本日の日本サッカー協会規律委員会の判断を受けて、鈴鹿からすぐにJリーグへ連絡があったということはございません。百年構想クラブということで、本日の理事会でも報告させていただき、鈴鹿とも連絡を取り、情報共有いたしました。

Q:本日、いわきFCの責任企業である、株式会社ドームが伊藤忠商事株式会社に買収されたという発表がありました。大倉智社長のコメントも出ていますが、今日の理事会で報告や今後の経営に関し安心だというような話し合いはされたのでしょうか。

A:野々村チェアマン
この件(責任企業の経営権の移動に関する件)は理事会で決議する案件ではないので、理事会での話は当然ながらありませんでした。大倉さんからは、事前に話を聞いていますし、より良くしていくために、これからも頑張っていくというコメントをしてくれていたので、そのように認識しております。

Q:安心しているという認識でよろしいでしょうか

A:野々村チェアマン
はい。そうです。

Q:再試合の決定を受けて、山形、岡山に対して経緯報告はされるのでしょうか。

A:野々村チェアマン
現在(4月5日)大阪に滞在しておりますので、岡山には出向いて実行委員並びに社長、現場の皆さんに経緯を説明したいと思っています。物理的なことなどもありますので、山形の皆様にはオンラインで今回の件についてお話しさせていただきたいと思っています。

Q:審判員は守られるべきですが、選手ももちろん守られるべきと思います。今シーズンは例年より早くリーグが終了することもあり試合が差し込まれると連戦となり、スケジュールがかなりタイトになると思います。当該試合は14時キックオフの試合でしたが、(夏場の試合での)キックオフ時刻の変更などはあるのでしょうか。

A:フットボール本部 黒田本部長
再試合が設定される日程が夏場であれば当然夜の試合になります。開催日によってキックオフ時刻は変わってくると思います。

Q: 山形の件で解釈の確認です。審判の決定は本来最終ではあるが、今回のケースは競技規則に則っていないということで最終ではない、ということで再試合となりましたが、これまで、特にVARが導入される前は誤審があっても審判の決定は最終ということで決定は覆らず、対象となった審判員に研修をしていただくこともあったと思います。

今回非常にレアなケースだとおっしゃいましたが、今回のような解釈があると、審判の決定が最終であるということが場合によっては変わっていくということが起こりうるのでしょうか。そのあたりの考え方を教えてください。

A:JFA扇谷審判委員長
先ほど黒田本部長より競技規則第5条の「審判の決定は最終である」に関して解説があった際、例えばハンドに該当する事象があってもハンドをとらなかった、オフサイドだったにもかかわらずオンサイドと判定して得点となった、などの説明がありました。競技中の「判定」に関しては、(たとえ判定ミスがあっても)審判の判定が最終ということになります。

今回の場合、(判定ミスでなく)そもそも審判が競技規則に書かれていることの適用を間違えてしまったということです。(判定ミスの場合)例えばこれまでも、手でボールをゴールに入れたけれどそのまま得点が認められた、などはありました。ハンド(となる基準)は競技規則に書かれていますが、それ(ハンドに該当するか否か)を判定するのは審判だと書かれています。

一方、今回の件は、(関節フリーキックのみで)「懲戒の罰則は与えない」と明記される事象に対して(レッドカードという懲戒罰を)与えてしまった、ということになります。競技規則に書かれていることができなかったというのは(判定ミスとは)違うものです。IFABからもそうした(今回の件は競技規則の適用ミスという)コメントを改めていただいています。

Q:入場者数についてはどのような扱いになるのでしょうか。

A:フットボール本部 黒田本部長
その点についても今後整理したいと考えています。開催された試合の取り扱いと再試合の取り扱いは整理が必要だと考えています。現状決まっていることはありません。

Q:鈴鹿の件で、先程仲村広報部長から4月の理事会で百年構想クラブとしての取り扱いを議論するという話でした。この議論は解除を前提とした議論になるのか、それとも実際に出てきた規律委員会の内容が衝撃的な部分もあったので、条件付き資格停止自体をもう一回見直す議論になるのか、そのあたりを教えていただけますでしょうか。

A:クラブライセンスマネージャー 大城
2月の理事会で解除条件付き資格停止を決定したときの前提の一つに、JFA(規律委員会)の判断がまだ下されていないということがありました。解除条件が充足しているかどうかを4月に確認するのではなく、今回JFA規律委員会から判断が下されましたので、それを前提に再度、百年構想クラブ規程第7条に定める「資格停止・資格の要件」に該当しているかどうかの判断を理事会で行っていただく想定です。

Q:野々村チェアマンにお伺いします。実際にJFA規律委員会の決定をご覧になられたと思いますが、率直にご覧になられての感想や受け止めはいかがでしたでしょうか。

A:野々村チェアマン
(懲罰の)重さに関してはJFAの決定に対し私がコメントすることではないと思っています。この件に関して少しコメントするなら、やはり八百長(の企てがあったと)認定されたのは極めて遺憾で、残念でならないということです。その中で非常に辛い状況の中でもプレーした選手には敬意を表したいと思いますし、また先程ご質問いただいたように、Jリーグとしてどう対応するのかは今後しっかりと対応したいとい思っています。 

〔司会より訂正〕

野々村チェアマンの回答に対して補足させていただきます。

JFAより公表されている規律委員会から出された文章(にも書かれているとおり、実際に(試合において)八百長という行為自体があったわけではなく、また八百長自体を認定しているわけでもなく、あくまで選手たちは正当に試合をしたことを訂正させていただきたいと思います。

https://www.jfa.jp/about_jfa/sanction/news/00029370/

Q:今回の岡山と山形の試合のゴールキーパーへのバックパスならびに手を使用したプレーの認識をお伺いしたいのですが、得点に関わる決定的な機会におけるハンドという見え方に対し、どのあたりをJリーグとしてはレッドカードではなく、懲戒の対象にならないと判断されたのかをお聞きしたいです。

司会
本件については、審判員による競技規則の適用に関するご質問のため、Jリーグではなく、JFAより回答させていただきます。

A:JFA扇谷審判委員長
(競技規則で定められているのは)味方競技者からの意図的なパスに関しては、ゴールキーパーは(ボールを)腕で扱った場合や、取ったり、触ったりした場合は、間接フリーキックになる、ということだけです。これに関して「決定的な得点の阻止」が該当することは実はありません。ディフェンダーであれば当然違いますが、ゴールキーパーは腕で意図的なパスを扱った場合は必ず間接フリーキックになって懲戒罰を与えないということがルールであり、競技規則上の説明になります。

Q:ディフェンダーとゴールキーパーは違い、ゴールキーパーは懲戒にならないという規則が一番大原則として活きるという認識でいいでしょうか。

A:JFA扇谷審判委員長
はい。その通りです。

Q:先程、(再試合が決定したあとの)山形後藤選手の退場の扱いについて、今後規律委員会にて協議するという話でしたが、4月10日に予定されている試合への後藤選手の出場可否はどうなるのでしょうか。それまでに早めの判断が出されるのでしょうか。

A:フットボール本部 黒田本部長
後藤選手の退場の扱いについて、山形の次の試合までには規律委員会の方で結論が出ますので、それをお待ちいただければと思います。

Q:次の理事会の日程はいつでしょうか。

A:司会
4月26日(火)を予定しています。

Q:それまでに再試合の具体的な案をまとめて理事会に答申し、その理事会の場で次の試合日程が決まるということでしょうか。

A:司会
その予定です。

Q:今回は(競技規則の)解釈の問題があったというお話でした。IFABにも確認されたということですが、審判委員会として今回の件で解釈の認識の違いがあったのか、もしくは対象試合の審判員の4名の方に勘違いがあったのか、また一般的に勘違いしやすいという状況なのか、いずれだったのでしょうか。

A:JFA扇谷審判委員長
審判委員会では、対象となるプレーに関しては、当然、間接フリーキックで再開、懲戒罰は与えないという認識を持っていました。ただ、先ほどお伝えした通り、この条文は3年前から少しずつ変わっています。当然言い訳にはできませんが、判員が勘違いをしやすい状況にはあったと思います。

Q:2年前、3年前のルール改正の時にも、もちろんアナウンス、周知をされていたと思いますが、個人的に勘違いされていた、勘違いされやすいケースだった、と考えてよろしいでしょうか。

A:扇谷委員長
当然、審判員は競技規則が毎年変わるのを知っていますし、その都度研修会を行っていますので認識はしています。ただ、実際ピッチに入ったときに、そうした状況になってしまうことは理解できるのですが、あってはいけないことだと思います。

Q:個人の公式記録の扱いのうち、得点についてどうするかは今後検討されるとのことですが、再試合になる、あるいは11分以降で再開するとなった場合、試合終盤の得点までを残すということはあり得ないと思いますが、今回は決めないという意味合いなのでしょうか。得点は残すのであればシュート数や他の数字も含めて全部の数字が残らないと不公平になると思いますが、そこも含めて検討しなおすことがあるのか教えてください。

A:フットボール本部 黒田本部長
岡山の木村選手のゴールの記録は一例として挙げさせていただきましたので、その他の選手の出場記録も含めて、残すか否か、残す場合はどこまで残すのかなど、全てこれから整理することになります。

Q:競技規則の適用ミスによる再試合について)Jリーグでは前例がなかったということをおっしゃいましたが、他国で同様のケースはあるのでしょうか。

A:フットボール本部 黒田本部長
競技規則の適用ミスのあった類似事例については、国内外でいくつか把握しております。

国内の事例では、2018年天皇杯の2回戦で、先ほど扇谷審判委員長からもご説明がありましたが、名古屋グランパス vs. 奈良クラブのPK戦において競技規則の適用ミスがあり、PK戦のみやり直しとなる事例がありました。

海外の事例では、2005年のFIFAワールドカップアジア予選5位決定戦、ウズベキスタン vs. バーレーンにおいて、ウズベキスタンが試合中にPKを決めたのですが、味方選手がキックより先にペナルティーエリア内に侵入していました。本来はPKのやり直しとなるのですが、主審は相手チームに間接フリーキックを与えて再開したという事例がありました。この試合は、後日90分間の再試合となりました。また、2015年のU-19女子ヨーロッパ選手権で、イングランド vs. ウェールズ で同様に、PK時におけるペナルティーエリア内への侵入の事例があり、やり直しをすべきところを相手チームに間接フリーキックを与えたということがありました。把握している主な事例は以上です。

〔司会よりコメント〕

これにて会見を終了いたします。ありがとうございました。

 

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