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2022年度 第2回Jリーグ理事会後チェアマン定例会見発言録

2022年3月6日(日) 12:20

2022年度 第2回Jリーグ理事会後チェアマン定例会見発言録

2022年度 第2回Jリーグ理事会後チェアマン定例会見発言録
2022年度 第2回Jリーグ理事会後チェアマン定例会見発言録

2022年2月28日

2022年度 第2回Jリーグ理事会後チェアマン定例会見発言録

2022年2月28日(月)17:30~
オンラインにて実施
登壇:村井 満 チェアマン 
陪席:原 博実 副理事長
木村 正明 事務理事
クラブ経営本部 鈴木 徳昭 本部長
フットボール本部 黒田 卓志 本部長
クラブライセンス事務局 大城 亨太 クラブライセンスマネージャー

〔司会より決議事項、報告事項について説明〕
2022年度 第2回Jリーグ理事会後の定例会見を開催いたします。まず公表事項をご説明いたします。

《決議事項》
1.実行委員選任について(札幌/長崎)

Jリーグは、北海道コンサドーレ札幌の実行委員を野々村 芳和(ののむら よしかづ)氏から三上 大勝(みかみ ひろかつ)氏へ変更することを承認いたしました。
また、V・ファーレン長崎の実行委員を髙田 春奈(たかた はるな)氏から由井 昌秋(ゆい まさあき)氏へ変更することを承認いたしました。

2.株式会社電通と「Jリーグ マーケティングパートナー」契約に基本合意
Jリーグは、2023年からの4年間、「Jリーグ マーケティングパートナー」として、株式会社電通との契約締結に基本合意いたしました。
契約期間は2023年から2026年までとなります。

3.上場も考慮した資本流動性の研究_株式異動に関わるルール・規則の改定について
Jリーグは、リプランニングの打ち手の一つである「上場も考慮した資本流動性の研究」に関して検討した結果、本日開催した理事会にて株式異動に関わるルール・Jリーグ規約を改定しましたのでお知らせいたします。
まず、経緯についてリプランニングを担当した木村専務理事よりご説明いたします。その後、ルールおよび規則の改定について、詳細を鈴木クラブ経営本部長よりご説明いただきます。

〔木村専務理事より経緯について説明〕
昨年1年かけて議論してきたリプランニング、経営計画見直しで唯一残っていたアジェンダです。
結論から申し上げますと、クラブの上場を今後認めることになります。昨年末、皆様の前で私が申し上げました資本の流動性に関して、このような決定をさせていただきました。
リプランニング13の打ち手があると申し上げましたが、世界では可能となっているけどもJリーグの現状の規則上では不可能となっているのがクラブの上場でした。規則・ルールの整備は簡単ではなく、半年以上かけて理事会、そして他の機会でも議論し、今日の理事会で決定することができました。
これはクラブの様々な資本増強の中で、増資してくださる方からも望まれている形でもありますし、また様々な方々にクラブの出資に興味を持っていただく意味でも、今後活用してくるクラブが出てくることを期待しています。特に、クラブの非財務価値があります。これは、鹿島がいくらで買収されたという話が出た当時、そこに対して安い、高いという議論もありました。市場にさらすことによってクラブの本当の価値が分かる可能性があるので、今後の動きに期待したいと思っています。

〔鈴木クラブ経営本部長よりルールおよび規則の改定について説明〕
今木村専務理事より背景と経緯についてご説明しましたが、私の方から本日決議した事項について簡単にご説明します。
この10か月にわたるプロジェクトの検討結果として、株式上場は、クラブの公共性や透明性、企業価値の向上に資するもので、リーグの理念や思想が揺らぐことはない、また資本流動性が高まることにより、クラブ・リーグ全体の成長加速化も期待できるということで、クラブが株式上場を可能となる様なルール・規則を改定いたしました。

具体的には、株式異動に関わるルール・規則の改定と、あわせてインテグリティの観点からクラブ株式の保有禁止対象を拡大再定義するというものです。
先程メディアリリースも配信しましたが、具体的な条項としてはJリーグ規約第29条、第30条、Jリーグ百年構想クラブ規定第4条が主なものでございます。
また、改めて今回、方針として、リーグ役職員、審判員、マッチコミッショナー、選手、監督、コーチについても株式保有の規制を新規で確認いたしました。これに関しては1年間かけて関係者に説明をした上で条文に落とし込んで、最終的には来年の1月からの施行を目指すという形で考えています。
また、今後しっかりと投資家に対しても発信し、説明していきたいと思います。

4.Jリーグ百年構想クラブ 審査結果について
Jリーグは本日開催した理事会で、コバルトーレ女川、東京23FC、高知ユナイテッドSC、沖縄SVを「Jリーグ百年構想クラブ」として認定いたしました。

おこしやす京都ACについては普及活動に関して条件が未充足であると判断され、認定には至らず、併せて財務状況とガバナンス体制にも課題があげられました。なお、クラブが申請内容を大きく変更して再申請する意向を示し、本日付で新たな申請を受理したため、審査を継続し、今後、改めて書類審査、ヒアリング審査などを経て、5月末までの理事会にて審査結果を決議する予定です。

本日の審査結果の詳細について、クラブライセンス事務局の大城よりご説明いたします。

〔クラブライセンス事務局 大城マネージャーより説明〕
本日の審査結果については、ご説明の通り、4クラブ認定、おこしやす京都ACについては審査継続という判断となりました。
私から今後に向けた各クラブの課題について、ご説明いたします。
今回百年構想クラブに認められた4クラブの中で、高知ユナイテッドのみがJFLに所属しているクラブですので、来シーズンのJ3ライセンスを申請できるのは高知ユナイテッドのみとなります。
残りの3クラブはJFLに昇格してからライセンス申請という形になります。
コバルトーレ女川に関しては、まだ地域リーグということもあって、J3入会には売上高1.5億円というハードルがあり、そちらに向けて事業規模を拡大していただく必要があります。スタジアムはJ3基準をほとんど満たしていますが、今後照明を設置する必要があります。これは女川に限りませんが、平均入場者数2,000人という入会要件もありますので、それに向けても活動を行っていく必要があります。
東京23FCについても事業規模と入場者数は同じです。まだJ3基準を満たすスタジアムがホームタウンの中にありませんので、新設、改修という形で対応いただく必要があります。
高知ユナイテッドについては事業規模、入場者数が課題であり、スタジアムについて特には問題視していません。
沖縄SVは事業規模の拡大、入場者数の増加に加えて、組織体制について書いていますが、今後取締役を増員する予定とご説明いただいていますので、心配していません。
おこしやす京都は財務基盤、ガバナンスにおいて課題があると認識していますので、再申請の審査においてはきちんと確認していきたいと考えています。

5.鈴鹿ポイントゲッターズのJリーグ百年構想クラブ資格について
Jリーグは本日開催した理事会で、鈴鹿ポイントゲッターズのJリーグ百年構想クラブの資格について、以下のとおり決定いたしました。

<解除条件付き資格停止に至る理由>
JFL規律委員会による調査の結果、鈴鹿ポイントゲッターズにおいて懲罰の対象となりうる行為が発覚しました。また、適切ではないと考えられる金銭のやり取りが存在していたことなど、クラブのガバナンス体制に不備があると判断しうる複数の事情が認められました。これらについて、Jリーグ百年構想クラブ規程第7条第1項第1号に定める「Jリーグの目的に反する行為」と判断すべきとの結論に至ったため、資格を停止することといたしました。
一方、クラブがガバナンス体制を改善する意思があり、2022年6月のJ3ライセンス申請期限までに入会を認め得る状況に改善する可能性があることを前提に、解除条件を付すことといたしました。

<解除条件>
以下のすべての事項が実効的に機能し実践されているとJリーグ理事会において判断されることします※

1.ガバナンス体制の改善
2.ステークホルダーからの支援継続

※鈴鹿ポイントゲッターズが2023シーズンJ3クラブライセンス申請を行うためには、2022年6月に開催する理事会までに資格停止が解除される必要がある

6.理事、監事、特任理事内定のお知らせ
本日、3月15日に開催される定時社員総会の決議事項についても理事会にて決議を行いました。
決算および事業報告は3月15日の社員総会の決議をもって公表させていただきますが、本日の社員総会決議事項の一つの理事会決議事項である、理事、監事、特任理事内定についてお知らせいたします。
本件につきましては、繰り返しになりますが、3月15日(火)に開催する定時社員総会およびその後の理事会で正式決定いたします。
すでにチェアマンか常勤理事までは1月31日の理事会にて公表させていただいていますが、非常勤および常勤監事、非常勤監事および特任理事について本日公表いたします。

《報告事項》
1.2022 Jリーグシャレン!アウォーズ 開催決定

開催日は5月10日となりますが、3月1日より一般投票を開始します。今年もぜひメディアの皆様にも告知にご協力いただければ幸いです。

2.2022年度Jリーグ地域スポーツ振興活動助成について
Jリーグ理念の具現化を目指して、Jクラブがホームタウンや活動区域で行うスポーツの機会を創出・拡大するための活動を2022年度の「Jリーグ地域スポーツ振興活動助成」の対象として承認しました。

以上決議事項6点、報告事項2点です。

〔村井チェアマンよりコメント〕
シーズンが始まり最初の理事会となりました。
そして、私含め現執行部の体制としては最後の理事会となりました。4期8年皆様に支えられてここまでなんとかやってきましたが、理事会も今日が最後となりました。
先程広報からお伝えしましたように、今日も数多くの決議事項がありました。また、大半の理事が入れ替わりますので、最後に30分程かけて退任する理事の皆様にご挨拶いただき、野々村さんの今後の体制にエールを送る会となりました。
内容的には多岐に渡りました。繰り返しになりますが、マーケティングパートナーの電通さんはじめ新たな体制、契約を交わすことができました。
また、クラブの経営の選択肢を向上させていくために上場というクラブ経営の選択肢を増やした今回の意思決定は非常に大きな意味を持っていると思います。
非公開会社はプライベートカンパニーと訳しますが、公開会社はパブリックという風に呼ばれます。
Jリーグは公共性を非常に重要視する団体ですので、パブリックな会社が存在してもいいということで、Jリーグの理念をたがえないという前提の中、こうした経営の選択肢を増やしました。
木村専務理事が説明しましたように、いわゆる財務指標にあらわれない非財務価値と言われているもの。我々スポーツ団体としては誰もが認める地域の公共財と認識しながらも通常の財務諸表でしか今までの企業価値が図れなかったわけですけれども、今後、のれんと言われているような非財務価値も一つの尺度として我々の経営の指標になりうる。そういう意味のある意思決定でした。今後の運用に関して、1年かけて練っていきたいと考えています。
百年構想クラブに関して2件ありました。新たな4クラブが百年構想クラブ、内JFL以外の3クラブがJリーグ入りを目指すということは、裾野の広がりを感じます。
一方で鈴鹿ポイントゲッターズが、今回解除条件付きの資格停止という判断になりました。今日、JFLの理事会があり、そのような事案が公表されたわけですが、それを受ける形で課題が解決されるかどうかということを見極めた上で、我々としては今後判断していくということを申し合わせています。
役員に関しても新体制を候補者としてお認めいただきました。見ていただくと分かりますが、大変フレッシュな顔ぶれとなっています。また新たにJリーグが一歩ステージを上げていく予感も感じています。新たな皆さんに心から期待をしたいと思います。
それから、冒頭申し上げたように私自身が今回最後の理事会ということもありましたので、私自身が今後に託す思いとして一つの文書を理事会で共有させていただきました。
最後の理事会を終えるにあたって下記のメッセージを理事の皆様、特任理事の皆様に共有させていただきました。

【村井チェアマン 理事会でのメッセージ】
安心・安全な地域があって、そして安寧な社会があって、はじめて私たちはスポーツを楽しむことができます。
東日本大震災や熊本地震の影響下では試合を開催することは困難なことでした。
また集中豪雨や台風の影響のたびに試合の中止を判断してきました。
さらに新型コロナウイルスの状況を見極め、対策を講じるには4か月にわたる中断を要しました。
今日現在でも、世界では紛争や戦争状態の地域がありますが、とてもスポーツを行える状況にありません。
スポーツを楽しむことができる日常の有難さに感謝し、世界の平安を願うものです。
また、スポーツが行える日常の中でも、暴力や暴言、差別などは許されるものではありません。
そうした非人道的な行為は個人、組織、国家を問わずJリーグはこれからも断固として反対していく所存です。
Jリーグチェアマン 村井 満

私自身がチェアマンに就任した8年前もJリーグ開幕第2節で差別的な事案がありました。
そして昨年末まで、監督によるパワーハラスメントに私自身が対処を迫られてきました。
ある意味私の在任任期は、スポーツが普通に行われることがとてもありがたいことを再認識する期間でもありました。今後もスポーツがスポーツとして健全に発展していくように、このような思いを野々村さんに託していきたいということを申し上げました。
また、世界では紛争が報じられていますが、特定の国や地域のみならず、今後も様々な地域で紛争が起こりえるかもしれません。
特定なエリアもしくは事象に限定せずに、スポーツ界として改めて決意を表明させていただいた次第です。

〔質疑応答〕
Q:村井チェアマン、執行部のみなさん、お疲れ様でした。コロナ禍でもサッカーの灯を絶やさずにしてくださったのは、みなさんのご尽力のおかげです。ありがとうございます。
上場の件で質問です。非常にメリットもありますが、他方、注意しないといけないことも多いと思います。今後整備されていくと思いますが、例えば敵対的買収なども気になります。これから整備していく論点として、注力すべきはどういう点でしょうか。

A:木村専務理事
主だったリスクは鈴木から説明しますが、何が怖いかと言うと、やはり、クロスオーナーシップでインテグリティ上の問題。まずこれが一番強いわけです。これまで行っていた事前の株主のチェックも上場するとできなくなります。海外には上場の事例がありますので、どういったリスクがあるのかを研究し、理事会でも8回ほど、いろいろな観点からご指摘をいただきやってきました。

A:クラブ経営本部 鈴木本部長
敵対的買収の件については、今まで事前承認だったのですが、上場の場合には常に市場が流動し事前に承認ができないため、事後承認になってしまいます。あるいは事後の対応になってしまうということもあります。
また今後の検討ですが、選手あるいは監督、コーチ、審判、マッチコミッショナー等についても、今までは規則がなかったのですが、今後株式の資本が流動し、自由に売買ができるということで一定の規制を設けるということです。
敵対的リスクに関しては、基本的にはクラブがきちんと管理するということ、また必ず事前、あるいは事後であっても、一定の期間内に報告してもらい、その適正性をきちんとJリーグで判断し、不適正であればJリーグのルールに基づき、株主の比率を適正化する対策を考えています。また選手、監督、コーチについては、これからしっかりと説明会等を行って、基本的な情報を認識していただくことを考えています。

Q:上場によって資本が流れ込むボリュームが増えることを期待していると思いますが、そのあたりの想定で、現時点でどれくらいのインパクトを見越しているのでしょうか。

A:木村専務理事
新型コロナウイルスによって、約8割のクラブが増資を迫られており、これまでと違う方々に出資を仰がねばなりません。そういう方は、地元のクラブだからというだけで出資してくださる方ばかりではありませんので、経済的価値を考え、どういうメリットがあるのか、また価値が高まったら、高くキャピタルゲインを取れるか、という問いも多かったと聞きます。今はその機会もないので、クラブが増資に当たる際、当たりやすくなることはあるかと思います。
また、現在ヨーロッパで上場している20クラブくらいを調べると、トルコがJ1と同じくらいの規模です。例えば、フェネルバフチェやガラタサライは、去年の売上高がだいたい50〜60億円で、J1の中〜上位規模ですが、それぞれの時価総額は、先週の時点で年間の売り上げの3倍から4倍になっています。よって、非財務価値は、今のJリーグにも相当あるのではないかと思われます。こういったことを活用して、クラブが大きく成長するきっかけとなってもらえればと思っています。

A:クラブ経営本部 鈴木本部長
今、木村専務が申し上げたことが一番大きなことだと思いますが、もう少しメリットの面で言うと、公益性の向上ということ。これはクラブおよびリーグにおいて言えることかと思います。それから資金調達の選択肢が増えることもあると思いますし、それによって経営管理体制の充実もあげられるかもしれません。また人材採用等の共感もあげられると思います。また、市場にさらすということで、天日干しによるアカウンタビリティの向上もあります。リーグとしては社会経済界に開かれたイメージを確立し、新たなモデル提示をすることにより、リーグ・クラブとともに大きくなるというメリットがあると思っています。

Q:鈴鹿の件で質問です。現時点で、JFL内の調査と報告がまとまり最終処分はJFAによるという発表がありました。我々は実際にどういう処分がくだされたのかは公になっていませんが、最終処分確定前としては厳しい裁定かなと見えました。我々は処分の内容を知らないので、窺い知れない部分もありますが、昇格が現状ではできません。かなり踏み込んだ裁定かなと思いますが、ここに至った経緯をできる範囲で教えてください。

A:クラブライセンス 大城マネージャー
今後のJFAの処分に関しては、我々は関わることはできませんので、申し上げることはできません。私たちが今回問題視したのは、JFLの調査において、クラブが自らリリースを出していますが、不適切な金銭の支払など、ガバナンス上、問題があると思われる行為が複数見つかり、そのガバナンスに対して改善を求めるという意味で資格を一時的に停止しました。
J3入会に関しては、次のマイルストーンとしては6月末にJ3のクラブライセンスを申請できるかということになります。その時点で我々が示した解除条件が成就されていれば、資格が復活しJ3のライセンス申請が可能になります。

Q:6月の理事会までにということですが、これは6月の理事会の時点ですでに、改善が認められたという事実がないといけないのでしょうか

A:クラブライセンス 大城マネージャー
そうなります。遅くとも6月の理事会までにということです。

Q:ACLに関して質問です。ACLのシーズン移行が正式に決まりました。次の野々村さん体制の一つの大きなテーマだと思いますが、Jリーグもシーズン移行について議論をせざるを得ないような状況になると思います。ACLの変更についての受け止めと、今後次期体制に託す問題かも知れませんが、Jリーグがどういう課題を持っているかというものを含めて教えていただければと思います。

A:村井チェアマン
Jリーグが将来、世界のリーグに対して競技力をあげていこうというのは、我々が掲げるビジョンの中の重要な要素ですから、世界のサッカーのレギュレーション。特にアジアの大会方式をしっかり受け止めて、それに適応していくことは非常に重要なことだと思っています。
シーズン制の議論に関しては、過去において随分時間をかけて議論をしてきましたが、ACL等海外の大会方式が変更になった時、もう一つは降雪エリアの練習環境、試合環境が大幅に改善された時には、意思決定を変えるべく議論を再開することはあり得るということを過去にも申し合わせていました。今回、その意味ではACLの大会方式が変わるということは、その二つのうちの一つの大きな要素だろうと思います。少し時間がかかったり、大きな予算がかかったりするかもしれませんが、今後練習環境の改善等が進むことが方向感として認められれば、この議論は再開されることもあるだろうと思っています。
もうちょっと踏み込んで言えば、シーズンをどこで切るかの議論は、いろいろな切り方があると思います。秋と春の間に切る、春と秋の間に切る。いろいろ切り方はあると思いますが、日本は、やはりサッカーができる期間を一番長くするにはどういう切り方にするかという議論が本質だと思っています。例えば秋春制に移行したとしても、今の時期、1〜2月はとても1mも積雪があるような地域は、どこで切ろうともサッカーが難しい時期が出てきます。
一方でヨーロッパに合わせたとしても、サッカーができるタイミングにオフィシャルレストを設けなければいけませんので、サッカーができる時期に一か月休まなければいけないこともあります。我々の理屈だけで、うまく決められないこともあります。
前回議論になったのは、入学や企業の決算などの行政年度が日本にはあること。例えば8月ぐらいに昇降格が決定し新たな日程が発表されたタイミングで、既にスタジアムを他の競技団体が抑えているところをもう借り受けることができるかどうか。このような日本固有の様々な問題も克服しなければいけないので、JFA・Jリーグが協力しながら行政や学校教育、その他企業の決算、また移行における0.5年問題や様々なことも協議をして必要があると思っています。これが日本サッカーの発展のために避けては通れないことであれば、タブーなく議論していく必要もあると思っています。
今後もそうした議論を委ねていくのかなと思っています。

Q:鈴鹿の件です。JFLの報告書を本日見て、百年構想から外すという処分になったのでしょうか。また、その報告書は、かなり重大なものだという認識はあったのでしょうか。

A:クラブライセンス 大城マネージャー
JFLの報告書については2月25日金曜日の夜に、JFLからJFLの理事のメンバーに展開された後、JFAとJリーグに共有いただきましたので25日の夜に受け取っています。報告書の中身については、JFLのことになりますので、私から申し上げることはございません。

Q:村井チェアマン、まず8年間、いろいろありがとうございました。今後ともJリーグへのアシスト、また我々マスコミへのアシストもお願いいたします。少し格好つけた言い方になりますが、村井チェアマンにパスを出させてください。今、ロシア・モスクワで戦争が起きています。Jリーガーの選手もロシアのリーグで戦っていることもあり、Jリーグで今回の戦争に対して、ステートメントを出すお考えはあるのでしょうか。

A:村井チェアマン
ロシアに限らず、個人間の暴力が国家間の暴力になったものが戦争と言うのであれば、それに対してJリーグは断固反対していきますという、先ほどお示した私自身のステートメントを解釈していただければと思います。これが私の思いのすべてでもあります。
ロシアリーグでプレーをする日本人選手、もしくは世界でプレーをするロシア人選手。スポーツをする人は、国籍、国家の関係なしに我々の仲間ですから、我々はこうした戦争状態により、それらの選手が不要な誹謗中傷や差別を受けないように、また被害を受けないように働きかけを続けていきます。本件のウクライナ問題に関して、個別・具体的にステートメントを出すかどうかについては、今後のテーマとさせてください。まずは、そこを解釈していただければと思います。

Q:1999年にNATOの空爆に抗議をし、アシストをした当時名古屋に所属していたストイコビッチ選手が抗議のシャツを見せて話題になりました。学生でしたが印象に残っています。それに対してイエローカードを提示しての処分をされていたと思います。今回、ヨーロッパでも選手が抗議を試合中や試合前にしていますし、試合中にもシャツを見せる行為がありましたが、カードは提示されませんでした。今回、Jリーグで同じような事が起きた場合、どのような対処をするのでしょうか?競技場や一般論など、ご意見を教えてください。

A:村井チェアマン
私の先ほどのステートメントに書いたように、リーグとして理由は問わず暴力はダメ、その暴力が国家間、組織間であっても認めることができないという姿勢を表明したいと思います。政治的なメッセージに関しては、それは行ってはならないというルールの中で競技を運営していますので、境界が非常に難しいと思いますが、特定の政治家や特定の政策を非難したりする政治的なメッセージとして介されるものは、いけないという前提で、今後も運用していくことになると思います。暴力、戦争、非人道的なものに反対することが基本スタンスですが、個々の事象に関しては、個別判断になっていくと思っています。

A:原副理事長
1999年、私は浦和の監督でした。その時ゼリコ・ペトロヴィッチという選手が得点を決めた時に、シャツをめくってメッセージを出し、イエローカードを確かにもらいました。今のルールでは、試合中にそういう政治的メッセージをあえて出すことはいけないということになっています。選手にはいろいろな考えがあり、試合前やそれ以外のときは良いが試合中に行うのは基本的にはノーということになっていると思います。
ヨーロッパでそういう対応があったとも聞いていますし、その国の事情や置かれている環境もいろいろと違うと思いますが、基本、選手は試合中にメッセージは出さないということをJリーグも徹底しています。

A:フットボール本部 黒田本部長
そのとおりです。サッカー競技規則に規定されておりますので、そちらをご参照いただければと思います。第4条の競技者の用具5番。「スローガン、メッセージ、イメージと広告」というところに規定されています。

Q:上場の件で、質問です。非財務価値については、どのようなものを指すのでしょうか。具体的事例としてはSDGsやESG投資などを指すと思うのですが、具体的にどのようなものか教えてください。

A:木村専務理事
自分たちは価値があると思っているが、それが証明しきれないことが苦しいところだと思います。例えば選手の価値。人の価値はバランスシートなどには出てきません。クラブの人気も具体的に入場料収入だけではないと思います。地域にどれほど愛されているかという愛の深さは、バランスシート上には出てきません。SDGsやESG投資の観点も同様かもしれません。このあたりは数値化しづらいからこそ、一番早いのは市場に問うてみることだと思っています。

Q:現執行部の皆様、ここまでお疲れ様でした。とりわけ村井チェアマンに置かれましては4期8年、会見も含めてありがとうございました。
鈴鹿の件で詳細を確認させてください。一旦停止になっている資格が、6月までに申請して復活するまでの手続きとしては、6月までに改善が認められたうえで申請がなされていたとして、もう一回審査をして、ある程度の期間を経てからの復活になるのでしょうか。
復活までのタイムラインは、改善が認められるものが認められた時点で復活するのでしょうか。

A:クラブライセンス 大城マネージャー
今回の資格停止は解除条件付きとなっており、解除条件が成就しているかを確認するのはJリーグですから、クラブが申請をし、我々がそれに対応するというプロセスではありません。
4月、5月に我々がクラブとコミュニケーションをとっていく上で確認する可能性はあると思いますが、遅くとも6月に解除されるかどうかが非常に大きなタイミングですので、6月時点で我々が解除条件を成就しているかどうかの確認をすることになります。6月に確認して7月ということではなく、6月中に確認しながら、理事会でご判断いただく形になると思います。

Q:この後、JFAで最終処分が決定されると思いますが、仮に最終処分が非常に重いものだった場合、今回の条件付き資格停止というのは、JFAの最終決定には全く影響されるものではないと理解してよいのでしょうか。

A:クラブライセンス 大城マネージャー
現時点ではそうなりますが、JFAの調査によって、われわれが知らない事実認定がなされた場合、その報告を正式に受け取った際に、対応を考える必要があると思います。現状の資格停止の解除条件は先ほどお示しした2点ですので、JFAの調査に何かしら影響されるものではありません。

Q:本日の理事会に直接かかわるものではないのですが、今シーズン開幕して、Jリーグではここまでレッドカードが多い印象があります。実質9枚出ていますが、昨年同じ時期に2枚しか出ていないので、それに関してどのように受け止めているか、フットボールのご担当者から伺いたいです。

A:原副理事長
J1の2節が終わった段階で9人の退場は例年より多いです。増えているのは間違いないです。むしろJ2はファウル、カードの数は減っていると聞いています。
激しくて、フェアで、エキサイティングな試合において、選手生命を脅かすようなラフプレーは許さないということでやってきましたので、特に最初、VARの適応も含めてカードが多く出ているのは事実です。
ただ悪質なプレーが非常に増えているということではなく、シーズンの最初であること、コロナでベストメンバーがなかなか組めないこと、キャンプでのコンビネーションを合わせたことがまだまだ十分ではないなど、色々な要素はあると思います。冷静に見て、すごくJリーグのプレーが汚くなって、変わってしまったということは私が見ている限りないです。
しかし、現実にはここのところカードが多くて退場者が多いので、1試合で2人がいなくなったシーンも確かにありました。
審判についても、シーズンが始まってスタンダードを合わせる基準、まだまだこなれていない部分もあると思います。だんだん試合をこなすごとに適正に戻っていくと思いますし、選手たちも判定基準にアジャストしながら試合をこなしていくのではないかと思いますので、あまり心配していません。数だけ見ているとすごく増えたように思うのですが、私が生で観ている限り、すごく汚いプレーだという感じはしないので、次第に落ち着いていくのではないかと個人的には思っています。

Q:スーパーカップの際に退場させるべき場面もあったということをメディアブリーフィングでおっしゃっていましたが、そういうことも多少審判員のメンタルに影響していることはあるのでしょうか。

A:原副理事長
心情的にはあるかもしれません。FUJIFILM SUPER CUPで、大島 僚太のプレーが、本来であれば退場させるべきだったのではないかという見解が出されました。それによってもっとしっかり出そうという意識が、審判員の中にもインプットされているということがなくはないと思います。ただ、それが過剰かというと、そこまでではないと思います。
今日ジャッジリプレイを収録しましたが、実際、ジュビロ磐田の山本選手が滑ってしまって倒れてしまって2枚目のイエローカードになってしまったのはアクシデントに近いので、本来はカードがなくてよかったのではないかという話をしてきました。あれは退場ではないのではないかという個人的な見解はありますが、そんなにひどくはないと思います。大島のプレーがトラウマ的になって、しっかり出さなくては、ということが少しはあるかもしれません。

 

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