2011年11月10日(木)17時30分キックオフ(現地時間)
中国、南京@Jiangning Sports Centre
U-16日本女子代表 3−0(前半3-0) U-16韓国女子代表
■マッチレポート
南京入りしてから珍しい晴天となった10日、日本は前回のAFC U-16女子選手権の準決勝で0−1と敗れていた韓国との対戦に臨むこととなった。
同じ江寧スポーツセンターで先に行われた試合で朝鮮民主主義人民共和国が中国を1−0で下したため、その時点で今大会3位以内を確定し、来年のFIFA U-17女子ワールドカップへの出場権を獲得した。とはいえ、勝利すれば優勝を決めることができる重要な意味をもった試合であった。
韓国ボールのキックオフで開始されたこの試合、日本は序盤からリズムをつかむ。
4分に井上綾香からのパスをゴール正面で受けた増矢理花が左サイドの成宮唯にパス。成宮がペナルティエリア内に鋭くドリブルで切れ込み、右足でつついたシュートで日本があっさりと先制。
9分にも左サイドを駆け上がった万屋美穂が韓国ゴールラインまでボールを持ち込み、中に挙げたクロスにゴール正面で増矢がヘディングで合わせたものの、韓国GK Min YukyeongがはじいてCKにのがれた。1度はクリアされたものの、2度目の左CK、隅田凛からのボールがゴール前で混戦となり、右サイドにこぼれたボールに走り込んだ中村みづきが角度のないところから蹴り込み、日本が開始13分で2点のリードを奪った。
さらに19分には右サイドバックの清水梨紗からのパスを受けたMF伊藤美紀がドリブルでボールを運び、中央に鋭いクロスボールを入れた。しかし、増矢のシュートはわずかに枠の外。
日本の勝利を確実にする3点目が決まったのは30分。左サイドで井上綾香がドリブルから中央にスルーパスを通し、そこに抜け出した増矢がGK Minとの1対1となった場面を落ち着いて決めた。
33分には伊藤、38分と41分、43分に増矢が決定的なチャンスを迎えたもののいずれも決まらず、日本は3点のリードで後半を迎えることとなった。
ハーフタイムをピッチ上で過ごした韓国が後半、徐々にボールを回し始める。
しかし、日本も中盤からの固い守りで堅実にボールを奪い、攻撃を仕掛けて韓国ゴールに迫る場面を何度も見せたものの、詰めが甘くゴールに結びつかない。
左サイドバックの万屋も再三攻め上がってゴールライン付近からのクロスボールでチャンスを演出するものの、うまく決めきれず、吉田監督は64分には井上に代えて野口彩佳をピッチに送り込んだ。
しかし、状況はあまり変わらず、やや元気を取り戻した韓国が積極的にボールを回した。日本もうまくボールを奪って味方につなげたものの、ゴール前での決定的な場面にはなかなか結びつかず、実際ゴールが生まれそうになったのは試合終了間際のこと。
万屋が韓国選手3人を次々に抜き、ライナーのクロスを中に入れた。これがゴール前で混戦となったが、ボールを拾った選手のパスをペナルティエリア正面すぐ外で待ち受けていたのは野口。しかし、豪快に蹴ったボールはわずかにゴールの上に外れ、日本は後半、追加点を決めきれなかった。
とはいえ、韓国に明らかなゴールチャンスをほとんど与えなかった日本、中国戦と同じ点差になったものの、内容としては10日の試合が完勝といえるものだった。
この結果、4戦全勝として勝点を12に伸ばした日本が、北朝鮮との直接対決を制しているため、最終戦を待たずに大会優勝を決めた。
■選手コメント
・伊藤 美紀選手
前回の試合(中国戦)は中に入りすぎてしまい、サイドでボールを受けることがなかったので、今日の試合は意識して早めに外に開いてボールを受けるようにし、中に切れ込んだり縦に運んでクロスを入れることができた。前回よりよいプレーが出来たと思うので、70%の出来だと思う。
後半、交代する少し前のドリブルからのシュートや、左足で打ったシュートが決まらなかった。その場面ではより良い選択肢があったと思うし、チャンスでは確実に決めきれるよう、ちょっとした状況判断でよい選択をして行けばもっとよくなると感じた。
中国戦では、ボールを持った時に3人くらいで一気に囲んで取りに来たが、韓国はボールを取りには来るが個人で繰るので、かわせるスペースもあり、やりやすかった。
世界大会に行けば、欧米の身体の大きな選手との対戦も多くなるだろうから、フィジカル面を強化し、身体や腕の使い方をさらに良くし、ワールドカップではより求められるであろう確実に決めきる力を高めていこうと思う。
・平尾 知佳選手
試合前には、チームとして無失点に抑えようという目標を立てた。個人的には的確な後ろからの指示を出そうと思っていた。しかし、声を出すのを忘れた時間帯があったりした。
韓国は日本のライバルで、前半はそこまで感じなかったものの後半は前からどんどんボールを取りに来て、試合に対する気迫があった。
この試合で味方へのパスを落ち着いてつなげたことは個人的に良かった部分。しかし、クロスボールを一発でキャッチできなかったことは反省点だった。
今大会を振り返ってみると、初戦はパスがつなげていなかったが、今日は正確にボールをつなぐことができていて、シュートまで持っていく回数がかなり多かったと思う。
優勝できてうれしいのはもちろんだが、日本代表としてアジアで戦うことがはじめてだったことから緊張があった。しかし、優勝できてよかった。
・万屋 美穂選手
今日の試合では、前よりも落ち着いてボールを回せるようになったと思う。最初は緊張などがあり、あせってしまったり、前に前にという意識が高すぎてパスミスが多く出てしまった。しかし、吉田監督からも落ち着いてボールを回せと言われ、出すふりをして回したりすることもでき、ボール回しが落ち着いていった。
初戦の朝鮮民主主義人民共和国との試合ではオーバーラップがほとんどできなく、相手にボールを支配されて振り回されたという印象があるが、今日はかなり上がっていくことができ、クロスを上げるところまで行けたという手ごたえがあった。初戦はどうしたらいいのか分からないという気持ちがあったが、徐々に(駆け上がる)タイミングもつかめてきて、プレーできるようになってきた。
アジアで優勝したという実感はまだないが、あと1試合残っているので気を抜かずにチーム一丸となって全勝を目指して最後の試合に臨みたい。
以上