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2009Jリーグ チェアマン総括(09.12.08)

 今年、日本経済研究所が発表した「Jクラブの存在が地域にもたらす効果に関する調査」で、Jクラブは「地域の重要無形文化財となり得る」と評価された。Jリーグ開幕から17年が過ぎ、クラブ数は36に増え、「Jリーグ百年構想」が目指す地域密着型のクラブづくりが理解され定着してきた表れであり各クラブの活動に敬意を表したい。
 一方で17年が過ぎ、複数のクラブが経営難に陥るなど様々な問題が表面化してきた。クラブ経営は一朝一夕に成るものではないが、世界的に厳しい経済情勢下において、このような時だからこそスポーツ、サッカーが社会に果たすべき役割の大きさを再認識しなければならない。Jリーグが掲げる理念において、Jクラブは地域活性化の旗頭となるべき存在である。各クラブには、地域を元気にすることで日本全体を活性化する重要な一役をぜひ担ってほしいと願う。
 プロとしての姿勢を問われる課題も残った。日本の将来を担う子どもたちに対して、Jリーグの選手は憧れとともに模範とならなくてはならず、その点においてもJリーグの存在意義が問われる一年と なった。
 Jリーグはさらに進化を求めていかなくてはならない。変革が自らの発展につながるものと考える。より多くの魅力を全国に発信し、日本のスポーツの牽引役としてその役割を果たしていかなくてはならない。

【リーグ戦】
 鹿島アントラーズは、最終節で見事に史上初の3連覇を達成した。これは、若手を育てながら強いチーム力を維持するという困難な仕事を成し遂げた成果であり、監督、選手とともに、クラブづくりに取り組んできた鹿島のスタッフ全員に敬意を表したい。
 川崎フロンターレは残念ながら初優勝はならなかったが、クラブが取り組んできたホームタウン活動がチーム力強化の原動力となったことは間違いない。4位のサンフレッチェ広島は、J1昇格後、アグレッシブで人もボールも動くスピーディなサッカーというコンセプトのもと、魅力的な試合を見せてくれた。これはアクチュアルタイムがJリーグ36クラブ中最も長いという記録にも端的に表れているといえるだろう。高く評価したい。
 J2では、ベガルタ仙台が優勝を決め、昨年に続きフェアプレー賞を受賞した。ここ数年、J2で上位をキープし素晴らしい成績をおさめながらフェアプレーを徹底してきた姿勢が、優勝そしてJ1昇格に結実した。手倉森 誠監督の手腕を高く評価したい。
 また、J1では前田遼一(ジュビロ磐田)、J2では香川真司(セレッソ大阪)が最多得点を挙げた。日本人ストライカーの台頭が期待されて久しかっただけに、特にJ1で前田遼一が得点王に輝いたのは非常に嬉しいニュースであった。

【ACL】
 JクラブがAFCチャンピオンズリーグ(ACL)を制し、FIFAクラブワールドカップで活躍することは、今やJリーグ全体の目標となった。今季は残念ながら3連覇はならず、初出場の名古屋グランパスが4強入りにとどまった。現在のアジアにおけるJリーグの実力からいえば、今年もJクラブが優勝しなければならなかったと考える。非常に残念であった。
また今後は、ACLによるクラブのアジア進出と連動し、アジアマーケットも視野に入れたビジネス戦略を積極的に展開していきたい。


【選手育成】
 2009Jリーグヤマザキナビスコカップでニューヒーロー賞、決勝でMVP賞を受賞した米本拓司(FC東京/決勝戦時18歳)は、素晴らしいプレーを見せてくれた。大きく成長してほしい。同じくFC東京の20歳の権田修一も、GKという経験が求められる重要なポジションでありながら見事にタイトルに貢献するプレーを見せてくれた。他にも、浦和レッズの山田直輝、原口元気ら、有能な若手選手が活躍したが、まだまだ多くの若手選手の台頭が求められる。
 また、今季から新たに設けた最優秀育成クラブ賞は、浦和レッズが受賞した。日本サッカーの強化、Jリーグのレベルアップのためには、ユース年代からの育成が不可欠であり、素晴らしい環境を整え優秀な選手の育成に尽力してきた浦和レッズと指導スタッフには心より敬意を表したい。全クラブにはさらに日本サッカーの未来のために選手育成に励んでほしい。

【プロ選手として】
 2009Jリーグヤマザキナビスコカップ決勝終了後の表彰式において、敗れたチームの選手が品位に欠ける態度を取った。重要な試合に敗れた悔しさ、落胆を理由にするのは甘えと言わざるをえない。プロの選手として人間として、周囲への礼儀、リスペクトを欠いた行為は非常に残念であった。リーグカップ戦のようなノックアウト方式では、勝ち上がって決勝のピッチに立つことに意義があり、両チームとも讃えられ祝福されるべき存在である。折しもJリーグと日本サッカー協会は、サッカーを楽しむために不可欠の要素であるリスペクトの精神を広める「リスペクト・プログラム」を推進している。次代を担う子供たちへの影響も考え、今回の出来事を教訓として全ての選手がプロに相応しい姿勢で試合に臨まなければならない。

【クラブ経営】
 今季は大分トリニータ、東京ヴェルディなど、クラブ経営が深刻化する問題が浮上した。世界的な不況の下、スポンサーの撤退やスポンサー料の減額など厳しい状況に直面しているが、このような時だからこそ、自治体や企業、ファン・サポーター、地域の皆さんと協力し合い、真に地域に根差したクラブづくりを進めていかなければならない。クラブ数の増加が経営悪化の一因との声もあるがそれは全く関係ない。ほとんどのエリアではクラブがマーケットを取り合う状況にはなっていない。地域住民、自治体や地元企業の理解を深め、いかに地域と一体となったクラブづくりをするかが重要である。
そのような意味でも、我々が掲げる理念を推進すること以外に、Jリーグが生きる道はないことを再認識した一年でもあった。

以上

(社)日本プロサッカーリーグ
チェアマン 鬼武 健二
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