2014年12月8日(月)11:00〜、政田サッカー場クラブハウス(岡山市東区升田)で岡山の長澤徹監督就任記者会見が行われました。以下は会見内容です。
「来季から指揮を執ります長澤です。今日、最低気温1度という寒い中足を運んでいただいて誠にありがとうございます。身が引き締まる思いです。
私自身、影山(雅永)監督の退任にともない、チームのほうから話をもらった時、このチームの最大の武器である継続性、少し新たな視点からの指導、という意味で、監督をやることに決めました。灰頭土面(かいとうどめん)、全身全霊で頑張ります」
Q:来季の戦力が固まりきっていない状況だと思いますが、どのようなサッカーを目指すのか、今あるイメージをお聞かせください。
「理想のサッカー、好きなチームは12—13シーズンのユベントスとか、2000年くらいかな、スーペルデポルと呼ばれた、人口20万くらいのクラブ(デポルティーボ・ラ・コルーニャ)がメガクラブをどんどん倒していったイメージがあるんですが、大きな枠で細かいところはまず選手に話さなければいけないと思いますが、大きな枠で選手が生き生きと躍動する姿を見て、サポーターの皆様も一緒に戦っていく。要するに、引きこもった感じではなくて、選手を一人ひとり躍動させたいという思いでサッカーをやりたいと思います」
Q:「継続性と新たな視点」というお話でしたが、影山前監督から何を継続して、何を付け加えるのか、いまの時点でお答えられる範囲で教えてください。
「このクラブが継続してきた文化というのは、私も去年一年間見てきて、ひたむきさであるとか、ハードワークであるとか、クラブとして、チームとしての文化ですよね。明確に言葉にしていくとたくさんになってしまいますが、ハードワークを主としたひたむきさ、最後まで諦めないスピリットを継続していくことを考えています。同時に新たな視点というのはまだ分析を進めている最中ですが、昨シーズンの松本戦の次から8試合勝点の取れなかった時期をクローズアップしまして、色々な方向から分析を進めて、このチームに何が必要なのか、ということを私の視点から選手に提示をしていきたいと思っています」
Q:具体的に来季の目標をお聞かせください。
「明確な順位等をここで言うにはまだ至りませんが、私の大きなイメージとしては、真の昇格争いと言いますか、最終節に昇格をかけている、とか、その位置にいる。どうしても今シーズンもそうでしたし、昨シーズン、私はいませんでしたが、話を聞いた限りでラスト数試合で可能性が途切れてしまったということがありますので、真の昇格争いという意味で、最終節でしっかりとそのポジションにいる、そこを狙っているという状況を選手とともに作りたい、今のイメージはあります」
Q:松本戦以降、8試合勝てなかった、というチームの分析の部分で、今お話できることがあればお願いします。
「あそこで勝点10が取れなかった。場面でいうと、セットプレーの2次攻撃で、サイドからボールを入れられてからの失点が14ですか、やられているので、そういう単純なところから、メンタリティ、心技体にかけてうまく選手に伝えられるように分析を進めています」
Q:Jリーグの監督は初めてだと思いますが、ご自身でこういうタイプの監督になりたいか、イメージはありますか。
「あのジュビロで暫定として一応、少しやらせてもらったんですが(2013シーズン第10〜13節、磐田の監督代行として指揮を執った)、私自身このキャラクターと心中するしかないと思っていますので、チームを率いるにあたっては選手の躍動感を引き出したい。わりとデリカシーなく選手には思ったことを伝えてきたので、思ったことを誠実に伝えながらチームを同じ方向に向けて引っ張っていきたいと思います。さきほど言ったスーペルデポル時代の(ハビエル)イルレタさんと言って、今は(アスレティック)ビルバオのディレクターになっている方、そういう人が大好きでよく会いに行ったりしてたんですが、要するに選手の能力を引き出して成長させて行く、ものすごい有名な選手を集めてというよりも、僕は選手の成長に賭けたい、というふうに思っています」
Q:生まれ育った瀬戸内の思い出(愛媛県出身)はありますか。
「岡山は今年来て、一年なんですが、サポーターの方の純粋さ、光景と言いますか、スペクタクルなんですよね。最終節を含めてなんですが、ああいう透明感には感動を覚えました。思い出というのは今年一年の思い出なんですが、そういうサポーターを見ていて胸が熱くなりましたし、何とか、そういう皆さんに別の光景を見せたい、という強い思いがあります。一番最初に浮かんだのはサポーターのそういう部分です」
Q:監督の話をもらった時にはどんな思いだったのでしょうか。
「このクラブの継続性、前任の影山監督、その前の手塚さんがおられて、話を聞いた時は正直なところ、私自身、まったく予測はしていませんでした。でも聞いた瞬間、引き受けるという気持ちは腹にくくりました。なぜかというと、素晴らしさですね。サポーターを含め、この土地に、新しい光景を届けたい、と、その一瞬で思ったので返事はすぐにしました。深い考えというより、その思いが一番強かったのが現実です。すみません、言葉足らずで」
Q:今はどういう思いでしょうか。
「来季はメガクラブがJ2に揃うという特殊なリーグになると思いますので、ブレずにみんなで乗り切って行くという意味でも、私自身の覚悟を定めていきたいと思っています」
Q:これまでのサッカー人生を。
「自分のことを語るのは非常に恥ずかしい面もあるんですが、愛媛県松山市で育ちまして、高校に入る時に清水(清水東高校)、サッカー王国だった静岡に挑戦したいということで乗り込んで行きました。サッカー解説の武田(修宏)さんとかがひとつ上で、厳しく指導されていて、よく練習をずっとやっていたことを覚えています。そこから筑波大学に進みまして、先輩に先日、J1優勝しました長谷川健太さんや、中山雅史さんといった錚々たるメンバーの中でサッカーを学ぶことが出来ました。そこからジュビロに入り、ホンダ(本田技研)に入り、コーチとしても本田技研でやっている中でFC東京さんにお世話になり、自分の人生の中では、色々挑戦した後にはリターンが必ずかえってくる、という感覚があります。清水に出て行ったのも当時は大変なことで、中学校の先生をはじめとする皆さんが協力して実現したことですし、ホンダからFC東京にコーチとして行く時もいろんなことがあったんですが、そういうチャレンジをした後には必ず大きな報酬が待っていると、気楽にこういうことを言うのはあれですが、そういう感覚があるので、サッカー人生は何かに挑戦していくことで何かが得られるということは体得していますので、今回もしっかり挑戦していきたいと思っています」
Q:好きな言葉は。
「さきほど言いましたが、灰頭土面(かいとうどめん)。禅の言葉なんですが、泥だらけになっても埃だらけになっても、かっこつけずに、自分のありのままの姿でチームを率いて前に進んで行く燃える闘魂でありたいと思います」
Q:今年一年間、練習場のグラウンドで、シンプルな言葉で選手に伝える姿が印象的でした。指導者としての強みをお聞かせください。また、過去5年間、シーズンが雪山登山や小豆島などの冬期キャンプでスタートしていますが、来季スタートのプランをお聞かせください。
「キャンプについてはちょっとまだ検討中なので、時期が来たらお伝えします。指導者としての強みは、小細工せず、言いにくいこともしっかり伝えていきたいと思います。強みとは言えないかもしれませんが、その時思ったことをしっかり伝えることは、自分の特徴であり、今まで貫いてきたことなので、そういうスタイルでやっていきたいと思います」
Q:来季のチーム編成について。
「編成の最中で、リクエストや構想については、選手がここから動きの出始める状況なので、もう少し時間をいただけたらと思います。今の段階ではなかなかどうとは言えないので、申し訳ありませんが、隠しているわけでもなく、少し時期を待っていただいてお答えさせていただければと思います」
Q:J2というリーグについて、勝ち上がって行くには何が大切と考えておられますか。
「J1経験のあるチームが半分以上になる中で、メガクラブがたくさんいるリーグになると思いますが、色んな強みで勝つことも知っていますし、素晴らしい選手で勝つことも知っていますが、どれほど相手がメガクラブであっても、ファジアーノは自己犠牲とか、ハ−ドワークというところでは絶対に譲らない。そこでは我々にはかなわない、ということを継続してきたチームなので、そこだけはしっかりと押さえながら戦っていきたい、そのスピリットでは譲らない、ということをしっかりとやっていきたいと思います」
以上
2014.12.08 Reported by 尾原千明