F東京と、横浜FMにとっては、今季を象徴する一戦となった。白星締めを互いに逃し、1-1の引き分けに終わった。
F東京は42分、右CKをMF高橋秀人が頭で合わせて先制した。だが、59分、横浜FM・伊藤翔に同点弾を決められて追いつかれてしまう。その後は77分、相手DF栗原勇蔵が退場して数的優位に立ったが、ゴールネットを揺らすことは最後までできなかった。
リーグ新人最多得点記録更新の期待が懸かったFW武藤嘉紀は55分から途中出場したが、残念ながらノーゴールに終わった。マッシモトーキョーの初年度は、終盤5試合で3分2敗と失速。勝点48の9位で終えた。
この日のF東京は、普段のシステムから変更し、4-4-2の並びでスタートした。スキのない堅守で試合を進めつつ、セットプレーから高橋が先制点を挙げた。ここまでは、完璧な内容だったが、あと一歩が足りなかった。梶山陽平は言う。
「トップ下がいない分、前線の2枚との距離が遠く、出し所がなかった。ダブルボランチになったときは、ボランチ同士でパス交換をして時間をつくらないといけない。そこは選手同士で話していかないといけなかった」。
守備の再建を図った今季は、昨季よりも14失点少ない33失点でフィニッシュした。クラブ史上最少失点を記録したが、同時に昨季クラブ史上最多61得点から14得点減となった。来季に取り組むべき課題は明らかだろう。スキのない守備を継続しつつ、いかに攻撃の構築をしていくか。最終戦で詰め切れなかった攻撃の細部に手を入れなければならない。それは、横浜FMにとっても同じだろう。29失点は今季リーグ最少失点。そこに、いかに上積みができるかで上位進出も、優勝争いにも顔を出すことは可能だろう。
今季限りで勇退する横浜FMの樋口靖洋監督は、会見の最後をこう締めくくった。
「奪いに行く守備が私の掲げたテーマの一つでしたが、それを高いレベルでやってくれたと思います。その反面、攻撃に関しては良い奪い方をした後、ゴールに向かう回数と、精度はまだまだ足りない。ラスト3分の1のところはやりきれなかったという思いでいます。選手たちは、その課題を理解していますし、バトンを引き継いだ方にそこを改善してほしいという思いでいます」。
互いに中位に沈んだ、今季のF東京と、横浜FM。トリコロールは、新たにバトンを受け継ぐ新指揮官へと課題も引き継がれる。
イタリア人指揮官を招聘して改革元年となったF東京は、その成長を加速度的に進めなければいけない。幸いなことに、青と赤が歩むべき道は、クッキリとそこに見えている。
以上
2014.12.07 Reported by 馬場康平