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【J1:第33節 柏 vs 清水】レポート:ネルシーニョ監督に捧げる日立台ラストマッチの勝利。敗れた清水も最終節へつながる気迫を見せた。(14.11.30)

柏にAFCチャンピオンズリーグ出場権獲得とネルシーニョ監督の日立台ラストマッチというモチベーションがあれば、清水も残留を懸けて強い想いを持って日立台へ乗り込んできた。

最初に主導権を握ったのは柏。10分、清水の縦へのくさびのパスを渡部博文が弾き返し、ルーズボールを拾った栗澤僚一から右サイドの太田徹郎へつなぎ、最後はファーサイドで待ち構えていたレアンドロが押し込んで、柏が先制する。鮮やかなカウンターだった。
だが、「得点してから数分間、落ち着きを無くしてしまい、相手にチャンスを与えてしまうシーンがいくつかあった」(ネルシーニョ監督)というように、柏はつなぎが雑になり、イージーなボールロストが増える。
そうなると相対的にペースを握るのは清水だ。大前元紀、高木俊幸ら、スピードのあるサイドの選手に、インサイドハーフとサイドバックが絡んで両サイドを押し込み始め、クロスを供給する。28分には、ノヴァコヴィッチのクロスに六平光成がダイビングヘッドで狙う際どいシーンも作った。柏にボールを奪われた直後は前から奪いに行くが、相手が遅攻に持ち込むと判断すれば、しっかりと4−5−1のブロックを作ることで柏の攻撃を遮断した。

ネルシーニョ監督が作り上げたチームの特徴の1つは、自分たちのリズムが悪い時間帯では体を張って耐え凌ぎ、反撃のチャンスが訪れると、そこで一気にギアを上げて仕留めるといった、“勝負どころの見極め”が挙げられる。
この試合で、左ウイングバックの橋本和に比べ、ほとんど高い位置を取れなかった右のキム チャンスが、38分に太田とのワンツーで清水サイドバックの裏へ抜け出し、そのクロスをレアンドロがヘッド、そしてGK櫛引正敏が弾いたところをドゥドゥが詰めた。ネルシーニョ・レイソルらしい、一撃必殺の攻撃で2−0とした。

後半は、ビハインドを背負う清水がリスクを冒して前へ出ると、柏がその裏を突いていく展開になる。
レアンドロのプレーは相変わらず素晴らしかった。彼が平岡康裕、三浦弦太のアプローチをスルリとかわしてしまうため、清水の守備はバランスを崩し、ギャップに入る太田とドゥドゥを絡めて清水に圧力を掛ける。62分には、その前線3枚の連携から清水の守備を崩して、ドゥドゥが3点目を奪った。3−0になったこの時点で、勝負ありの感はあった。

ただ、3点差になっても気持ちを切らさずに、勝点を奪いに行った清水の気迫は敬服に値する。3失点目を喫した直後から村田和哉、長沢駿を投入し、六平を左サイドバックに置く攻撃的な布陣を取ったことで、カウンターを浴びて数々のピンチを招いたが、「3点差だろうが4点差だろうが、点を取っていかなきゃチームは勝てない」と、あくまで勝利を意識して入った長沢や、村田の投入から、相手ゴールへ襲い掛かる圧力が増したのは確かだった。
81分にセットプレーのこぼれ球を長沢が詰めて1点を返し、86分にはドリブルで切れ込んだ高木のシュートが桐畑のセーブに阻まれ、90分にも村田のシュートがバーを直撃するなどラスト10分間の猛攻には迫力があった。
今節は望んだ結果を得られなかったが、選手の残留に懸ける想いと、試合が終わっても選手たちを鼓舞するチャントを歌い続けた清水サポーターの気持ちは、「引き分け以上で残留」という条件を得た最終節の戦いに、間違いなくつながってくるはずだ。

柏も、勝って最終節にACL出場権獲得に望みをつないだ。そして、5年半に渡ってチームを率いて、数々のタイトルをもたらしてくれたネルシーニョ監督に、最後の日立台で勝利を捧げられたことが何より良かった。
最終節、アウェイの新潟戦で勝利を挙げ、ACL出場権を獲得するとともにネルシーニョ監督の花道を飾る。それが、柏にとっての最高のシナリオだ。

以上

2014.11.30 Reported by 鈴木潤
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