リーグ4位でJ1昇格プレーオフに臨む磐田。準決勝で山形、決勝で千葉に勝利できれば来季J1昇格(※準決勝はドローでもOK)。もちろん一つでも負けた時点で、来季もJ2を戦うことになる(※決勝戦はドローでも敗退)。
一つのキック、一つのトラップでクラブの運命が大きく左右される。そんな過酷な戦いが待っている。その大一番を控えた11月24日、浜松市内のホテルでシーズンシート購入者向けのイベントが行われ、選手・スタッフが出席した。イベントは毎年恒例のもの。会場を訪れたサポーターと記念写真やサインなどのファンサービスで触れ合った。
イベントが行われたのは最終節・札幌戦(1△1)の翌日。4位でのプレーオフ進出が決まり、そこへ向けての決意表明の場にもなった。ステージ上に立ったのは選手会長・岡田隆。その言葉に会場の空気がぐっと引き締まった。
「(プレーオフ決勝までの)2週間は非常にピリピリとした時間が待っています。ジュビロの歴史において非常に重要なターニングポイントとなる時間が待っています。僕たちは人生を懸け、J1昇格に向けて戦っていきたいと思います」。
08年の入れ替え戦・仙台戦(第2戦)では、ピッチ上でJ1残留の瞬間を味わった。ヤマハで行われた極限のバトルを肌で知るからこそ、『人生』という言葉にも重みがある。
まずは明日、ヤマハで山形との準決勝に臨む。試合前日の囲み取材。名波浩監督は「明日の1試合で(J1昇格が)決まるわけではないし、もう一つ“山”があると意味ではリラックスしてできると思う」と冷静だった。また、報道陣に選手たちへのメンタル的なコーチングを問われると、「それは『言わずもがな』でしょう。やるしかないという状況だから」と同監督。派手なコメントはなかったが、その言葉の節々に緊張感を漂わせた。
『人生』をかけた戦い。それは何も明日だけではない。リーグ戦の一つ一つがプレーヤーとしての、そして、クラブとしての評価に直結している。その一つ一つを積み重ね、やはり本来であれば自動昇格圏内に食い込みたかった。1年間の“ツケ”が4位という順位に凝縮されている。クラブにとって不本意なシーズンであることは間違いない。だが、幸いにもまだ“チャンス”は残されている。いつも以上の重圧の中で選手、監督はどんな立ち振る舞いを見せるのか。そして、ヤマハスタジアムのサポーターはどんな雰囲気でチームを迎えるのか――。
J1の優勝争いは最終節までもつれることになったが、J2の熱き戦いもまだ終わっていない。
以上
2014.11.29 Reported by 南間健治