●山口素弘監督(横浜FC):
「試合の総括に関しては、当然勝点3、勝つと言うことを僕もそうだし選手も強く望んでいたというのがあって、その勝点3をとることが出来たと、それも最後、ずっと言っていた粘り強くタフにプレーするという所を表現してくれたのは非常に嬉しかったですし、選手におめでとうという風には声を掛けたいと思います。
ゲームに関しては、北九州は非常に組織的で良いプレーをするチームだと思いますし、成績も上位にいるチームだし、1つのポイントはブロックをどうやって崩すかというところを焦点に当ててやっていました。前半は、ちょっと肩に力が入っているなと言うところが見受けられましたが、後半に入って少し指示であるとか、立ち位置、選手交代もしたのかな、その中でリズムをつかんできたというところです。
流れの中で取りたかったなという欲は当然ありますけど、全員集中してやってくれたと思いますし、点を取った時にああやって選手が集まってくれたのは嬉しかったです。ただ、多少の恨みつらみがあるのかなというのは、見えないところでだいぶ蹴られたりしましたけれども。おかげで(スーツの)ボタンも一個取れました(笑)。
ゲームの感想はそんなところで、先ほども(セレモニーで)話をしましたけれども、3シーズンやって、僕自身も良い勉強になったし、いろいろ経験させてもらったというのもあるし、その中で本当に本音を言えばもう少し(監督を)やりたかったというのは当然ですよね。選手が成長していく姿を見ていると。なかなか成長しなかった奴もいますが、それもかわいいもんで、というのがあって。ただ、先ほども理由を伝えましたけど、理由は3つあります。1つは当然成績ですよね。2つ目はさっきも言ったようなことかな。僕の信念とクラブの理念が違うというか。これからはクラブの理念をより進める、というかちょっと方向は違うので、だからというのが理由です。あと1つは、全体的に若い選手を育てながらというのを含めて、クラブとして育成年代を含めた若い選手というのを考えるというので、経験値の高い人が来るんでしょう。誰が来るかは本当に知らないですし、そういう監督を呼びたいという意向だと。その3つかな、大まかに言うと。
先ほども言ったように、監督という職業は要請があって初めて受けるものですから。自分からやりたいというのは念を送るしかないんでね。ここの監督の話が来たのも突然だったし、そういうもんだと思います。タイミングとかいろいろね。まあ、僕が離れるのもタイミングだと思いますし、それは僕も十分理解しています。ただ、さっきも言ったようにこのクラブができた経緯も知っているし、選手としてもこのチームでプレーしたし、このチームで現役を引退をしたし、最初の監督としての第一歩もこのチームで踏み出せた。そういうのを含めて、このチームにはもっともっと良くなって欲しいという思いは強いかな。だから、いろいろあれでもオブラートに包んで話をしましたけれども(笑)。もうちょっときれいな言葉を並べて去るのがいいんでしょうが、それができない性分なんで、そこは許してもらおうかなと思います。そんなところかな。何か聞きたいことがあれば、最後の機会なのでどうぞ」
Q:2番目のクラブの理念と監督の信念のところですが、難しくてオブラートに包まれたと思いますが、しゃべれる範囲でもう少し具体的にお願いします。
「プロとして競争というものがあるのが当然だと思うんですよね。競争の中で切磋琢磨してチーム内で戦っていかないとお互いが伸びないし、チーム力が上がらないと思うんです。最初の年に特にエルゴラッソさんにはエルゴラッソ泣かせと言われて、コロコロスタメンも変わりましたが、まず1つは、僕が来る前は選手も含めて色々なところで競争意識が薄かったのかなと。僕も色々やる前に監督としての勉強もそうですし、自分の現役時代の考えも含めて、海外研修とかも行きながら、他の監督に聞いた時にも同じ考えの人もいたので、それは競争でやらないといけないというのと、あとは、同じ方向を向かないといけないというのは当然あるし、そういったところだと思います。全然わからないでしょ(笑)。自分で言っていても全然わかっていない(笑)。どうやってオブラートに包もうかなと(笑)。
まあ、そうなんですよ。逆に言えば来年わかりますよ。クラブとしてどういう戦いをするのかとかも。どういう監督を連れてくるかとか、どういう強化部長を連れてくるかということでしょ。強化部長は今まで不在だったので、このクラブは。それは、あまり正常なところではないのかな。さっきも言ったけど、僕は奥大介が強化部長だし、僕の強化部長は奥大介1人だけだと。それが1シーズン目でいなくなったけどね。今年大介がああいうことになって、非常に残念だし、いろいろなクラブを見ても、そこは大事なところかなと。クラブを強化する、現場を強化するというところでは。ある意味いろんな、各クラブ補強とかそういう問題にもなるでしょうが、そこで先手先手を打つのも1つですよね、クラブを強くするとか、チーム内を活性化させるという意味では。そういうところでは、ちょっと遅れを取っているなと正直に思います。そういうところが、残念だったかなと思います」
Q:横浜に愛されていて、横浜でサッカーに長く関わられていたわけですが、フリューゲルスの消滅に至る過程では、応援も含めてクラブに一体感がない中でお客さんが入らないことが原因にあり、それに対するアンチテーゼで横浜FCができて、16年経って、先ほどのセレモニーで一体感を強調しなければいけないというのは、16年で変わっていないのかなという感じもするのですが、いかがでしょうか。
「正直に言えば(16年前と)変わっていないんでしょう。その間、(横浜FCの)内部のことは知らないけど、僕も外から見ていて、そう感じる部分もあるし、そういう声があるのも知っているし、このクラブはね。そういうところは足りていないところでしょうね。このクラブができた経緯を考えれば、そこを抜きにして語るのはちょっとお門違いということですよね」
Q:サポーターも経営も両方ですか?
「まあそうですね。先ほど、サポーターとも話をしましたが、もちろんサポーターの思いもあるし、クラブの考えもあるでしょうし。ただし、そこをいつまでも平行線で行ったら、というのはあるでしょう。まあ、クラブ会員もいらっしゃいますし、そこを含めてだと思いますよ。だから、このクラブはこうやっていくんだというところですよね。それがはっきりしないと応援のしようがないと思います」
Q:監督就任から51勝という成績ですが、振り返っていかがでしょうか?
「成績はもう少し勝ちたかったというのが当然ありますよね。1年目は途中からというのもあるし。そのあと2年目こうしたいとか、3年目こうしたいという思いが当然ある中、さっき言ったようにチーム作りの初動の段階で正直遅れを取ったのは残念だと思うし、成績を見ても失点は安定しているというところで、1年目は得点を挙げられたけど、2年目、去年は明らかな得点不足ということで、今年そこを焦点にしたところで、正直うまく補強できなかったと。
見ればわかるとおり、去年得点が少ないのに、FWの人数が去年より減っているとそれはなかなか厳しいかなと。僕も当然要望を出して、もちろん100%の補強は難しいと思うんですが、当然あるだろうし、でも軸としたところを考えた時にね。ただ、それでやっていくうちに、こちらも開き直って、じゃあ、そういうストライカー的な選手がいないのであればどうやって点を取ろうかという工夫はできたので、勉強にはなったところはあります。
前にどこかで言ったように、岡山戦を負けてプレーオフ進出が断たれたわけだけど、その前にプレーオフに絡んでいるチームの中で、2桁得点の選手がいないチームはうちと岡山だけだった。その後、岡山は押谷君が入れたので2桁になったのかな。うちは黒津の7点。黒津が最後の方に量産してくれましたが、その前は野上だったのかな、DFの。その中で争いをしていたのは、1つは面白いもんだなと思ってやっていましたけど」
Q:初めての監督としては、いい3年間だったでしょうか?
「ピッチ内では良い経験をしたし、たくさん勉強になったことがあるなと。ピッチ内で起こることは、いろんなことがためになるし、ピッチ内にいないとわからないことがいろいろある。それは非常に良かったし、自分の肥やしになったなと。
ピッチ外のことに何しては、もめ事がないのが一番いいよね。ただ、ピッチ外のことをいろいろマネージメントするのも監督の仕事だと思いますけど。まあ、そんなところは正直大変なクラブですよ。それも十分承知でやっていたし、引き受けたのはあるから。ただ、大介がいなくなったのは誤算ですよ、僕にとっては。あいつが全部やりますよと言ってくれたので、『よし大介頼むぞ』という感じだった。1年でいなくなった。そこは1つ寂しさでもあり、そういうのがあります」
Q:監督自身はこれからどのような道を進まれるのでしょうか。監督業にこだわって続けたい?
「今後に関しては全くわかりません。今年の最初にチームで配ったとおりで、なるようにしかならないと。お願いします、職を与えてください(笑)。1回ちょっと、現場をやったので、もちろんその欲は強くなっています。いろいろ監督は大変でしょって周りに言われるのはありますが、大変ですけど大変だから面白いかなと。大変だからやりがいがあると思うし。もちろん、サポートしてくれる人もいるからと言うのもあります。ただ、最初に言ったけど、こればかりは依頼がないとできませんので。お待ちしています(笑)」
Q:監督としての第一歩を踏み出されて、監督としての喜びは何だったでしょうか?また、監督業を端から見ているのとやるのと大きな違いは何だったでしょうか。
「一番は、選手の喜びですよ。今日もああいう風に喜んでいる姿を見ると嬉しいね。ともにトレーニングでは厳しく接しているし、追い込むところは追い込んでいるし。ただ、ああいう姿、顔をみると嬉しさはあるよね。それは選手だけでなくて、スタッフもそうだし、一緒にいろんなものを作り上げてね。サポーターもそうですし。でも一番は選手かな。
監督業を端から見て、というか僕も選手の時があったので、選手として監督を見ていたときは、大変だな絶対にやりたくないなというのはありました。加茂さんをはじめ、岡田さんとかね。いろんな方を。なんでそんなにやりたがるのかなと。岡田さんなんて特にそうですよね。もうやらないと言って何回もやって(笑)ただ、僕も選手として経験を積み重ねた中で、より最後の方は年齢の近い人と一緒にできるようになって、反町さんもそうだし、高木さんも。そういう中で自分をそこに置き換えながら考えて、大変だけどその時もなんで大変なのにやるんだろうというのはわからなかったし、反町さんなんてそうだよね。あんなにミーティングしていて、寝る時あるのかなと。ただ、自分もこっちに来たときに、これが楽しさか、というのは感じた部分はありますね。その気持ちがある限りはやりたいなと思います」
Q:今日対戦した北九州の印象は?
「非常にまとまったいいチームだと思いますし、組織だった守備から攻撃への切り替えは非常に意図したものであるというのは感じます。そこは、さすがに柱谷さんは経験のある監督だなと思いました。もう1つは、北九州はライセンスがない中で上に上がる可能性はないですよね。ただし、こういう成績を上げているのは、いいモチベーションの持たせ方をしているだろうなと思うし、個々を見ても力のある選手がいて、横浜FCでも一緒にやった八角だったり、渡邉も一緒にいますが、そこは強く感じました」
Q:やりづらさは?
「そりゃ、やりづいらいですよ。どんなチームでも非常にやりづらいですよ」
Q:選手時代に取材させていただいたときに寡黙な印象があって、監督になってかなり饒舌になりましたが、もともとしゃべる方だったのでしょか?
「1つはこう見えて、人見知りなんです。もう1つは、寡黙というかおとなしいイメージがあるので、あまり崩しちゃいけないのかなと。あと、監督としてしゃべるのも大事なので。まあ、監督業をやる前に某テレビ局で鍛えられたのでね。まあ、ひどい職場ですよ(笑)。しゃべらないといけないから。というのもありますし、本来こんな感じですよ。
最後に、藤野広報は、僕の節目にはかならず彼女がいるのでね。監督の加入会見も引退の時も。だから、彼女には感謝しています。拍手してやってください。ありがとうございました」
以上