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【J2:第42節 京都 vs 岐阜】プレビュー:未来への一歩は最終節から。岐阜を西京極に迎えて、京都は来年に向けての勝利を目指す(14.11.23)

今季42節の戦いも残すは1試合。岐阜を西京極に迎えての最終節だ。

京都は前節、長崎に見ごたえのある粘り勝ちを見せた。だが、7位・大分、6位・山形が勝点3を積み上げたことで、京都の6位以内は消滅し、昇格プレーオフ進出の道は断たれた。
そのタイミングで、川勝良一監督を始め、コーチ陣、祖母井秀隆GMなどチーム首脳陣の辞任、退任も発表された。周囲はあわただしく動き始めたが、最終節は残されている。川勝監督も「クラブの未来につながるよう」、最終節に最高の試合を、と万全の準備を整える。

対戦相手の岐阜は現在18位。下位ではあるが、今季は躍動の年と言っても良い程の明るい雰囲気を醸し出すチームだ。前節は、松本を相手に3−1で勝利し連敗を止めた。同点にされてから突き放す粘りを見せホームの最終戦で勝利した。京都・川勝監督も「前線にナザリト、難波(宏明 神戸時代に川勝監督が指導)がいる。キャリアのある選手もいて決して油断できないチームになっている」とした。前回対戦でもクロスから難波、ナザリトに決められて2−1(京都の得点は有田光希)で敗れているだけに、借りを返したいところだ。

京都にとって欲しいものは勝利。気持ちよく勝つことで、来年へ希望をサポーターに感じてもらうことが何よりも重要だろう。

とは言いつつも、京都はクラブの方向性がぼやける可能性もあるのではないか、という不安が拭えない。2010年に降格が決まってから4年。これだけ長くJ2にいたことはない。だが、筆者個人の感覚としては、クラブが自身の方向性や未来を強く指し示した4年間だったと思っていた。
クラブの存在を農園に置き換えてみる。農園は町のシンボル的存在になりたいと思い、一年に一度の収穫で豊作になるよう作業する。だが、豊作もあれば不作もあるのが農業。そんなに簡単に上手くはいかないし、ずっと豊作ということもあり得ないことだ。それでも、町の象徴になれるようにと、今度は町の人たちに向けて色々と行動を起こす。農園をもっと知ってもらおうと、農園を通じて町の人たちが交流できたり、農園で楽しい経験をしてもえらる様にと取り組み始める。こうした取り組みが2011年から、農園(クラブ)から発信される様になってきたということだ。
祖母井GMが来て、彼が活動を始めたころから、町の人たちへの働きかけが強くなったように思う。その一つが池上正氏の招へい。氏が始めた「サンガつながり隊」のお陰で、スタジアムの子供たちの数は増えていると実感している。子供たちが高校生になった時に今度は仲間と「サンガの試合を観に行こうや」とスタジアムに来てくれる。その子が社会人になり、親になり、そして自分の子供を連れてサンガの試合を観に来てくれる。こういう未来が想像できる。でもそれは10年、20年仕事である。4年くらいで本当の成果は見えない。
こうした取り組みも含め、町の人たちの関心が農園に向かって行っているという希望や期待が持てる様になった4年間だったと思っている。

農園は収穫が全てである。豊作を目指すのは当然で、それが一番大事だろう。でも、収穫の時期は一年に一度、必ず来る。農園主がそれだけに一喜一憂していても、町の人たちは農園に眼を向けてくれない。
この農園を中心にして、本当に見てみたい光景はどんなものだろう。町の人たちと収穫を喜びあえる農園ではないか。
収穫が不作に終わっても、町の人たちから「来年はきっと良くなるよ」とか、「でも、今年一年、子供たちも農園で遊んで楽しい思い出もあったよ」と言ってもらえる様な光景ではないか。もちろん「不作ばかりでこんな農園もうええわ!」と叱られることはあるだろう。が、町の人たちの象徴となれる農園の姿は、作物の収穫だけが全てではないのではないか。
祖母井GMのいた4年間にそれを教わった様な気がする。

今季の収穫は結果から言えば不作である。だが、駒井善成、伊藤優汰ら若手から、酒井隆介といった中堅、そして工藤浩平とそれぞれの選手の成長も強く感じさせてくれた。その継続を期待させるためにも勝利が必要である。
その選手の成長とクラブの未来を重ねる。その一歩目として、最終節、選手の頑張りに期待したい。そしてクラブも、未来への志と道順を明確に示すべきだろう。

以上

2014.11.22 Reported by 武田賢宗
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