第41節栃木戦で今季のホームゲームの日程が終了しました。今季はホームで5勝8分8敗と負け越す、残念な結果に終わってしまいましたが、過去最多の観客動員数を記録するなど、着実にクラブをサポートする輪は大きくなっています。それを象徴するように今シーズンは新たに2つもクラブ応援ソングが誕生しました。
1つは水戸市出身のシンガーソングライター磯山純さんの「Ole ホーリーホック 〜葵の魂を見せてやれ〜」です。
2012年から音楽活動をはじめた磯山さん。水戸駅近くでの路上ライブを精力的に行って注目を浴び、今年3月に敢行した茨城県民文化センター大ホールでのワンマンライブにはなんと1500人ものファンが集まるほどの人気を集めています。6月には「みとの魅力宣伝部長」に就任。現在は茨城を飛び出し、全国的に活動の場を広げる人気沸騰中のアーティストなのです。
そんな磯山さんと水戸ホーリーホックの出会いは水戸駅のペデストリアンデッキで路上ライブを行っている時にクラブスタッフが話しかけたことだったそうで、その後カフェで話をしながら「水戸を盛り上げたい」という思いで意気投合し、11月1日第39節横浜FC戦でミニライブを行うことが決定したのです。
ただ、ライブだけではもったいないということで、スタッフがダメもとで「応援ソングを作ってくれないか」とお願いしたところ、磯山さんが快く引き受けてくれたことで新たな応援ソングが誕生することとなったのです。
人生はじめての応援ソングの制作ということで「寝ても覚めても『どうしよう!?』」と試行錯誤をしたそうですが、「自分の思いだけを込めるのは押しつけがましい」ということで、自身のラジオ番組やクラブスタッフを通してサポーターの声を募集。サポーターの心の中を知ったことでイメージが沸き、曲と詞ができていったそうです。
曲のポイントは「応援ソングは攻撃的なものが多い。でも、DFもGKもいる。誰でもヒーローになれることを伝えたかった。そして、サポーターの思いである『ともに戦おう』というメッセージも入れた」ところだそうで、「ぜひチャントにも使ってほしい」と笑顔で話してくれました。
そしてもう1曲がシンガーソングライターの宇宙まおさんによる「無限の力」です。宇宙まおさんは2012年にメジャーデビュー。いきなり同年の「ROCKIN’ON JAPAN FESTIVAL」に出演するなど注目を集める若手アーティストです。東京都出身で水戸には縁がない宇宙まおさんですが、水戸市在住の知人を通じて水戸の試合会場でミニライブを開催することとなりました。
当初、8月10日の第26節北九州戦でライブを行う予定となっていましたが、その日は台風のために中止に。そして、ホーム最終戦の栃木戦であらためてライブを行うこととなったのですが、「応援ソングを作らせてください」と宇宙まおさんの方からクラブに提案して、制作されることとなったのです。
磯山さん同様はじめての応援ソングの作成。しかも、宇宙まおさんは「これまでサッカーのことを全然知らなかった」そうで、曲を作るのは「難しかった」と苦笑いしながら振り返りました。「これまでは自分の思いを歌って来ましたが、今回はそうじゃないので難しかったですね。『これじゃない』と何度も作り直しました。選手やクラブスタッフのみなさん、支えているサポーターのみなさんなど目に見えない人々のことも考えて作るので、中途半端なことはできないなというプレッシャーはありました」。
そうしてできたのが「無限の力」だったのです。実際にスタジアムでサッカーを見て「自分が音楽をするのと似たものを感じた」と話す宇宙まおさん。「上に上がることを考えると力が沸くけど、時には気持ちが入らなくなる時がある。でも、その時は自分に『まだまだやれる!』と暗示をかけるしかない。そう考えて『無限の力』というタイトルをつけました」。まさに今の水戸の現状にピッタリのタイトルと言えるでしょう。
試合前、スタジアム外の特設ステージで行われたミニライブが行われ、終盤には宇宙まおさんの代表曲「あの子がすき」のサビのパートである「あの子が好き!」のところを「ホーリー君が好き!」や「水戸ホーリーホックが好き!」に変えて歌うなど会場を盛り上げていました。
「水戸のみなさんはすごく明るくて、楽しくて、優しくて、元気をたくさんもらいました。サポーターのみなさんと話をしたり、ホーリーくんと一緒にいるだけで楽しい思いになれました。水戸ホーリーホックが大好きになりました」と笑顔で今回のライブの感想を語ってくれました。
キュートな笑顔を振りまき、元気いっぱいの宇宙まおさんの魅力がそのまま詰め込まれたような新応援ソング「無限の力」。苦しい時やつらい時に選手やサポーターの背中を優しく押してくれる一曲となりそうです。
えこさんの「走れ☆ホーリーホック」とshotaroさんの「蒼く染まれ」に加え、これで公式応援ソングは4曲となりました。熱い思いが込められた名曲たちが水戸のスタジアムを盛り上げ、選手たちの力を最大限に引き出す大きな力となってくれることでしょう。
以上
2014.11.19 Reported by 佐藤拓也