3位・磐田と6位・山形の上位対決。最終順位に直結する非常に重要な一戦となる。
まずは、両チームの今節におけるプレーオフ進出条件を整理しておきたい。3位・磐田は前節終了時点で6位以内はほぼ確実。この試合に勝てば、他会場の結果に関係なく、自力で4位以内も確保することができる。4位・北九州がJ1ライセンスを保有せずプレーオフへ出場できないため、気になるのは勝点『4』差の5位・千葉。3位確保へ向け有利な立場にいる磐田ではあるが、残り2戦で連敗するようなことがあれば、逆転されかねない状況でもある。
対する山形は磐田に勝ち、7位・大分が負ければプレーオフ進出を決めることができる。どちらも勝利が欲しい一戦ではあるが、順位的によりプレッシャーを受けるのは山形。ピッチとスタンドが非常に近いヤマハスタジアムでの一戦という意味でも、いつも通りのプレーをどこまで出せるか。「何も手にしていない」と言いきるのは山形・山崎雅人。「アウェイで難しい試合になるかもしれないが、自分たちの力を発揮して勝つことで道が拓ける」とこの一戦を見据える。前節1ゴールの山田拓巳も「周りはどうしても盛り上がり過ぎてしまうところもあると思うが、今まで通りやっていきたい」と平常心でこの試合に臨む。
直近の戦いぶりを振り返れば、より勢いがあるのは山形。前節はホームで福岡と対戦し、2−1で勝利した。ビハインドで迎えた83分に山田のゴールで同点。さらに試合終了間際にディエゴのシュートのこぼれ球を途中出場の 中島裕希が押し込み、逆転。劇的な形で勝点3を奪取した。2連勝と勢いに乗って今節を迎える。ただし、石崎信弘監督は「まだ何も決まったわけではない」と冷静。幾多の修羅場を経験してきた指揮官はしっかりとチームを引き締めてくるだろう。
対する磐田は前節、アウェイで群馬と対戦し、1−1。前半に松浦拓弥のクロスを小林祐希が押し込み、先制。しかし、試合終了間際に加藤弘堅にミドルシュートを叩き込まれ、まさかのドロー。土壇場で勝点2を失うことになった。これで4試合連続ドロー。このゲームで5試合ぶりの勝利を目指す。今季リーグ戦のホーム最終戦という意味でも勝利したい一戦だ。
注目のマッチアップは中盤。古巣対決となる山形・松岡亮輔と磐田の中盤である。前節、山形・石崎監督は「あれだけ高い位置でボールを奪えたのに前半点が取れなかった」と悔やんだが、連動的な守備は収穫だろう。ボール保持力では磐田に分があるが、その磐田に対してどの程度プレッシャーをかけることができるか。そのカギを握るのは高いボール奪取能力に加え、絶え間ないコーチングで味方を動かせる松岡だ。
対する磐田は、ボランチで中盤の要となっていた藤田義明を累積警告による出場停止で欠く。13日の紅白戦ではブラジル人MF・フェルジナンドが宮崎智彦とダブルボランチを組んでいる。前節からスタメンを入れ替えることになるが、その中でチームとして山形のプレッシングにどう対応するか。上手くかわせればチャンスにつながるが、前線とDFラインを縦に分断されると当然苦しくなる。
試合開始は14時。
なお、95年から01年まで磐田の代表取締役社長を務め、磐田の“黄金時代”を築き上げた荒田忠典氏が11日に死去。キックオフ前には黙祷が捧げられ、選手・スタッフは喪章を巻いてこのゲームを戦う。
以上
2014.11.14 Reported by 南間健治