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【天皇杯特別インタビュー】佐々木一樹委員長に聞く、第95回大会からの新たな大会形式とは?(14.11.13)

「天皇杯全日本サッカー選手権大会」と言えば、日本最大のオープントーナメントであり、リーグ戦では見られないJ1クラブ対J2クラブの対戦や、格下のクラブが格上のクラブに勝利するジャイアントキリングなども醍醐味の一つである。
長い歴史のなかで様々なドラマが生まれてきたが、現在開催中の第94回大会も準決勝、決勝を残すのみ。ベスト4にはJ1の清水とG大阪、J2の山形と千葉が勝ち残っており、どのクラブがその栄冠を手にするのか注目されている。そして、11月13日には来年度に開催される95回大会の新たな大会形式が早くも発表となった。今回は変更点のポイントと、その狙いを天皇杯実施委員会の佐々木一樹委員長に伺った。



Q:第95回大会ではどのような点が変更になるのでしょうか?

「まずは、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場4クラブがラウンド16から出場するという点です。
Jクラブはここ数年ACLでノックアウトステージに進出できない年が続いていて、Jリーグとしてこのタイトル奪還が課題となっています。
もともと天皇杯も、9月・10月・11月が一番佳境に入ってくるところではありますが、これはACLも全く同じで、なおかつリーグ戦もある、ヤマザキナビスコカップもあるということで、非常にタイトなスケジュールでACLを戦わざるを得なかった。JFAはじめ、Jリーグのなかでも、やはりJクラブがアジアのタイトルを獲って欲しい、そういった強い要望があって、少しでもACLに力を注いでもらおうということで、天皇杯においては今回ベスト16から出場という形とすることに決めました。(なお、ラウンド16の組合せはドローで決定される)。
万が一、ACL出場クラブがグループステージで敗退した時はどうなるのかと考えられる方もいらっしゃると思います。その場合は、6月にACLのラウンド16が終わったタイミングで、実施委員会においてどのクラブをラウンド16からとするのかを決定することになっています。

もう一つの大きな変更点として、J2クラブおよび、J1の17.18位クラブ(2014シーズンのJ2リーグの2位、3位クラブにあたる)は1回戦から出場するという事があげられます。94回大会までJクラブは2回戦から出場していましたが、この変更で都道府県代表チームは1回戦でJクラブと対戦する事になります。いきなりジャイアントキリングが起こるのか?と言うところも見所になるかと思います。

都道府県代表クラブには、1回戦からJクラブと対戦できるということでよりモチベーションをもって大会にチャレンジしてもらえると思いますし、Jクラブのファン・サポーターの皆さんには、自分の応援するクラブがどの都道府県代表と対戦する事になるのか、都道府県選手権大会にもより注目して見て頂きたいと思います。なお、Jクラブ以外の残り1枠については、アマチュアクラブからJFLのファーストステージの優勝クラブをシードする事が決まっています。

また、95回大会からは準々決勝進出チームに対しても強化費が支払われます。94回大会までは3位までが強化費の対象でしたが、95回大会からはベスト8に進出すると1000万円が支払われます。長きにわたるトーナメントを勝ち上がってきたクラブに対して強化費を支払おうということでそのように改定しました」



【参照】第95回天皇杯前日本サッカー選手権大会 強化費
優勝 1億円
準優勝 5千万円
第3位 2千万円(1チームあたり)
ベスト8 1千万(第5位4チーム 1チームあたり) 

Q:試合日程や、国立競技場改修にともない決勝がどこで開催されるのかも注目されているかと思います。

「今回の94回大会では、できるだけリーグ戦と天皇杯のスケジュールを近づけて、選手に負担のないように、また1月にAFCアジアカップ2015もあるということで、スケジュールを前倒しにしてトライしました。来年・再来年は、FIFAクラブワールドカップの日本開催の可能性があり、12月のスケジュールが非常にタイトになります。そして2015年からJリーグがポストシーズン制になることもあり、平日にもリーグ戦が開催されることが想定されるので、天皇杯の日程が取りにくくなるという事が考えられました。
そういった理由から、95、96回大会についてはこれまでの日程と同じように、12月下旬に3試合日を設けて、決勝は1月1日に開催するということになりました。

今回はそのような選択肢となりましたが、以前から、日本サッカー協会とJリーグとで構成される「将来構想委員会」において、サッカーカレンダーについて議論を続けています。97回以降の形式については、Jリーグのポストシーズンも含めて引き続き検証を行い、再度調整することになります。
なお、95回大会決勝は東京・味の素スタジアムで開催する事が決まりました。JFAとしては色々なところで決勝を実施したいという希望があり、96回大会の決勝会場については、改めて検討します」



【参照】第95回天皇杯前日本サッカー選手権大会 日程
1回戦 8月29日(土)、30日(日)
2回戦 9月5日(土)、6日(日)、9日(水)
3回戦 10月10日(土)、11日(日)、14日(水)
4回戦 11月11日(水)、14日(土)、15日(日)
準々決勝 12月26日(土)
準決勝 12月29日(火)
決勝  2016年1月1日(金・祝)

Q:また、95回大会からは1種加盟登録チームのみの大会となるという事なのですがこの理由は?

「2種加盟登録チームには76回大会から参加してもらってきました。当時2種のチームは試合数が非常に少なかったので、天皇杯参加を認めることで2種の底辺を広げていこうという目的がありました。
天皇杯という公式戦を経験し、彼らの成長につながげたいと言うことだったのですが、ここ数年2種の大会が充実してきたなかで、逆にスケジュールに無理が生じるケースが出てきていました。そこで、95回大会からは2種のチームは2種の大会で切磋琢磨して力を付けてもらい、天皇杯は本来の1種登録チームの大会として実施する事を決めたわけです」



Q:では、最後に今後の天皇杯の開催にあたっての課題を教えてください。

「これまで、天皇杯はインターナショナルマッチデーが避けられなかったところがありますが、日本代表戦と天皇杯が重なることで、天皇杯出場クラブは代表選手抜きで戦わなくてはならない状況が生じており、これはよくないと考えています。いずれはインターナショナルマッチデーを避けて、天皇杯をベストチームで戦えるようにしなくては大会の価値も向上しません。自分たちが出られずチームが敗退する事を残念に思っている代表選手もいますし、ベストで戦える日程を考えるべきだと思っています。
大改革をしなくてはいけないという事で関係者は合意しています。95,96回大会については現行踏襲することになり、最初の変革が始まったということですが、これからもより良い大会にするために、変革を続けていきたいと思っています」



以上

天皇杯実施委員会の佐々木一樹委員長

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