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【J2:第39節 福岡 vs 松本】レポート:全てに対象的な試合。自分たちらしさを発揮した松本が2位以内を確定。福岡はプレーオフ進出を逃す。(14.11.02)

久しぶりに福岡らしい戦いができた。前半の戦いぶりを観て、そう感じた人は少なくなかったはずだ。松本を上回る出足の良さと球際の強さ。ロングボールの競り合いを制し、セカンドボールの拾い合いで松本を上回り、「守」から「攻」へ素早く切り替えて、何度も、何度もゴール前に迫った。苦しい状況に追い込まれるたびに、その時点でのベストゲームとも呼べる内容で目の前の壁を乗り越えてきたのが福岡。9月以降、長い、長いトンネルの中に迷い込んでいたが、これまでと同じように、今シーズンのベストと呼べるゲームで松本を下すのではないか。ハーフタイムを迎えた時、そうした期待は膨らんでいた。

しかし、後半のホイッスルが鳴った瞬間、試合の流れが変わる。ハイボールを制するのも、セカンドボールの大半を支配するのも、1対1の勝負に勝つのも全ては松本。そもそも、基本的な運動量と球際での強さが違った。「勝負のポイントは1対1の球際の戦いだと思っていた」とマリヤンプシュニク監督は話したが、その戦いを松本に制されてしまっては、12位の福岡が2位の松本に対抗できるはずもない。そして、松本は松本らしく試合を支配し、福岡はこれまでと同じように、悪くなった流れを変えられないままに時間を過ごしていく。

サッカーである以上、自分たちの流れもあれば、相手の流れもある。自分たちの流れの時にチャンスを活かし、相手の流れの時に粘り強く凌ぐことが勝利への必要条件。そして、松本は流れの悪い前半を無失点で凌いだが、福岡は流れのままに失点を重ねた。それは両チームの間にあった大きな違いだった。
松本の先制点は57分。自陣深くから大久保裕樹が前線に放り込んだロングボールのこぼれ球を、前を向いた状態で船山貴之が拾い、瞬時にスピードを上げる。この動きに福岡は突いていけない。そして船山が右足から放たれたボールがゴールネットを揺らした。試合の流れを引き寄せるゴールを奪った船山。ロングボールで相手陣内深くまで運び、そのこぼれ球を起点にしてゴールを奪った形。まさに「これが松本」と言わんばかりのゴールだった。

そして、松本の2点目も「らしさ」が余すことなく発揮される。自陣ペナルティエリア内でのこぼれ球を船山が拾ったところが攻撃の始まり。船山からパスを受けた岩上祐三がドリブルで長い距離を持ち上がると、猛烈なスピードで船山が駆け上がり、岩上を追い越して前線に顔を出す。そして、岩上から船山へのパスがこぼれてきた所にフリーで飛び込んできたのは山本。昇格への想いを乗せて振り抜いた右足がゴールを捕らえた。シンプルなカウンターからのゴールだったが、それは船山の走りで象徴されるように、全員が最後まで走りきるという意思を行動で示す松本だからこそ出来る攻撃。福岡には前がかりになっていたという事情もあるが、残念ながら、このカウンターを止めようと必死に戻ってくる姿勢は感じられなかった。

0−2のビハインドを負った福岡も諦めたわけではなかった。2点のリードで守備の意識を高めた松本に対し、最後までゴールを取りに行くという姿勢は示した。79分には堤がPKを決めて1点差にも迫った。しかし、守りの意識を高めた相手に対して攻め手を持たないのも福岡の課題。2点目は遠かった。そして、試合終了のホイッスル。松本はJ1自動昇格の条件となる2位の座を確保し、福岡はプレーオフ進出を逃した。

この日、いたるところでみられた両チームの間にあった差は、決して、この試合に限ったものではない。その差は時間をかけて積み上げてきたものの差。明確な目標を持ち、そのために、何を、どのようにすればいいのかということが明確になっているチームと、そうでないチームの差。それが、この日の勝敗を分けた要因だった。

以上

2014.11.02 Reported by 中倉一志
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