欲しいのは結果のみ。
17位・C大阪の選手はもちろんだが、首位争いも残留争いとも無縁の8位・横浜FMの選手からもリーグ終盤を迎え、そんなニュアンスの言葉を多く耳にする機会が増えてきた。横浜FMが大宮に3−2、C大阪が徳島に3−1という前節のスコアから察するに、お互い“ガチ”で攻め合う展開が期待できる。しかも、両チームの顔ぶれを見ると、ネームバリューのある選手が多く並び、豪華。よって、「結果」を抜きにはできないが、中位・下位対決とは思えない、良質な打ち合うゲームを見てみたい。
ただし、ロースコアになる可能性も十分あり得る。なぜなら、横浜FMの根幹にあるのは、堅牢なディフェンス。リーダーの中澤佑ニは、前節のアディショナルタイムでの逆転勝利にも表情は晴れず、「2点取られたことに納得がいかない」と反省しきり。今節はより気を引き締めてゲームに入りそうなだけに、C大阪攻撃陣は、苦戦が強いられそうだ。
ただし、先の徳島戦でAFC・U-19選手権帰りながら、持ち前の推進力を武器に攻撃面で違いを生んだ南野拓実、3点目のダメ押し弾を決めたカカウと、独力で決着をつけられるアタッカーが爪を研ぐ。南野は昨年7月のホームでの横浜FM戦(2−1)で躍動。柿谷曜一朗(現バーゼル)との高次元の連係プレーからアシストを決めただけでなく、ドリブル突破も冴え、「南野はヤバイ」と横浜FMのある選手は絶句した。南野自身もおそらく良いイメージをもって、この一戦に臨むだろう。
初対決となるカカウは、26節・浦和戦(1−0)で貴重な決勝点をマーク。堅い守備でもこじ開けられる元ドイツ代表の決定力は、やはり脅威である。
一方、センターバック染谷悠太を出場停止で欠く、C大阪が最も脅威に感じているのは中村俊輔だろう。先の大宮戦ではミドルレンジのクロスから、左右の足で2アシスト。また、連勝を飾った直近2戦の横浜FMは、「ウチは俺、(藤本)淳吾、(佐藤)優平と(2列目の選手に)裏に抜ける走力がない。だったらパス、パス、パスで動いて、コツコツいくのがいい」(中村)と、ショートパスを駆使し、連動性の高い攻撃を披露。その中心にいるのが、体調不良から復帰した中村だ。DFの「間、間」でボールを受け、パス&ムーブを繰り返す彼らや現在ボランチの兵藤慎剛を、高質の技術と戦術眼で背番号10が操る。連勝を飾った相手が下位チームであったとはいえ、単純に見ていて楽しめる娯楽性の高いパスサッカーができているように思う。
それに対して、前節に最下位相手に先制点を許すなど、不安定な立ち上がりを見せたC大阪は、揺さぶられるようだときつい。中3日の試合で検討の余地は少ないが、中村への徹底マークや、志すサッカーとは反する守備主体の術も、一考すべきなのかもしれない。
見応えある打ち合いを見たいが、何はともあれ、結果が一番である。どんな展開になるか想像を膨らませ、26日19時のキックオフを待とう。
以上
2014.10.24 Reported by 小林智明(インサイド)