渋谷洋樹監督の就任から7戦5勝でJ1降格圏から脱出している大宮。前節の横浜FM戦は2-3で敗れたものの、神戸の安達亮監督は「(大宮は)強いよね。もともと選手は揃っているし、いつもシーズン終盤の時期は高い集中力をみせる。モチベーションも高いだろうし、手強い相手だなと思います」と評す。
前回の対戦では、アウェイの神戸がマルキーニョス、ペドロジュニオール、森岡亮太のゴールで3-0と快勝。対戦成績でも神戸が2011年の第18節から4戦負け無し(2勝2分け)だが、エース家長昭博が戻ってくる今節の大宮には、それらの数字は“過去の結果に過ぎない”と言えるだろう。
2012年に約半年ほど大宮でプレー(期限付き移籍)し、当時のJ1残留劇を体験した神戸の河本裕之は“終盤の大宮”をこう話す。
「(2012年の)あの時は負ける気がしなかった。今年も(あの時のような雰囲気が)あったら、やっかいな相手だなとは思いますね。一体感もあるみたいですし。新聞記事から得た情報ですけれど(笑)。でも、試合に出たら、自分にとっては唯一の古巣になるので楽しみですね」
大宮の基本フォーメーションは4-4-2。堅い守備に加え、2トップにはスロベニア代表のズラタン、セルビア代表のムルジャが構える。J1残留争いをしているチームとは思えないほど強力な布陣だ。しかも、この魅力的なチームがJ1残留をかけて必死で来る。神戸はそれを跳ね返すだけのパワーをもって挑む必要があると言えるだろう。
だが、これ以上負けられないのは神戸も同じだ。前節のホーム鹿島戦では久々に無失点で相手を抑えたものの、結果はスコアレスドロー。9月23日の第25節・甲府戦から5試合で勝ち星から見放され、順位も10位に後退。少しでも勝点を積み上げて上位を目指すのはもちろんだが、J1ホーム通算100勝を今シーズン中に達成(あと3勝)するためにも、残りのホームゲームを全勝したいところだ。
日本代表の森岡亮太は「(順位が)下のチームに勝てていないというのもあるし、負けられない。自分たちがやろうとしていることができれば、間違いなく勝てると思うので、前回の対戦のいいイメージを持って戦いたい」と、この一戦でチームの好転を目指している。
神戸のエースナンバー「13」を背負う小川慶治朗は「僕らは今、勝利に飢えている。その気持ちを前面(全面)に押し出していけば勝てると思う」と、強気で挑むことを誓った。
出場すれば、この試合でJ1通算100試合出場を達成するGK徳重健太は「(自分の100試合達成について)それは置いておいて(笑)。前節の鹿島戦では前の選手たちが90分間すごく走ってくれて、後ろの選手は守りやすかったと思う。その結果として無失点に抑えられたと思うので、それを生かしつつ、今度はサポーターに勝利を届けたい」と話す。
前節の鹿島戦では、試合前に神戸サポーターから今季初のホームゲーム出場(リーグ戦)となった徳重に対して盛大な“徳重コール”が沸き起こった。「すごくうれしかった。いつも試合に入る前はそういう感情を抑えて入ろうと思っているんですが…。抑えるのが大変でした(笑)」と、徳重はその瞬間を振り返る。
順位や記録を越えたものが神戸のホームスタジアムにはある、それを改めて感じさせてくれる瞬間でもあった。
サポーターのために。神戸は負けられない。
以上
2014.10.24 Reported by 白井邦彦