F東京は22日、ホームで広島と対戦し、しぶとく2−1で勝利を収めた。25分、FW渡邉千真のゴールで先制すると、同点で迎えた74分、FW武藤嘉紀が決勝点を決めた。武藤は今季12得点でリーグ新人最多得点記録まで、渡邉の持つ記録まであと「1」と迫った。また、チームはJ1ホーム通算100勝を達成。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場圏内となる3位川崎との勝点差は5に縮まった。
敗れた広島は29分にFW石原直樹が倒されてPKを獲得したが、キッカーのFW佐藤寿人がF東京GK権田修一に止められてしまう。その佐藤は55分に相手のゴール前でミスを突いて同点弾を挙げたが、PK失敗が響いた。
広島も開始から気迫のこもったプレーを続けていた。開始7分、武藤が最終ラインを突破してシュートを放とうとすると、DF3人が同時に武藤めがけて飛び込んで防いだ。攻撃でも奪ったボールをすばやく華麗につないでゴールへと迫った。シュートチャンスも多く、決して試合内容では劣っていなかった。
先制点はF東京だった。米本拓司が左サイドの3バック脇に飛び出すと、そこに太田宏介がパスを通した。その米本がクロスを挙げると、ファーサイドから走り込んだ渡邉が頭で合わせて均衡を破った。
だが、広島も反撃に出る。その4分後にPKを獲得したが、佐藤がゴール左隅に放ったシュートは権田の伸ばした右手に阻まれてしまう。
リードを奪ったF東京は後半に入り、守備の意識をより強め、最終ラインを下げて広島FW佐藤が狙うGKと最終ラインのスペースを消した。アンカーの高橋秀人が状況に応じて最終ラインに入るなど、人数を割いた守備で広島の攻撃を防いだ。2試合連続先発出場となったカニーニと、森重真人とともに中央の守備を固めることで広島の攻撃は徐々に手詰まりを起こしていた。高橋は言う。「ラインを下げれば、GKとのスペースは消せるが、落ちてボールを受けようとする選手の対応に送れてしまう。だけど、そこは真人がうまくやってくれた。カーノ(カニーニ)もすごく集中していたと思う」。
しかし、そこでミスが出てしまう。55分、広島の左CKに飛び出た権田と、エドゥーが重なり、ボールを後逸。それを佐藤に押し込まれて同点に追いつかれてしまう。
守備に偏っていた意識を再び攻撃に傾けなければいけない状況となった。だが、ここで武藤がチームを救った。74分、相手陣内左サイドで得たFK。キッカーの太田が左を振った瞬間、背番号「14」はニアサイドへと駆け込んだ。弧を描いたボールに頭で合わせると、広島FW皆川の右太ももに当たってボールはゴールネットを揺らした。その後は、しっかりと守備を固めてスキを与えず。広島から勝点3を奪った。
広島DF塩谷司は試合後、「F東京のように我慢するところは我慢してワンチャンスをモノにすることができなかった。相手の方が決定力は上」と悔やんだ。F東京がシュート10本を放ったのに対して広島は14本。後半はF東京の防戦一方の試合内容だった。
雨が降り注ぐピッチでF東京は耐え抜いた。不格好に勝利を求め、それぞれが仕事を果たした。諦めの悪いF東京は可能性のある限り、どこまでも食い下がるつもりだ。今年の青赤はひと味違う、骨があるのだ。
以上
2014.10.23 Reported by 馬場康平