前節、G大阪に痛恨の逆転負けを喫した鹿島は順位を3位に落とし、首位を走る浦和との勝点差も再び7と開いてしまった。残り7試合でこの差を逆転するには、もう一度も負けが許されない。絶対に勝ち続けなければいけない状況はプレッシャーに変わり、選手の足取りを重くする足枷となる可能性もあるが、3試合連続得点中の土居聖真はそれを否定した。
「いまはプラスのことしか考えてないですし考えられない。勝つイメージしかわかない。厳しいとき、苦しいとき、勝つために身を投げ出してやれるかどうか。それが残り試合を勝てるかどうかになる」。
これからはどの試合においても簡単に勝てないのは百も承知。その上で、身を投げ出してでも勝利を掴みに行く決意を語った。積み上げたものが一瞬で崩れてしまった前節の苦い経験を生かし、失ったものを取り戻したい。
「緊張感のあるなかでできた」と言うのは遠藤康。「今週はずっと緊張感がある練習だった。選手全員でそういう雰囲気をつくって、さらに監督が良い緊張感をもたらしてくれた」。
16日(木)には非公開練習を実施。第11節に対戦したときに0-1で敗れた柏のシステムへの対応策をミーティングとグランドで確認した。実戦を意識した練習を行った緊張感というだけでなく、もう一つの試合も落とせない緊迫した雰囲気のなかで、選手たちはなにをしなければいけないのかを見つめていた。
その柏は、12日にヤマザキナビスコカップ準決勝第2戦を広島と戦い、2-1で勝利したが2戦合計を2-3と敗れている。リーグ戦でもここ5試合で1勝1分3敗。決して調子が良いとは言えない状態だ。ただ、先のヤマザキナビスコカップではレアンドロが2ゴールをあげるなど絶好調。ゴール前の嗅覚だけでなく献身的な守備でもチームを引っ張っていた。そうした姿を映像で見た昌子源も「チームのために頑張れる選手」と警戒する。
両チームのリーグ戦での対戦成績は、鹿島の22勝5分10敗と圧倒的に鹿島が有利な数字を残している。ただし、2011年以降は柏の4勝1分2敗と盛り返しており、通算成績はあまり意味がないだろう。カシマスタジアムでの対戦に限ると、鹿島が過去2年を2連勝。しかし、試合を決めたのはいまはドイツにいる大迫勇也だった。昨季までの戦績もあまり参考にならないかもしれない。
さらに言えば前半戦で戦ったときのチームとも様変わりしている。柏のレアンドロは出場しておらず、田中順也もまだ在籍していた。鹿島も、あれから若い選手はさらに成長し、日本代表に呼ばれる選手も増えている。それぞれに成長・成熟したと考えていいだろう。より大きな変化を手にしたのはどちらのチームなのか。それを示す一戦でもある。
以上
2014.10.17 Reported by 田中滋