愛媛も横浜FCも、パスをつなぐことが持ち味のチーム。どちらが先に主導権を握るか注目していたが、キックオフ直後のファーストプレーから愛媛が前に出る勢いを示した。キックオフは横浜FCだったが、愛媛が猛然とプレッシャーをかけてボールを奪うと、コーナーキックまで持ち込んだ。その後も前半6分、愛媛はペナルティエリアの前で相手の不用意なパスを渡邊一仁がカット。シュートには至らなかったが、出足のよさを見せていた。すると、勢いのある愛媛に先制点が生まれる。前半14分、愛媛は自陣でボールを奪うと、パスをつないで左右に揺さぶりをかける。そして、村上佑介のアーリークロスに飛び込んだのは堀米勇輝。ペナルティエリア内でディフェンダーの間を取り、頭で合わせた。一方で横浜FCとしては緩慢なプレッシャーでクロスを上げさせ、最終ラインも揃っていない状況。立ち上がりの緩さが失点につながってしまった。
その後、前半30分を過ぎたあたりから横浜FCもサイドを起点に攻撃の形を作っていくが、フィニッシュの精度を欠いて攻め切れない。そして前線から最終ラインの距離も縮まらず、ペースを奪うまでには至らない。一方で愛媛は先制した後も攻撃の手を緩めず、カウンターやコーナーキックから次々とチャンスを迎える。前半42分には原川力と三原向平で左サイドを攻略すると、折り返しを受けた河原和寿が強烈なシュートを放つ。それでも横浜FCはGK南雄太の好セーブで追加点を許さず、逆に前半終了間際には得意のセットプレーでチャンスをうかがったが、1−0のままスコアは動かなかった。
後半に入っても流れは大きく変わらず、58分にはカウンターから愛媛が波状攻撃。最後は渡邊一のクロスに三原がフリーでヘディングシュートを放ったが、これは再び南の好セーブに阻まれた。その直後にも、三原と原川が左サイドを崩して原川、ハンとシュートを放ったが、追加点は奪えなかった。すると、62分に横浜FCが一瞬の隙を突いて同点に追いつく。右サイドを崩して小池純輝のクロスから、ゴール前の混戦で振り向きざまに左足を振り抜いたのは野崎陽介。劣勢だった横浜FCが息を吹き返すかに思われた。
逆に愛媛は今季何度も逆転を許してきただけに、これまでなら試合の流れを一変させられてもおかしくなかった。それでも林堂眞が「今までと違って追いつかれても下を向かずにボールを回せた」と振り返ったように、愛媛はすぐさま横浜FCを突き放しにかかる。しっかりつないで右サイドを崩しにかかったかと思うと、70分には自陣からカウンターで一気に横浜FCゴールを目指す。堀米が絶妙のスルーパスを河原に通すと、最後は西田剛。「河原をサポートして走ったら、パスを出してくれた。ルックアップしたらコースが開いていて、落ち着いてきめられた」という、西田の古巣への恩返し弾で愛媛が決勝点を奪った。
これで、横浜FCは3連敗。6試合勝利から遠ざかる大ブレーキとなってしまった。特にここ2戦は立ち上がりの悪さが最後まで響いており、まずはそこの立て直しが求められるだろう。逆に、愛媛は5試合ぶりの勝利を獲得。ここ2戦はアウェイで湘南、磐田に力負けが続いたが、ホームではこの横浜FC戦、千葉戦(2−2)、そして山形戦(4−0)と持ち味を出すことができており、今節は再び自信を取り戻す戦い方ができた。西田は「今日のように前から連動してアグレッシブに、諦めずに戦えば結果はついてくる」と語ったが、残り6試合、そしてホームでの2試合でもそのサッカーをやり切れるか。連勝すればまだまだ上位は狙える勝点差だ。
以上
2014.10.12 Reported by 近藤義博