●曹貴裁監督(湘南):
「アウェイの地にもかかわらず、4,000人近いサポーターの方々がここにいらしていると聞きました。本当にホームのような雰囲気で我々の選手を後押ししていただいて、今日の試合だけではないですが、心から感謝しております。試合の内容的なことをまず話すと、東京Vさんが勢いよく、攻守にわたって原点に戻られているということは映像などを見てわかっていました。ただ、今日の試合は本当に勝って優勝を決めようと、逆に強く言って出したので、そういうところからの、相手の予想以上の勢いに、前半は少し飲まれたかなという感じがしています。全体的に、攻守にわたって我々が大事にしていることは、そんなに全部が全部悪かったわけではないですが、最終的には東京Vさんの球際で負けない気持ちとか、我々の走力と相手が対する最後に身体を張るところとか、サッカーの醍醐味を感じられたゲームだったと思います。東京Vさんがファイティングスピリットを前面に出されたことで、今日はお互いにそういうところを出しあった試合になったと思います。
後期は、おそらく15試合で勝点29。前期は21試合で60取ったのですが、数字だけ見ると、まだ数試合残っていますが、前期の60には到底及ばない勝点ですが、僕自身は、後期15試合で29×2をとったら昇格と言われているこの中で、1回負けた相手に対してもう1回勝つ、2勝して終わるというハードルを、選手たちが自然に超えていかなければいけない状況の中で、今21試合負けていませんが、最低でも勝点1をとるというような力強さがある意味出てきたと思います。内容的にとか、課題を言うといろいろなものがありますが、僕は彼らの監督なので、今日置かれた状況、僕が送り出した彼らへのプレッシャー、自分たちが1位にいることで、重圧が3倍ぐらいかかるということも全部わかったうえでやっているので、今日の試合は、岡田(翔平)のシュートが入っていればとか、ウェリントンのヘディングがとかありますが、最後まで勝つためにやること、それは今日だけではなく、これまでずっと続けてきたことが最終的に6試合残したところでチャンピンになれた要因だと思っていますし、選手たちにはよく頑張ったと言ってあげたいです。
今日ミーティングでも話したのですが、Jリーグができて、ヤマザキナビスコカップが93年に始まって、22年だと思うのですが、僕の計算とか記憶が間違ってなければ、J2を優勝したのは12チーム。J1にいたっては、アントラーズさんとかジュビロさんが多いと思うのですが、9チームあると思っていて、今年22年目のシーズンで、我々がチャンピオンになれば、22番目のチャンピオンになる。J1、J2合わせて40チームあると思うのですが、半分を過ぎたところで初めてベルマーレの歴史としても、僕自身もチャンピオンになれたということは、今日の結果が0−0で終わったので、選手たちもなんとなく喜べないなという顔をしていましたが、総合的に考えれば、今日の0−0はこの間の愛媛戦の3−0と同じように、もしくはアウェイで磐田に2−1で勝った試合と同じように、2位の松本さんに4−1で勝ったのと同じように、それがあるから今日優勝していると思っているので、勝点1は勝点3には届かないですが、それぐらいの価値はあるというか、そういう日になったかなと思います。
湘南ベルマーレに所属する選手は、決して技術的に高い、一芸に優れている、他を寄せつけないものをそれぞれがたくさん持っているというチームでは間違いなくありません。ただ、僕は一芸がないからといって、「お前はへたくそだからボールを蹴っていればいいんだ」とか、「走力がないから走らなくていい」とかいうことを言ったことは一回もないです。だから、何度も言いますが、選手である限り、上を目指すというのは普通なことだと思ってもらいたい。なので、勝ったことで驕ってもいけないし、負けたからといって必要以上に頭を下げることもない。その中で技術、戦術、フィジカル、メンタル全部が大事で、全部を上げていかないとこの世界では絶対に上にはいけないという話をしました。(大竹)洋平は今日ハーフタイムに、ちょっと厳しいことを言って送り出す時に、「お前がそれだけ背が小さくて左足の技術を持ってるけど、フィジカルが弱いとか走れないとかで、そういう風な選手で終わらないで、今一生懸命に走っているということを自信にしなければいけないんだよ」という話をしましたが、僕が彼がいいなぁと思うのは、とかく大人なので、そういうのは無視をすればいいと思う。自分の聞きたくないことであれば。僕もそうなのですが、自分のいやなことを言われて、「いや、俺は違うし。こうやるし」という人をたくさん見てきた中で、彼らは自分ができないことをちゃんと受け入れて、自分が次に何をしなければいけないかをずっと1人1人やってきているのを、僕は毎日見ているので、本当にあまり誉めないですし、あまり良いことも言ってあげられないけれども、そういったことだけは、他のチームはわかりませんが、僕が彼らに対する付き合いの中では自信をもって言えるので、みなさんも、マスコミの方はそういう裏のところが伝わらなくて残念だなと思うところもあるのですが、ぜひ我々のチームの、見栄えは良くないですが、芯はあるような精神というか、そういうマインドを広く書いていただけたり、話していただければ、ちょっとは彼らも救われるのかなと思うので、お願いみたいになってしまいましたが、そう思います。以上です」
Q:初めて胴上げされたお気持ちは?
「う〜ん・・・今日も、もちろん嬉しいですが、本当に嬉しかったのは、このチームにかかわらせてもらって何回もあったので、それに比べて極端に嬉しいとかではないです。ただ、そういうのが自分の中で嬉しくなくなったりとか、選手があんまり「喜びたいけど、今日ちょっと内容がもうちょっとだから喜べないな」と思っていること自体が彼らの成長意欲だと思っているので、冷静に今考えると、胴上げしてもらってというか、胴上げ、してもら・・・よくわからないですけど(笑)なんか、すごく嬉しかったというか。今、良く考えると、そんなこともないんですよね。喜びます。すみません。もっとみなさんが狂乱ぐらい喜んでくれたら僕も嬉しいなと思いますが、あまりにも冷静なので、なんとなく、一人だけ喜べないないなと思います」
Q:今年一年、人知れぬ苦労があったと思います。
「苦労って、誰が大きくて誰が小さくてって、僕もみなさんも選手も、苦労していない人はいないと思います。ですが、自分で思うのが、僕が一緒に働いているフロント、スタッフ、育成の人たちも含めて、もっというと選手ですね。選手に助けられたことはたくさんありましたね。去年ここで会見して、降格が決まった時も、あいつらの顔を見るのが辛くて、情けない話ですが、でもそこで、ここで残って頑張った奴に100%助けられたという思いしかないですね。良い選手たちだと思います」
以上