●反町康治監督(松本):
「もし前半で帰ってしまった人がいれば、0−3くらいで負けていると思うでしょうね。それくらい前半と後半で違う顔があった試合はあまり経験ないですね。ということは前半は絶対ゼロで抑えないといけないというのは20分くらいからずっと思っていました。1つはアンカーを置いて、ボランチ3枚にしようかと思ったんですが、多分それをやっても止められないなと思ったので、だったら違う顔を見せるよりも何とか最後のところでしのがなければいけないと感じていました。前半、0−0で終わって正直ホッと一安心しました。そこでもしやられていたら、今日ここで敗戦の弁を述べないといけなかったと思っています。そうは言っても後半も我々が良かった部分を探すのは難しくて、大分が残念ながら自滅をしたと。すごく我々が良かったというわけではないですね。ただ、90分間通して足を止めずに相手にプレッシャーを与え続けることが出来たのは、今まで厳しくトレーニングをやってきた成果と感じています。後はハーフタイムで『強気の勝負をしろ』と話しましたが、どうしても前半は縮こまったプレーが多かったのですが、後半はかなりスペースが生まれたので、そこを上手く突きながら数的優位を作れたと思います。
ホームでは2カ月くらい勝てていなかったんですか? それにも関わらず、たくさん我々を後押ししていただいたサポーターには感謝をしております」
Q:田坂監督は風と芝で後半に運動量が落ちたと話していましたが、前半の残り10分から兆候がありました。
「前半は我々の奪ったボールを相手に渡してしまったり、寄せが早かったり。多分もシュートも1、2本しか打てなかったんじゃないでしょうか。ただサッカーの試合は全部上手くいくわけじゃない。そういう試合は何とか最後をシュートで終わらすとか、ゼロで抑えるとか。そういうサッカーの妙みたいなところは我々も出来てくるようになったんじゃないかなと感じています。特に今日のMVPは(田中)隼磨だと思っていますけど、そういう締めるところはしっかり締める力がありますし、彼の足を止めないプレーはチームの大きなメッセージになったと思います。後半は風が強くなると予報では聞いていましたし、飯田が珍しくコイントスで勝ったので、思い通りの展開に持っていくことが出来たと言えるかもしれません」
Q:得点場面について。
「2点とも一応スカウトして、ビルドアップ時にサイドバックが高く上がってくる時がある。前半はたとえば土岐田が船山を追い越してそこからチャンスを作っていましたが、逆に後半は全く裏返しで取られた時は土岐田が戻れなかった。面白いですね。そこのところでゴールに繋がったということですよね。2点目は、J2の中でも大分と群馬は非常にラインが高い設定のもとでやっているチームで、そこは当然映像を見せて『狙っていけ』と。だから、何人か引っかかって止めたこともありましたが、そこは引っかかれば潔く止めろと。逆にボールが止まる可能性もあるから、行ける奴は行けと。映像も見せて話もしましたが、(船山)貴之はああいうところで狙えるようになりましたね。今年になってから最終ラインの駆け引きとか出来るようになってきた。あいつも成長しているということですね。今日も肉をもらったりブドウをもらったり、うらやましいですね(笑)。もっと色々食べて成長してほしいですね」
Q:今日は岡山戦の際の主審でしたが。
「今日は国際主審に値する素晴らしいレフェリングだったと思います。我々としては警告のカードゼロで終えられたことも良かったです。非常に良いレフェリングでした」
Q:前節と同じ2−0ですが、展開は全く違いました。
「まず大分は前半あまり点が動かないチームなんですね。前半が10点だとすると後半その倍以上動くチーム。だから前半0−0というのは狙い通りだと思いますね。今日の試合に関しては当然、先制点が取れるに越したことはないし、それを目指していますが、今日の場合は先制点が取りたいよりも取られたくないという展開でしたね。向こうも我々の弱いところを突いてきましたが、特にダニエルなど前半と後半とでは全く違いましたね。我慢するところは我慢できるサッカーの妙が、我々にも少し根付いてきたんじゃないでしょうか」
Q:この試合が、残り6試合にどう影響しますか?
「ある意味苦しい試合でしたが、最後まで足を止めずに出来たことは自信になると思いますよ。『自分たちのスタイルとして出来上がっている部分だな』と。それはハーフタイムにも檄を飛ばしましたが、選手がポジティブに出来るようになってきたことは、チームの成長度を感じています」
Q:この先、控え選手の働きも大事になってくるが?
「もちろんそうだと思いますよ。まあ今日もイエローカード通算3枚もらっている選手を途中で代えましたが、疲れている選手から代えていくというのもありますし。最初から出ているメンバーと、僕は控えという言葉は1回も使っていませんが、いつでも後ろからでも追い越してくれることを期待しています。明日も練習試合がありますが、鐡戸はここ最近前で使っていますがパフォーマンスが良いですし、そうすれば当然チャンスを与えたいと思っています。今日ももうちょっと時間があれば1点というスペースもありましたからね。サビアも今週の練習から調子良かったですし、点を取るところまでいけばもっとよかったですが。常に競争があるなかで、前のほうだけじゃなくたとえば大久保と多々良にしたってそうです。常に競争してやっていくことが、チーム力の向上という意味では大事だと思います」
Q:ここ数試合の、シュートを打つ場面での選択肢について。
「まず風など影響がありますが、今のサッカーではシュートをためらって打っても入りません。まず打つという意識を持って、コントロールやもらい方をしないといけないんですね。その意味で、うちは昨季はミドルからのシュートは1点しかなかった。今季は今日も相手の隙を狙うシュートを喜山が打ち、時々(岩上)祐三も打っています。シュートの意識が高まっていて、シュートで終われば陣形を整えることも出来る。逆に打たないで迷って変な形で奪われれば、すぐにカウンターの餌食になりますからね。我々の場合は、今日も貴之が隼磨を追い越してシュート打って入りませんでしたが、そこでゴールキックになればしっかり戻れるわけです。最終的にシュートで終わることはずっと意識しています。それが遠目なのか近目なのかは何とも言えませんが。近い方が当然決定率も高い訳ですが、そこにはこだわってやっています。シュート練習も週1で必ずやっていますし。質問に対する良い答えになっているか、わかりませんが」
Q:9月は5試合勝ちなしで、10月から連勝。意識的な面で何か呼びかけをしましたか?
「9月はいい成績じゃなかったですが、じゃあ全部ダメだったかと言うとそういうわけじゃない。苦しい中でも勝点1を取った試合もありましたし。周りの人たちはすぐに何か言い始めますが、我々は何が問題点なのかもう一度しっかり見直して話し合って練習に取り組んできた結果、10月に良いスタートを切れたと思うんですよ。
やはり色々な意味で周りからのプレッシャーはあります。例えば僕が食堂に定食を食べに行っても、おかずが1品多くついたり、普通盛りのご飯が大盛りになったり(苦笑)。周りの皆さんは色々気遣いをしてくださいますが、ただ我々は普段着でいつも通りのサッカーをするだけです。目新しいトレーニングをするわけでもなく、必要なことを黙々着々しかも厳しくやっている。普段着でよりしっかり精度を上げてやっていくことに力を入れていくだけです。
ただ9月はちょっとルーズなところも出ていたんですね。たとえばセットプレーの練習でもすね当てを着けていない選手がいるとか。そういうところはもう一度見直そうと話したし、たとえばセットプレーの守備の練習をしていても、攻撃でいい加減な選手はすぐに外すぞ、と。ある意味脅しですね(苦笑)。結局セットプレーの練習ってそういうことなんですよ。ゴーンとやられて『ああ、やられちゃったねニコニコ』では今日もやられてますよ。とにかく厳しく言い訳をさせない雰囲気を作り出すことですかね。試合では言い訳出来ないですから。そういう雰囲気が9月は足りなかったので、10月は最初からガツンとやっています」
Q:ずばりJ1昇格できそうですか?
「(苦笑)周りに影響を受けず、自分たちのグループをしっかりとマネジメントしていけば、我々の目標である6位以内は見えてくると思いますし、その先は努力次第だと思います」
Q:前半にボランチ3枚に修正しようという話がありましたが、その他に修正できそうなポイントはりましたか?
「多分3人にするともっとボールの奪いどころが低くなってしまうかなと思ったんですね。たとえば土岐田のところに貴之ではなくて多分喜山が行くことになったと思うので、そこを改善させれば。あそこのところで1対1で完全に外されると次のボールや次の次のボールのところがダメだったので、そこはしっかりと何とか我慢するしかない。例えばいろんなことをして0−1になるのといろんなことをしないで0−1になるのなら、後者のほうが良かった。それは今までやってきたことで自分たちで解決出来ることですし、色々なことをすると今度は元に修正するのに難しくなっちゃうので、ここは我慢して何とか村山に頑張ってもらおうというところがありました。実際ミドルシュートを2本止めましたからね。ピッチ内からも『我慢しろ』という言葉も聞こえてきたし、そういう時間帯は当然ありますから。そこで我慢しきれるようになってきたことがチームの成長ということになっているのかなと思います」
Q:今日の勝点3で、自動昇格も見えてきたのでは?
「開幕戦の勝点3も今日の試合の勝点3も同じだと思います。ただ周りが何回も言うようにおかずを多く出したり、大盛りにしたりするから困るわけで。僕は大盛りにされたら、その分は残して帰りますから(笑)。周りからチームを良い意味で守ることが私は大事だと思います。そういう質問を選手に投げかけないようにしてください。でも選手も良くわかっていて、そういう質問をされても僕よりも的確な答えをすると思います」
以上