最下位・22位の富山がJ2残留の望みを繋ぐには残り7試合で21位に浮上しなければならない。最低でも勝点差11を縮める必要があり、勝ち続けるしか道はない。まさに崖っぷちに立っている。
しかし、選手の精神は逆に研ぎ澄まされてきたように感じる。前節・北九州戦は21位・讃岐の勝利を受けての試合開始だったが、「自分たちが勝つしかない」と腹をくくったメンバーは序盤の失点をはね返し、4位と2−2の引き分けに持ち込んだ。木本敬介選手が決めたミドルシュートの弾道に気迫のほとばしりを感じたサポーターは少なくないだろう。前々節・福岡戦で秋本倫孝選手の得点をアシストした池端陽介選手のオーバーヘッドキックも鮮烈だった。あともうひと押しだ。
「富山の残留は絶望的だ」と全国のJ2ファン・サポーターのほとんどが思っている。状況の厳しさは安間貴義監督も認めるところだ。しかし、選手もスタッフもサポーターも、カターレに関わる者はあきらめていない。残留の可能性がある限りチャレンジする選手を信じ、見守り、支え、応援するだろう。
ベテランの池端選手は「讃岐も勝つかもしれない。しかし自分たちが勝たなければいけないことに変わりはない」と静かに語った。チームは迷いなく次の一戦に集中している。逆転劇を起こすために不可欠な要素である情熱と冷静さは今のカターレに備わっている。
前節キャプテンマークをつけた苔口卓也選手は「チームのために戦える選手がそろっているのが富山の良さ。1つ勝てば流れは変わる」。選手たちは10月10日昼、今節の会場である水戸市へ出発した。
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2014.10.10 Reported by 赤壁逸朗