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【J2:第36節 東京V vs 湘南】プレビュー:優勝シーンなんて見たくない!湘南の今節優勝を、東京Vは阻止できるか!?(14.10.10)

16時キックオフとなるこの試合の前に13時より行われる松本vs大分戦での、2位松本の勝敗が大きく影響を及ぼすが、この試合で首位・湘南の優勝が決まる可能性が非常に高い。条件をいま一度整理すると、松本が敗戦、もしくは引き分けの場合は、自動的に優勝決定。勝利した場合、湘南が敗れた時のみ、次節以降への持ち越しとなる。その“唯一”の可能性を現実のものにしようと、「負ける気は、サラサラない(冨樫剛一監督)」「点に絡んで、優勝を阻止したい(安在和樹)」「目の前で決められるのは絶対にイヤ!無失点目指して頑張ります(GK佐藤優也)」東京Vの監督も選手たちも燃えている。「優勝決定は、ホームに持ち帰ってもらいましょう!(平本一樹)」。

今季、未だ1敗しかしてなく、首位を独走する湘南が「強い」ことは、前半戦の戦いを通しても東京Vの選手たちは重々承知である。だが、だからこそ「楽しみ」だと、中後雅喜は一段と目を輝かせる。「特に、僕は前回対戦の時出られなかったので、今の自分、チームがJ1昇格を決めた相手にどう戦えるのか、ピッチで感じたい」。もちろん、そう思えるのは、互角以上の戦いができるという自信をもっているからだ。「前回は、相手の勢いと厚みある攻撃に、ウチが受けるだけになっていた印象が強い。でも、今は僕たちも勢いがあるし、前に人数がかけられるようになってきている」。3バックもどんどん攻撃参加し、得点に絡んでくる相手の特長は、ある意味ウィークにもなりうる。そこを上手く突きながら、いかにゲームコントロールしていくか。中後のゲームメイクに注目したい。

また、この試合のポイントとして、冨樫監督は「走力」を挙げる。特に、サイドで走り負けないことが、勝利のための必須条件だと目論む。「サイドを制すれば、中での勝負では個々の能力的にもウチは負けない」と語る通り、中央での崩しは、東京Vの得意なスタイルといっていいだろう。東京Vは、安在、安西幸輝の両サイドバックが高い位置をとってDFラインを押し上げ、自分たちが主導権を握って攻める時間帯をいかに長く作れるか。また、鈴木惇、澤井直人の両ワイドがDFに吸収されず、守備ではなく前で力を使えるかが、勝敗の大きなカギとなりそうだ。
そして、あとはフィニッシュ。得点力というものは、なかなか急激には上がらないものだが、今週のトレーニングでも、FW陣は連日さまざまな形でのシュート練習を行い、アイデアと決定力を磨いている。成果をぜひ、試合で見せてほしい。

湘南は、引き分け以上で優勝が決まるとあって、当然高いモチベーションで来ることは言うまでもない。前節、今季唯一黒星を喫した宿敵・愛媛に完勝し、リベンジを果たしたことで、ますます優勝ムードは高まっているに違いない。

首位独走のチームとあって、披露するサッカーも実に精度が高く、攻撃的で魅力がある。最大の特長は、精力的な走りをベースとし、そこから繰り広げられる厚みある攻撃だろう。永木亮太の巧みな配球から、菊池大介、宇佐美宏和、武富孝介、大竹洋平、岡田翔平ら前線が仕掛け、クロスボールからしっかりと中に枚数をかけ、ゴールを決める。時には、彼らがボールを持った後ろから三竿雄斗、遠藤航のセンターバックが追い越し、シュートを狙ってくる。DFの遠藤がチーム3位の7得点を挙げていることでも、その攻撃性が証明されているといえよう。

そして、その先の最前線には、ウェリントンが存在する。「高さもあって、強い。彼のところで収まっているのが大きいと思う。一言で言ったら、“イヤな選手”」と、東京VGK佐藤も最も警戒したい選手に名を挙げた。
73得点という、リーグでダントツの得点力誇る攻撃を、東京VのDFがいかに止めることができるか。東京Vの守備もここ3試合クリーンシートが続いているだけに、注目してみたいところだ。

前節、東京Vはラストプレーで決勝点が入るという劇的勝利を経て迎えるだけに、非常に良い雰囲気、状態で今節に挑める。まさに、絶好のタイミングでの王者への挑戦といったところだろう。一方、湘南も、曹貴裁監督は以前から常に「観に来たお客さんが『また来たい』と思えるサッカーを毎試合見せることが大事」だと語っているだけに、仮に、試合前に優勝が決まってしまった場合でも、決して手を緩めるようなことはしないはずである。また、当然湘南の選手たちも、同様に違いない。必ずや、互いの目指す攻撃的なサッカーのガチンコ勝負が見られるであろう。とにかく、「楽しみ」の一言に尽きる。

以上

2014.10.10 Reported by 上岡真里江
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