今季も残り7試合となり、愛媛のホームゲームはあと3試合になってしまった。シーズンの佳境を迎えるわけだが、現在の愛媛は19位。正念場だった9月は1勝3分1敗で、ホームで山形に快勝するなど上位陣を相手に悪い成績ではないものの、勝ち切ることはできなかった。結果として目標としていたJ1昇格プレーオフ進出は厳しい状況に追い込まれている。さらにここ2試合は磐田と湘南に力負け。湘南には真っ向から挑みゴールを奪うチャンスもあったが、堀米勇輝は「狙った崩しはできなかった。できたのはドリブルで運んだりカウンターだったり、でも『やらせてくれた』という実感はない」と完敗を認めた。
この愛媛と同じように、対戦相手の横浜FCもプレーオフ進出には厳しい状況に立たされている。横浜FCは現在13位で6位の大分とは勝点差9。勝点の差が試合数以下になることが追いつける目安とするならば、今節はどうしても勝たなければならない一戦だ。そして横浜FCも愛媛と同じように9月戦線は苦戦した。9月6日のホーム群馬戦での勝利を最後に現在は5試合勝利から遠ざかった状況で、停滞したムードを脱するためにもこの愛媛戦では勝利が欲しい。
こうして苦境にあえぐ両者だけに、注目したいのは立ち上がり。勢いを持って先制点まで奪えるかどうかがポイントになる。前節の反省という点を踏まえても、ゲームの入り方は肝心だ。愛媛も横浜FCも、前節は立ち上がりのセットプレーで失点し、出鼻をくじかれた。その後は首位湘南、2位松本の勢いに圧倒されて自分たちのサッカーができなかった。愛媛も横浜FCもボールを繋いでゴールを目指すことが持ち味だが、まずはその特徴を出していくためにどうやって主導権を握るかが問われることになる。
そこで愛媛は、西田剛が「松本のようなハードワークで横浜FCを追い込みたい」と語るように、前線からのプレスでまずはマイボールにできるかどうか。さらに浦田延尚も「相手に合わせるのではなく、相手コートに押し込んでいきたい」と選手たちは守備から前に、前に進むイメージを持っており、それを体現できるかどうかになるだろう。西田が守備のスイッチを入れ、そから相手を追い込みボールを奪って素早く攻撃に転じることも愛媛の1つの形。その時に、両ワイドの選手が高い位置を取ることができるかどうかも、愛媛の調子を計るバロメーターになる。
もちろん、横浜FCも愛媛の思惑通りに試合を進めさせないよう、その狙いを外すことができるか。両者ともにいえることだが、パスをつなぐサッカーをする以上はその判断の質も問われることになる。ここまでやってきたサッカーの質、精度を上げて苦しい状況を脱することができるのは愛媛か、それとも横浜FCか。シーズンを通じて成長してこれたかどうかが問われることになるが、その力を発揮する場は、あとわずか7試合しか残されていない。
以上
2014.10.10 Reported by 近藤義博