讃岐と群馬の選手達が今まさに丸亀競技場のピッチに入場しようとしていた時、記者席のスカパーオンデマンドは東京・駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場で行われている東京?と熊本の試合を映し出していた。場面は後半アディショナルタイム5分。最後のワンプレーとなる東京?の右コーナーキックだった。「あっ・・・・」、小さく声が出た。でも、これがサッカーだ。この時点で20位東京?と21位讃岐の勝点差は10、我々は勝ち続けるしかない。
前半、讃岐は高いディフェンスラインを保ち積極的なプレスで主導権を握った。シュートも積極的に打ち45分間で9本放つなど前節の試合内容からは見違える動きを見せた。一方、3連勝中の群馬は先発を数名入れ替え挑んだ。秋葉忠宏監督には新しい選手に3連勝というチームの勢いに乗って活躍してほしい狙いがあったようだが、チームは逆に讃岐の勢いに押されて受身に回ってしまった印象だ。やはり、サッカーは気持ちの部分が大切だということを思い知らされた。
得点シーンは前半36分、右サイドを駆け上がった武田有祐が古田寛幸とのパス交換でゴールラインぎりぎりまで侵入。相手ディフェンスをうまくかわしてゴール前へ送ったクロスから得たコーナーキックから生まれた。右コーナー、高木和正のキックはニアの西野泰正へ。西野が頭で後方へすらしたボールは中央で待つエブソンにドンピシャ。このボールを身長190cmのエブソンが冷静に頭で決めた。北野誠監督はこの場面について「出場選手はもちろん、試合に出ていない選手やスタッフ全員で必死になってトレーニングした結果なのでチーム全員のゴールだ」と話した。
群馬は失点後すぐに小林竜樹を投入、後半55分には選手を2人同時に交代し 青木孝太と小柳達司を入れて積極的に攻めるが、最後まで運動量と集中力を切らさなかった讃岐が守りきり1−0で完封、後半2度あった決定機を決められなかった課題は残るが貴重な勝点3を手に入れた。
試合終了のホイッスルと同時にスタジアムにはコンティ・クリスティーナが歌う讃岐の公式応援ソング「ペル・グロリア」が大音量で流れ、スタジアムは約1か月ぶりの歓喜に包まれた。残り7試合、20位東京?との勝点差は7。J2自動残留にむけて大きな勝利を手にした讃岐北野監督は「勝たなければ超えられない。その差はコツコツやらないと一気には詰められないので、まだ7試合あるととらえて、勝点を積み上げていきたいと思う」と語った。
7試合のうちホームで4試合、讃岐が繰り広げる熱戦を多くの観客と共有したいものだ。
以上
2014.10.05 Reported by 大森一(オフィスひやあつ)