前節(第34節)の千葉は、序盤は東京Vの前線からのプレスを受けて思うようには攻撃を組み立てられなかった。20分過ぎからプレスをかわしてボールを動かせるようになり、後半はカウンターの応酬という展開になったが、連係ミスや個人のミスもあって試合を通して決定機は少なかった。GKは岡本昌弘の負傷欠場で高木駿がJリーグデビューを果たす中、千葉よりもペースを握る時間帯が長かった東京Vの終盤の波状攻撃に耐えた。だが、東京Vの決定力不足に救われた場面も少なくなく、結果は攻守に課題を残したスコアレスドロー。第32節・岐阜戦で勝ったあとは2試合連続引き分けで、第33節終了時は6位の大分とは勝点差2の7位だったのが、前節終了時は6位の大分との勝点差は2のままながらも山形と京都に勝点で並ばれ、得失点差によって9位に後退した。
前節の福岡は前半にCK後のこぼれ球から富山に先制点を奪われたが、60分に武田英二郎のFKからパク ゴンがヘディングシュートを決めて同点。81分にCK後の流れから中原秀人のクロスに酒井宣福が頭で合わせて逆転し、2−1で勝って連敗を3で止めた。第30節・北九州戦は5−3と大量得点で勝ったが、3連敗中の得点数はゼロだっただけに、セットプレーのチャンスを生かしての複数得点は好材料といえる。さらに、第32節・大分戦、第33節・東京V戦ではサイドを崩されてクロスから失点していたが、前節はその形の失点は防いだ。前節の勝利で、順位は11位ながらも6位の大分との勝点差は4に縮まった。
アジア大会に出場したU-21日本代表選手が帰国し、千葉は山中亮輔、福岡は千葉との前回対戦(第17節で福岡が1−0の勝利)で得点した金森健志が戦列に復帰する。その一方で、千葉はオナイウ阿道がU-19日本代表に選出されて不在で、大岩一貴が累積警告による出場停止。今節は大岩に代わって山口慶の右サイドバックでの出場が予想される。
前回対戦では福岡の前からのプレスに加え、イージーミスの多発で自滅した感のあった千葉は、前節・東京V戦の反省も踏まえてプレスをいかにかわして攻撃を組み立てるかがポイント。3バックの福岡が自陣に引いて5バックの形でしっかり守る形を作る前にサイドのスペースを突きつつ、左右と前後のボールの動かしをうまく組み合わせたパスワークでフィニッシュまで持ちこみたい。そのためには前節のように足元でつなぐパスだけではダメで、味方のためにスペースを作ることも含めて動きの質と量が求められる。
また、前節の終盤は東京Vに押し込まれた時の対応に難があり、高木は「中盤の選手を押し出すという全体的な守備の意識が必要。ボールに対して出て行くことをもっと意識しないと、全体が引いたままになってしまうので」と話していた。福岡は城後寿、酒井宣福などミドルシュートが得意な選手がいて、特にセンターバックの堤俊輔のシュートは強烈。千葉はもともとセットプレー後などのこぼれ球の対応の仕方に問題を抱えているだけに、素早く反応して動いて相手よりも先にボールに触ることが必要だ。千葉が自陣に引きすぎると、福岡はセンターバックまでオーバーラップしてくるだけに気をつけたい。
今節を含めて残り試合は8となり、両チームにとって可能性はまだゼロではないもののJ1自動昇格の2位以内に入るのは相当厳しい。現実的な目標のJ1昇格プレーオフ出場に向けてライバルに勝ちきれるか。過去にはJ1残留に向けて、そしてJ1昇格に向けてリーグ戦の終盤の対戦では数々の死闘を繰り広げてきた千葉と福岡。今節も激戦が予想され、勝利への執念、そして球際の勝負で相手を上回れるかが勝敗を分けそうだ。
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2014.10.03 Reported by 赤沼圭子