愛媛にとっては通算成績1分8敗でまだ勝利したことがない千葉と、10度目の対戦。これまでの相性の悪さは際立っているが、ここ2節の山形戦や岡山戦のように前線からアグレッシブに戦う自分たちのスタイルで千葉の壁に立ち向かった。
すると、試合序盤こそ五分五分の戦いが続いていたが、次第に愛媛の圧力が千葉を押し込みはじめる。そして愛媛が最終ラインの村上佑介や浦田延尚も積極的に攻撃参加をすると、千葉はマークがはっきりせず前線もズルズルと下がってボールを奪い切れない。前半の中盤以降は愛媛が完全に主導権を握る。そして前半35分には村上佑のクロスに表原玄太が頭で合わせ、続くコーナーキックでも西田剛がヘディングシュートでゴールに迫る。これはいずれも千葉GK岡本昌弘のファインセーブに阻まれたものの、さらに続いたコーナーキックでフリーになった村上巧が頭で合わせ、愛媛がリードを奪った。
それでも、後半の頭から佐藤健太郎を投入した千葉はチームのバランスを修正。中盤からしっかりボールを動かせるようになると、50分にはその佐藤健のスルーパスを受けた谷澤達也が絶妙のシュートをファーサイドに流し込む。これで後半開始早々に追いついた千葉はその後も攻勢を続け、68分には逆転ゴールも生まれる。再び佐藤健を経由して、中村太亮のクロスに対して愛媛ディフェンスラインの裏を取ったのは森本貴幸。絶妙の動き出しで抜け出すと、ワンタッチで押し込み千葉が逆転に成功した。
前半とは一転して、攻勢の千葉に対してマークが付き切れず、主導権を奪い返されてしまった愛媛。「受けに回って逆転されてしまった」(村上巧)、「気をつけていたが引き気味になり、千葉の上手さにやられてしまった」(浦田)と、愛媛にとっては嫌な流れで逆転を許したが、リカルド ロボを投入して2トップにするなど、ベンチワークも含めて全員が同点を目指したことが90分に実を結ぶ。
途中出場の近藤貫太が粘って愛媛がマイボールにすると、キム ミンジェが一気に左サイドを駆け上がる。すると、折り返しが足元にこぼれてきた堀米勇輝が左足を振り抜く。このシュートはポストに当たったが、こぼれ球を西田が押し込み愛媛が同点に追いついた。
その後は5分間のアディショナルタイムでも決着がつかず、タイムアップ。10度目の対戦でも、愛媛は千葉から勝利を奪うことができなかった。ただ、千葉にとっても一度は逆転しながら勝点3をつかめなかった点では痛いドロー。6位に順位を上げるチャンスを逃してしまった。それでも、逆転まで持ち込んだ試合内容はポジティブに考えられる。選手たちも自覚しているが、あとはそこから勝ち切る試合運びを突き詰めてJ1昇格プレーオフ進出を果たしたい。
一方の愛媛も一時は逆転を許して勝ち切れなかったが、下を向く必要はない。「負けなかったことをポジティブにとらえるようにしてる」と西田は自分に言い聞かせるように語ったが、「今日の試合は、今までならズルズルいってしまうところだった。同点後の残りの時間でも攻める姿勢があったし、チームの成長は感じた」と続けたように、逆転されてから勝点1を取り戻したのは半歩前進。今季、何度も逆転負けで痛い目にあって高い授業料を払い、そこから得た経験をドローにつなげることはできた。しかも、相手は千葉だ。もともとそれほど簡単に勝てる相手ではないし、こうした戦いはこれからも続く。磐田戦(9/28@ヤマハ)、湘南戦(10/4@BMWスタ)、横浜FC戦(10/11@ニンスタ)と愛媛は上位陣との連戦が続くが、そこでもう半歩前進して勝点3を目指したい。そこを目指せるチームになってきたし、そういう意味では上位陣にとって愛媛は嫌な相手になってきたと思っていいだろう。
以上
2014.09.24 Reported by 近藤義博