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【J1:第25節 清水 vs G大阪】レポート:明確になった試合を決めきる力の差。手応えのある面も見えた清水だが、同点ゴールは決めきれず(14.09.24)

終わってみれば3−0。現在の両チームの状態がそのまま表われたようなスコアだが、試合の中身を見れば、それほど差があったわけではない。ただ、そこにこそ今のG大阪の強さ、清水の苦しさが表われているという側面も垣間見えていた。

両監督にとって馴染み深いアイスタでの戦いは、気温25.4度、湿度52%とそれほど蒸し暑いわけではなかったが、日差しが非常に強い午後2時のキックオフという選手にとってはかなり厳しい条件でスタート。前節の神戸戦で守備の甘さが見られた清水は、3バックのシステムと顔ぶれは同じだが、若い石毛秀樹と水谷拓磨(2種登録)を先発させ、前からの守備という部分をテコ入れして臨んだ。

前半はその清水がまずまずの入り方を見せて、立ち上がりは五分五分の展開。ただ、時間とともにアウェイのピッチにも慣れてきたG大阪がポゼッションで優位に立って押し込み始め、そうなると清水の守備も5バック気味になってジリジリと下がっていく。そうしてG大阪がジワジワと清水ゴールに迫ってきた中での21分。G大阪がセカンドボールを拾って長い時間攻め続けていた中、エースの宇佐美貴史が右サイドでボールを持ってからワンツーも絡めながらドリブルで中に入っていき、じっくりと間合いを計って左足ミドルシュート。狙い通りDFの股間を抜いたシュートが右ポストぎりぎりに決まり、G大阪が良い時間に先制点を奪うことに成功する。
それにしても、この宇佐美のプレーは日本人離れした別格の個人技。清水の守備陣も人数は揃っていたが、飛び込めば抜かれてしまうので間合いを詰めきれなかった。他の選手なら左足でなかなか入るシュートではないが、宇佐美に限っては、そうした油断は通用しないということを痛感させられたシーンでもあった。

その後もG大阪が落ち着いてゲームをコントロールしていたが、清水は最後のところで踏ん張って決定機は作らせず、何とか2点目は与えないという試合運び。そして、42分にきれいなワンツーで大前元紀がゴール左に飛び出して決定機を作ったあたりからチームに勢いが出始め、後半が始まっても前からの守備が機能して自分たちのペースを作っていく。前半は後ろで人数が余っていることが多かった清水だが、後半は前からのチェイシングに対してDFラインも連動して前を狙い、縦パスをインターセプトする場面が増えたことは、チームとして次につながる部分だった。そのため、ボールを奪われても素早く奪い返せる場面が増え、相手陣内で試合が進む時間が多くなった。

それに対してG大阪のほうは、中2日の疲労と暑さの影響もあって前線からの守備が甘くなり、自陣内でブロックを作って守る時間が増えたが、「セットした守備というのは、今すごく明確になっていて、しっかり間を締めながら外に追い込んで、外から入ってきたボールをしっかり弾いていくというのは、去年のJ2から積み上げてきた。焦ることなく、逆に攻めさせているぐらいの感覚でやれている」(丹羽大輝)と冷静そのもの。なかなか中央から突破することができない清水は、必然的にノヴァコヴィッチをターゲットにしたサイドからのシンプルなクロスが主体になるが、その対応は長谷川健太監督が清水時代から徹底して取り組んでいた守備の要素。当時から鍛えられてきた岩下敬輔をはじめとするG大阪の守備陣がノヴァコヴィッチをしっかりと封じ、つけいるスキを与えない。

それでも後半のCK数は清水4回、G大阪0回で、FKでもチャンスがあった清水としては、セットプレーで何とか点を取りたかったところだが、この日は大前のキックにいつもの精度がなく、惜しかったのは前半14分の平岡康裕のヘディングだけ。逆に、G大阪は久しぶりに得た後半39分の右FKから遠藤保仁が素晴らしいボールを入れ、「練習通りの形」と振り返った丹羽が強烈なヘディングシュートを決めて追加点をゲット。
両者の力関係からいえば、これが十分なダメ押し点となり、さらにアディショナルタイムにも、前がかりになった清水から交代出場のリンス(後半37分〜)が3点目を決めて、その直後にタイムアップ。後半は消えている時間が多かった宇佐美も、最後の3点目をアシストして1ゴール1アシスト。G大阪としては盤石の試合運びで4試合連続の完封勝利を決めた。

一方、清水のほうはすべて3失点以上で3連敗。6試合勝利がなく、ホームでも3連敗して順位が15位に下がり、いよいよ尻に火がついてきた。後半は手応えのある戦いができていたが、そこで決めきれず、守り切れないのが苦しいところ。だが、ここで自信を失っているヒマはない。この後は大宮、C大阪と残留争いをするライバルとの直接対決が待っている。この試合で見られた守備の改善点を継続し、まずは失点しないことから勝点をつかみ取っていくしかないだろう。

以上

2014.09.24 Reported by 前島芳雄
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