前節から中2日というタイトなスケジュールで開催されるこの33節。北海道札幌市にある札幌ドームでは現在勝点42で12位の札幌が、同52で4位につける岡山を迎え撃つ。前回対戦は0−2のスコアで岡山が勝利しているカードだ。
札幌の前節は敵地で群馬と対戦して0−3で完敗。前半中頃に自陣でのパスミスから失点すると、後半立ち上がり、中頃と続けて加点されてしまった。内容に目を向けても、しっかりとボールを動かしてくる相手に翻弄される局面も多く、順位が下の相手に力負けしてしまったゲームだった。
この敗戦についてバルバリッチ監督は「DFラインと中盤の距離感がうまくつかめずにミス絡みで失点をしてしまった」、「攻守においてバランスが良くなかった」と組織としての連動性を敗因として挙げている。チーム全体のバランス感を重視するバルバリッチ監督の目指す形がまだまだチームに染みついていないということなのだろう。
とはいえ、バルバリッチ監督が試合の指揮を執るようになってからまだ2試合。もちろん残り試合も徐々に僅かになってきている状況ではあるものの、就任早々にそう簡単にいい内容で戦えるものではない。監督本人も「一夜にしてすべてがうまくいくことは、あり得ない」と発しているように、残り試合が多くないなかで、新監督が今後に向けてどういったマネジメントを見せてくれるのか、注目が集まるところだ。
一方、北海道に乗り込む岡山の前節はホームで愛媛と対戦して1−1のドロー。後半中頃に久保裕一のシュートで貴重な先制点を奪い、そのまま相手を押し切るかと思われたが、アディショナルタイムに追いつかれてしまう悔しい結末となってしまった。
しかし、そうした結末のゲームだったが、「愛媛が素晴らしかった」と影山雅永監督。「我々がプレッシャーをかけようと思ってもプレッシャーを外す」(影山監督)という巧みなパスワークを相手に演じられ、後手に回ることも多かった。先制し終了間際に追いつかれてしまう推移ではあったが、「ボールは持たれていましたが、根気よく、ゴール前に関しては鍵をかけ、順応しながら前半を0で終われたことが大きかった」と指揮官が分析したように、ホームゲームではありながらも、内容的には苦戦だったということ。その意味でいえば、勝点3こそ取れなかったものの、苦しい試合でしっかりと勝点1を積んだことを前向きに捉えるべきなのだろう。
そしてそうした戦いぶりこそが今シーズンの岡山の真骨頂だ。18試合連続無敗という時期があるなど、簡単には負けないのが岡山というチームである。一般的には終了間際の失点で勝点3を取り逃したとなると、どうしてもネガティブに振り返ってしまいがちなもの。しかし、今シーズンの岡山は苦しい試合を粘り強く戦って勝点を拾い続けたことで、現在の順位があることをチームとして認識しているはず。そうした強みが、ここからさらに生きていきそうである。
さて、そうして迎えるこの一戦だが、焦点としては前節後に岡山の影山監督が「どの試合もオリンピックの試合に臨むくらいの高いモチベーションで臨みたい」と発しているように、メンタリティの部分を挙げたい。前述したようにこの試合は前節から中2日というスケジュール。こと札幌について言えばバルバリッチ監督のスタイルをより浸透させたいタイミングではありながらも、そう簡単にできるシチュエーションではない。そしてこの試合を前に札幌は敵地から、岡山は地元から飛行機で移動をしていることを考えても、コンディション的にも簡単ではない部分は多い。そうしたなかで足を動かし、球際で競り勝つにはやはりメンタリティの部分が重要になってくるはず。ともにJ1を目指すチーム同士の、気持ちのこもったゲームが期待できそうだ。
以上
2014.09.22 Reported by 斉藤宏則