週が明けたあとのチームミーティングで、トニーニョ セレーゾ監督は選手に熱く訴えかけた。
「なんとしてでも11連勝しよう!」
シュート18本と圧倒的に攻めながらチャンスを決めきれず、相手には逆に少ないチャンスを生かされ敗れた大宮戦は痛恨の敗戦だった。9試合連続無敗が途切れただけでなく、首位の浦和との勝点差は再び7へ。タイトル奪還を掲げるにはギリギリの差となった。残り11試合を全てに勝利するのはかなりハードルが高い。しかし、勝つことでしか浦和との差を縮めることができない現状を考えると、監督の言葉にうなずくところは多い。再びタイトルへの意欲を燃やし、一つひとつの試合で勝利のために全力を尽くす。やるべきことはシンプルだ。
トレーニングの中では、守から攻への切り替えの速さが特に強調されていた。ボールを奪ってからの速さと、多くの選手が次々と前線に飛び出していく攻撃は迫力満点。その精度を増すことに今週の主眼が置かれていたのは興味深い。なぜなら相手はセットプレーに自信を持つ横浜FMだからだ。前回の対戦でも左CKから栗原勇蔵にヘディングでの先制点を許したが、中村俊輔がつくり出すセットプレーの精度はリーグでも屈指の精度を誇る。ターゲットになる選手も多数いるだけにセットプレーでの失点が増えている鹿島にとっては、最もやりづらい相手かもしれない。
しかし、逆に言えば、そうした相手と対戦するからこそ、セットプレーの集中力を高めることができる。練習では主力組に入った青木剛は「マンツーマンで守っているので一人ひとりが責任を持って、一段と気持ちを高めて対応することが大事になる」と話していた。F東京戦で退場処分を受けた青木にとって、雪辱を果たす絶好の機会が来たと言える。
相手のチャンスを防ぎそこからの反転速攻で得点を奪うことが理想的だが、ゴールを奪えなくても速攻の脅威を与えることはメリットが大きい。両チームがどのような駆け引きを見せるのか、セットプレーは目をこらして注意したい。
横浜FMはヤマザキナビスコカップの準々決勝で柏に1−2、1−3と連敗。リーグ戦も名古屋に0−2で敗れており、公式戦3連敗と調子を落としている。シーズン途中に加入して4得点をあげているラフィーニャを欠いていることが苦しい結果を招いているようだ。彼が出場してくれば別のチームになるだけに「鍵はセットプレー。あとはラフィーニャが出てくるのかどうか」と昌子源も警戒心を強めていた。
これまで数多くの名勝負を生んできた鹿島対横浜FMは、リーグ戦で50回目の対戦となる。今回はどのような試合となるだろうか。
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2014.09.19 Reported by 田中滋