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【第93回天皇杯 準々決勝 仙台 vs F東京】プレビュー:どちらにも、譲れない思いがある。熱さが表現されたプレーをフィニッシュにつなげられるのは、どちらのチームか。(13.12.22)

12月22日(日)第93回天皇杯 準々決勝 仙台 vs F東京(13:00KICK OFF/ユアスタ)
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「本日は足元の悪い中、お集まりいただきありがとうございます」。試合二日前恒例、囲み会見の場に表れた手倉森誠監督の、第一声である。12月20日の仙台は、前日から強く降り続く雨によって、冷たい空気が流れていた。
「寒いです。でも、この大会にかける思いは、サポーター、フロント、チームから感じます。寒さに反比例して、熱くなっています」と手倉森監督は続けた。仙台にとってはタイトル獲得まで、あと3勝というところまできた。今季はリーグ戦でも優勝を目指しながら13位という不本意な成績に終わり、しかも最終節で3連敗を記録。今度は逆に3連勝して、頂点に立ちたいところだ。U-21日本代表監督就任にともない今季でチームを離れる監督を、2014年1月1日に国立競技場から送り出したいという思いも、仙台のチームに関わる多くの者たちのなかにある。

熱い思いを持ってこの一戦に臨むのは、対戦相手のF東京も同じだ。同じ12月20日には東京で雪が降ったそうだが、こちらも「寒さに反比例した」熱さが、試合が近づくにつれ増していくだろう。魅惑の攻撃的スタイルのもとでチームを育ててきたランコ ポポヴィッチ監督も、今季でチームを離れる。長らくチームを支えてきたルーカスも今季限りでの現役引退を表明。残念ながら負傷のためルーカスがこの試合のピッチに立つことは叶わなかったが、彼とともにタイトルを取りたい思いを、F東京のチームに関わる多くの者たちは強くしているはずだ。

そのように熱く、譲れない思いを持った仙台とF東京は、2週間前(J1最終節)に味の素スタジアムで対戦した。前半は仙台が押し気味に試合を進めたがF東京が耐える展開。しかし後半にルーカスのゴールでF東京が試合の流れを引き寄せ、終盤の平山相太のゴールで突き放した。
あれからわずか2週間だが、今度は大会も場所も異なる。残念ながら柳沢敦とルーカスがそれぞれ負傷離脱したこともあり、両チームのメンバーにもいろいろ変化がありそうだ。仙台は最終節で途中出場した赤嶺真吾の先発復帰が濃厚。「けがをした仲間の分も戦う、という思いは両チームともあるだろうけれど、自分達はそのなかでも勝って、一日でも長くこのメンバーで戦ってタイトルを取りたい」と活躍を誓う。F東京も石川直宏や東慶悟が今度はスタートから攻撃を彩ることになる模様だ。
「誰が出ても、やりやすいということでもやりにくいということでもなく、それぞれの総合力が問われる試合になると思います」という梁勇基は、「だからこそ、今度こそしっかりチャンスでゴールを決めたい。自分達がボールを回せているときに、いかに勝負のパスや突破といったものをしかけられるかがカギ」と言葉に力を込める。方法論はそれぞれ大きく異なるが、中盤での構成力を高めてきた両チームが、それをいかにゴールに結びつけられるかが、勝負を決めることになりそうだ。特にシュートのタイミングに注目したい。
せめぎ合いの中でこぼれ球を拾い、効果的にスペースにボールを送り、フィニッシュのタイミングを見逃さないこと。それは、技術、戦術眼、集中力など、多くの要素に左右されるが、やはりプレーの支えとして大きいのは、試合にかける気持ち。手倉森監督は気負いすぎて固くならないように、平常心を大事にするようチームに呼びかける。だがその一方で、「『その日』がくれば、自然と高まっていく。『天皇杯を掲げてほしい』という人々の思いとともに戦いたい」と、ユアテックスタジアム仙台で吸う空気が熱いものになることを期待している。

勝負事である以上、準決勝のステージである国立競技場に進めるのは、この両者のうち1チームだけだ。勝者と敗者の道が分かれることは覚悟しながら、両チームがその熱い思いをプレーによって存分に表現してくれることを期待したい。

以上

2013.12.21 Reported by 板垣晴朗
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