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【J1:第31節 F東京 vs C大阪】レポート:4万人の観衆を沸かせた柿谷。F東京は引き立て役に。(13.11.11)

F東京が「日本を代表する戦い」と銘打ち大々的なプロモーションを行った戦いは、2006年11月26日の浦和戦以来となる40731人を集めた。しかし、この日の主役の座はC大阪のFW柿谷曜一朗に譲った。青赤は、彼の引き立て役になってしまった。残り3試合で3位との勝点差は9。J1リーグでのアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場権獲得はほぼ絶望的な状況に陥った。

試合開始から両チームのらしさが存分に出た。数本のパスをつなげ、意図した攻撃からゴールへと迫る。シュート数は、F東京15本に対し、C大阪は16本。畳みかける時間を双方がつくった。ため息がもれる時間が続いたが、31分にC大阪が均衡を破った。ゴール前の混戦からFW南野拓実が右足を振り、ゴールネットを揺らして先制点を奪った。

そのまま試合は後半へと流れていく。F東京が攻撃の姿勢を強め、ボールを握る時間が徐々に増えていくと、70分に長谷川アーリアジャスールが魅せた。数本のパスをつながって足元に収めると、ルックアップしてシュートを放った。バーを叩いたボールは、地面に跳ね返ってそのままゴールに突き刺さった。

両者が攻め合う試合は、互いのGKの活躍もあり、締まった試合となった。偶発的な得点ではなく、意図した攻撃の連続にスタジアムのボルテージが上がっていく。その流れの中で主役の座を射止めたのは柿谷だった。87分、GKキムジンヒョンがロングフィードで前線へとボールをけり出す。DFの背後を取った柿谷は、GKとの1対1の場面をつくりだした。コースの的を絞り、冷静にネットを揺らして試合を決めた。C大阪の選手たちは、「練習でやっていた形」とこの得点を振り返る。ゴールを決めた本人も「どんだけ注意しても、あれだけ飛ぶとは思わない。でも、僕は知ってる」と言った。F東京は、一発のパスで柿谷を狙ってくることは試合前のスカウティングで頭に入っていた。だが、GKからのボールに不意を突かれてしまった。

そして、試合終了の笛が鳴る。アウェイゴール裏から歓声が上がり、F東京の選手たちは肩を落とした。「結果がついてこなかった」。「決めきれなかった」。試合後のコメントは今季何度もくりかえされたそれだった。試合後のC大阪レヴィー・クルピは勝因に「集中力」を挙げた。敗れたF東京は1失点目も、2失点目も、集中力を欠いていた。加賀健一は猛省し、「もったいない」と吐き出した。高いレベルの試合ほど、一瞬のスキが致命的となる。

主役を演じた柿谷は、「優勝だけを狙っている」と、さらに視線を前に向けた。茂庭照幸も「誰もこの順位に満足していない」と語り、チーム全体の士気は高まっている。一方で東京は今、足元を見つめて細部を突き詰めなければいけない。今季は、接戦をモノにできない印象が色濃く残っている。我慢比べに勝つ。そのイメージを植え付け、勝負弱さを払拭しなければ、さらに上に進むことはできないだろう。

以上

2013.11.11 Reported by 馬場康平
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