16日、福岡の町に衝撃が走った。西日本新聞社が1面トップで報じたアビスパの経営危機問題。誌面には「アビスパ資金繰り悪化〜Jリーグ『資格剥奪も』」のショッキングな文字が並ぶ。内容は、運営資金約5千万円が不足し、資金調達の目途が立たず、12月に社員や選手の給与の遅配が起きる可能性があるというもの。同日、クラブは緊急記者会見を開き、報じられていることが事実であることを認めた。アビスパはどうなるのか。その行方は現在のところ見えていない。
そんな中、クラブが経営健全化のために打ち出している新事業が「2013福岡力 アビスパKidsパートナー」。その内容については、公式HPに以下のように記されている。
『この度アビスパ福岡では、「地域応援うちわ」に引き続き、地域活性応援隊として「2013福岡力 アビスパKidsパートナー」事業にご賛同、ご協賛いただける企業・個人様を募集することになりましたのでお知らせいたします。
アビスパ福岡は基本理念のもと、これまでも多くの地域貢献活動を実施してきましたが、本事業は将来を担う小学生の皆さんを対象としたイベント運営やプロサッカーのプレーをLIVEで観戦できる機会を創る招待観戦事業等、地域の活性化に繋げる活動です。皆様のご協賛でスタジアム内外のキッズイベントをはじめ、アビスパ福岡のホームゲームに招待する観戦事業等を展開し、アビスパ福岡が戦うスタジアム内では勿論のこと、日常の多くの場所がアビスパ福岡の話題で笑顔が溢れるようなホームタウンを目指します』
ただ資金を集めるだけなら、募金を募るという手段もある。しかし、それは一時的に危機を回避する手段にしかなり得ず、創設以来、経営難に悩まされ続けているアビスパにとって、抜本的な解決策にはならない。しかし、この事業が軌道に乗れば事業収入を拡大する形で経営危機から脱することが出来るだけではなく、「僕たちは何のためにあるのか社内で真摯に話し合いをした。そこで確認できたのは、福岡の町を愛するみなさん、そして、未来を担う子どもたちのために存在するんだということ」と話す大塚唯史代表取締役社長の言葉通り、アビスパが子どもたちの夢と未来を担う存在になると同時に、アビスパが長く求めてきた「地域の手で、地域のクラブを支える」枠組みを作る第一歩にもなる。そしてそれは、アビスパに関わる全ての人たちの、アビスパに対する想いの意思表示のひとつでもある。アビスパの経営危機が報じられて以降、協賛企業(個人)は飛躍的な勢いで伸びているばかりか、他クラブのサポーターの間にも広がりを見せている。
「ピンチはチャンスだ、ありがとう」。この言葉は私が金融会社のサラリーマンだった頃、会社の研修で嫌というほど聞かされた言葉だ。アビスパの経営危機は深刻だが、だからと言ってネガティブになってばかりいても事態は好転しない。それならば、この危機にある中にポジティブなものを見つけ出して前向きに歩いていきたい。いまは先が見えなくても、出口に辿り着けることを信じて行動を起こしたい。それが厳しい状況を抜け出すために必要なことなのだ思う。「それでもアビスパは止まらない」。それがアビスパに関わる全ての人たちの想いだ。
なお、「2013福岡力 アビスパKidsパートナー」への協賛は、法人が1口10,500円、個人は同じく5,250円(上限なし)。詳しい協賛方法はアビスパ福岡公式HPを参照願いたい。
以上
2013.10.18 Reported by 中倉一志