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【J2日記】北九州:「最高の試合を、最高の芝で」(スポーツパークパートナーズ本城 )(13.10.01)

「これだけの雨が降りながら、スタジアムのピッチが非常に良かったということに感謝したい」(第22節 長崎 高木琢也監督)

「ここ数日、こちら(北九州)の方は雨が降っていたので、グラウンド状況が心配だったんですけど、本当に素晴らしいグラウンド状況だった。(中略)決定したかどうかハッキリ僕は分からないですけど、今度サッカー専用のスタジアムが出来るということで、同じ様なピッチの素晴らしいスタジアムができるのを願っています」(第32節 神戸 安達亮監督)

北九州市八幡西区にある、ギラヴァンツ北九州のホームスタジアム・本城陸上競技場。昨年まで担当されていた上田真之介さんが、研究したくなるほど試合当日は雨が多かった。しかし今年は、新しく指揮官となった柱谷幸一監督の晴れ男っぷりのおかげで、北九州のサポーターから「柱谷ウェザー」という新語が生み出されるほど、良いお天気の中で試合、そして取材が行われている。
そんな中、数少ない雨の中で行われた試合後の記者会見で、アウェイチームの監督が述べられたのが、上のコメントである。

今回取材にご協力いただいた、本城陸上競技場を管理されている「スポーツパークパートナーズ本城」の技術責任者である冨山幸子さんと塚本直巳さんに、このコメントを伝えると、
「自分たちの中では、もうちょっと良い状態でと思っている」(冨山さん)
「管理する当事者なもんで、ネガティブな面しか出てこないですね(笑)悪いところを良くすることしか考えていないので、本城の芝が良いと思ったことが無いんですよ。悪いところしか見えて無いので、もちろん褒められて嬉しいですけど、もうちょっと良くしたいと、毎回思っています」(塚本さん)
と、意外な答えが返って来た。
ではなぜ本城のピッチは良いと言われるのか? 前から気になっていたことを、素直に2人に投げかけてみた。

Q:なぜ本城のピッチは良いと言われるのですかね?
冨山さん「他の大きなスタジアムに比べれば、芝の成長の条件は良いとは思うんです。屋根が無かったり、日照時間もすごく良いですし、風通しもです。その点の苦労で言えば、他のスタジアムさんよりかは良いとは思います。芝も全体的に同じように育ってくれますし、他のところよりも、クッション性は良いと思います。芝の密度も高いですね」

塚本さん「芝は、まずは日当たりと風通し。あと排水が良いか、水たまりが出来ないかどうかです。元々、担当する4年前から良かったんですが、年々悪くなっている気がしています。そこは褒められたもんじゃないんですよ。更新作業と言って、穴を開けるエアレーションだとか、バーチカルと言って根っこをすく作業だったり。特に排水に関しては、エアレーションがメインになると思いますが、それを増やさないといけないのかなとは思っています。現在は維持している状態なので、今は良いかもしれないけど、その更新作業を減らしたりすると、すぐに悪くなって行きます。良いからといって手を抜くんじゃなくて、真剣によく考えて作業をしています。それに、専用スタジアムに比べれば、ちょっと使用頻度が多いとは思います。だから、余計に元気な芝にしておかないと持たない。その辺は苦労しています」

Q:芝の管理面で気をつけていることは?
塚本さん「基本的に芝生なんで、もちろん試合の時には最高の状態にしたいんですが、やっぱり季節に左右されますので、季節に合った作業、利用頻度に合った作業を心掛けています。その結果が、たまたま試合当日に繋がっているという感じですね。春先の開幕の時くらいですかね、ちょっと無理して作業をしているのは。あとはJリーグの試合が行われる時は、今年から当日刈りに変えたこと。去年までは前日に刈っていたんですが、人手と時間の問題もあるので。今年は、刈り込みもライン引きも、なるべく当日にするようにはしています。見た目も良いですし、ボールの転がりも良いので!」

良い状態を保つ為には、日頃の研究熱心さと、絶え間ない向上心が必要だと教えてくれた。

冨山さん「新潟や日産、Jビレッジなどは視察に行きました。それに関連会社が、ジェフの練習場なども管理していますので、情報交換をしたりしています」
塚本さん「私はゴルフ場で13年働いて、芝の管理をしていました。ゴルフ場とは芝種やプレー内容も違いますが、芝生の状態をずっと見ることは変わりませんし、ずっと勉強なのは変わりません」

Q:本城での試合も、あと3試合ですね!
冨山「次の試合は、冬芝でやることになるとは思うんですけど、テレビでも分かるような綺麗に生え揃った芝で、やってもらいたいなとは思います」
塚本「ちょうど芝種も変わってしまうので、試合までには良い状態にしたいと思っています」

この日の午前中、チームは隣のサブグラウンドで練習を行なった。その取材が終わって、2人には貴重なお昼休みの時間を割いていただきインタビューをさせてもらっていたが、先ほどまで晴天だった空は、いつの間にか曇り、そして雨が降って来た。
「これじゃ、今日の種まきの作業も中止ですね」。塚本さんは、いつもの慣れっこの様に口にしたが、天候にも左右される毎日の作業。
最高のプレー、最高の試合のために、目に見えないこういった方々のご苦労があるのを、目にすることが出来た。
次の本城での試合は、10月6日の福岡とのダービー。本城のピッチは、静かにその時を待っている。

以上

2013.10.01 Reported by 坂本真
(C)坂本真

夏芝はティフトン419、冬芝はペレニアルライグラスを使っている本城

(C)坂本真

左から、塚本さん、冨山さん、安田さん、西川さん。この4人で本城の芝の管理をされているとの事

(C)坂本真

取材日の午前中、こんなに天気が良かったのですが…

(C)坂本真

前日出来なかった作業の遅れを取り返すが如く、この日も朝早くから作業をされていました

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