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【J1:第27節 名古屋 vs 川崎F】プレビュー:キーワードは「全員守備」。J最強の攻撃力を誇る川崎Fに対し、名古屋はチーム一丸となった守備から勝機を見出す!(13.09.28)

9月に入って公式戦3連敗。8月には一度も負けなかった名古屋は今、再びリーグ中断前のような悩める毎日を送っている。前節のF東京戦では攻守にわたり圧倒され、いいところなく完敗を喫した。天皇杯で喰らったアップセットもそうだが、9戦連続無敗を誇ったチームの歯車は狂いっぱなしだ。今週のトレーニングでも、紅白戦で良い動きを見せたのはサブ組で、主力メンバーたちのプレーからは往時の冴えやキレが失われていた。既に首位とは勝点15差が開き、AFCチャンピオンズリーグ出場圏内である3位とも11差。もはや何らかの順位を目指すよりも、残るシーズンで何を見せるか、どれだけの可能性と力を見せられるかが名古屋がなすべきこととなってきた感がある。

その意味で、今節ホームに迎える川崎Fは危険な相手であるがゆえに、復活のきっかけをつかむには格好の相手ともいえる。26試合50得点とリーグ最強の攻撃力を誇るチームには、現在18ゴールで得点ランクトップを走る大久保嘉人ら強烈なタレントが揃う。今回は今季のJ最高の外国籍選手との呼び声高いレナトを出場停止で欠くものの、中村憲剛がタクトをふるう攻撃は強力無比。特にショートカウンターはボールロストが即ピンチに変わるほどのスピードと精度を持っている。攻撃に人数をかける名古屋のようなチームにとっては実に相性が悪い。だからこそ、勝利の効能も大きい。

普段は攻撃から試合を組み立てる名古屋でも、川崎Fに対しては少し構える部分があるようだ。小川佳純はここ数試合の内容を踏まえ、まずは守備の整備が肝要と語る。
「川崎Fはカウンターが速いので、簡単にボールを失わないようにしないといけない。ここ何試合かは相手に自由にボールを持たせすぎていて、例えば相手のボランチがボールを持っている分には構わない、という守備をしてきたんですが、やっぱりそれでは苦しい展開になってしまいます。今の僕たちは前から守備をできている時が良い試合になることが多いので、全員が連動して、こっちが良い形で奪ってのカウンターを仕掛けていきたいです」。

ダニルソン不在の中盤守備を支える、生え抜き最年長の中村直志も同意見だ。
「僕らが良い時は全員が守備をしているので、その意識を持たないと良い試合にできません。川崎Fはミドルシュートが得意な選手が多いので、ボールに詰める、あるいは寄せるという作業を自分はしていきたい。中盤でうまくバランスをとって、バイタルエリアをコントロールできればいい」。
川崎Fには大久保、中村憲、そしてボランチの山本真希と中距離シュートの大家が揃う。ミドルシュートよりは裏のスペースを優先してケアするのが名古屋の守備システムだが、今回ばかりはバイタルエリアへの対応を意識せざるを得ないだろう。それには中村直、田口泰士らボランチコンビだけでは人手が足りない。玉田圭司やケネディなど、FWの守備での貢献も必要不可欠だ。

このところの名古屋の不調の原因は、攻撃がうまく構築できていないこともある。それはDFリーダーにしてビルドアップの名手である田中マルクス闘莉王の不在によるところも大きいのだが、今節も彼の出場は微妙なところ。練習には参加しているのだが、痛めた右足をかばう仕草がまだ多く、いまだ本調子とは言えない状況が続いている。チームの苦境を救うために強行出場することも考えられなくはないが、前節での起用法に関するストイコビッチ監督のコメントからすれば、及第点以上のコンディションに戻らなければピッチに立つことはなさそうだ。闘将の代役として清水戦、F東京戦とスタメン出場を果たした牟田雄祐は「自分が出て連敗しているので、まずは勝ちたいです。守備はある程度できているので、攻撃で勇気を持って積極的にプレーしたい。セットプレーも含め、攻撃で物足りないので。相手には大久保さんがいますが、抑えれば自信になりますし、まずはチームが勝てるようにやるだけです」と、モチベーションは右肩上がり。ビルドアップについても「チャレンジしていきたい」と意欲的な新人DFの活躍もまた、名古屋が勝つためには不可欠の要素になる。

しかしながら前途は多難だ。前述したポイントはすべて、基本的には川崎Fの勝因となるもので、川崎Fの持ち味そのものだからである。名古屋が前2戦と同様にチーム一体となった守備を展開できなければ、リーグ最高の攻撃力をそのまま受けることになる。ペナルティエリア内のシュートよりもエリア外のミドルシュートの方が決定率が下がると言っても、シュート数が増えればゴールの確率は上がっていく。不安を抱えたままのビルドアップではボールの失い方が悪くなり、相手の最大の武器であるショートカウンターの餌食になる。試合を分ける要素は表裏一体だ。

だから名古屋のやるべきことはシンプルだ。中村直は言う。
「ビルドアップにしたって、それ主導で考えるのではなく、良い守備から良い攻撃を作っていくことで、相手の対応が変わってビルドアップのパスコースが見えるようになる。前線からのディフェンスで、全体の良い流れを作りたいですね」

時に6人から7人が敵陣で攻撃に加わる攻撃的なチームだが、今は積極的な守備こそ勝利への近道となる。全員守備から生まれる全員攻撃で、名古屋は9月初の勝点3をつかみに行く。

以上

2013.09.27 Reported by 今井雄一朗
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