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【J2日記】群馬:野生児・瀬川 ○○○とマッチアップ(13.09.26)

澄み切った青空に秋の気配が漂い始めた先週の練習後、グラウンドの片隅で奇妙な動きを見せている選手がいた。その選手は無表情のまま、グラウンド脇に立ててある細い支柱にゆっくりと近づき、さらに指を伸ばしていく。その指の先にいたのは…トンボだった。

赤トンボと戯れていたのは大卒ルーキーの瀬川和樹。群馬での出場試合数は12試合(第33節現在)で途中交代が多いため全国的には無名に近いプレーヤーだが(一部大学サッカーマニアの間では有名だったらしい)、群馬での彼の存在感は不思議と高い。左サイドでのダイナミックなオーバラップもさることながら、シュールなお笑いセンスが彼の価値を高めているのだ。

その日、トンボとマッチアップした瀬川は、指をくるくると回してトンボの目を回していくと、もう片方の手をトンボの背後へと移動させて前後からじわじわとプレッシングをかけていく。そして赤トンボがくらくらとした瞬間に、背後の手で距離を詰めて後ろから一気に捕獲。その華麗なトンボキャッチはまさに職人芸。瀬川は、支柱に止まるトンボを次から次へと捕らえて、一人、得意げな表情を見せていた。
危ない世界に入りかけている瀬川に、トンボ捕獲のコツを聞いてみた。
「まずはトンボの気持ちを考えることが大切です。指で小さなサークルを描くようにしてトンボの目を回していって、ゆっくりと背後を取っていきます。これはサッカーに共通するところがありますね。
そしてトンボに愛情を伝えるようにやさしく捕まえるのです」
瀬川は昆虫博士よろしく捕獲方法を丁寧に説明してくれた。

その講義を聞いていた加藤弘堅は「瀬川はゲーム中によく裏を取られるからトンボの気持ちがわかるんですよ」と突き放した。瀬川のトンボ捕獲を見ていた秋葉忠宏監督は「さすが広島の山奥生まれの野生児だ。あの感覚をサッカーで活かせれば大成する」と期待を寄せた。
左サイドでマッチアップする相手を幻惑させて一瞬の隙を突いて裏のスペースを突く。爆発的な攻撃力を持つ瀬川がそんなクレバーな動きを見せればレギュラー奪取は確実。瀬川はワンランク上のサッカープレーヤーを目指すべく今日も赤トンボを追い続ける。

以上

2013.09.22 Reported by 伊藤寿学
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