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【J1:第26節 川崎F vs 鳥栖】プレビュー:大量5失点を喫した3節の対戦との違いを見せたい川崎F。ホーム4連戦を4連勝で締めくくりたい(13.09.21)

鳥栖とアウェイで対戦した3節の衝撃は大きかった。大量5失点を喫したこの試合は、反撃として4点を奪ったが何しろ失点が多すぎた。気持ちよくポゼッションはするのだが、不用意な失点を積み重ねたのである。そんな、シーズン序盤を象徴するかのような前回の鳥栖戦について改めて中村憲剛に聞くと「別のチームですよ。後半戦の話をする時にはいつもそういう話になりますが」との答えが帰ってきた。違いすぎて比較の対象にならないということらしい。開幕からの6試合を3分3敗という結果しか残せなかったあの頃とは、確かに川崎Fは違っている。

当時川崎Fは積極的なラインコントロールに取り組んでいた。今季から試みたその戦いは、相手をコントロールするためのものだったが、カウンターを受けるリスクも高く思うような成果を出せなかった。田中裕介は当時のことを振り返り「あの時はラインの高さにナーバスになっていた」と述べている。新しい守備戦術に多少、意識が引きずられていたのかもしれない。ただ川崎Fはこの鳥栖戦を経て、一度守備を見直すようになり、その結果として、9節以降の連勝が始まることになる。

当時との違いで一番大きいのは、自信であろう。このサッカーで行けば勝てるのだという手応えと、ピッチに立つ選手個々の技術的な裏付けを持った自信とが組み合わさっている。そんなチーム状態について田中は「元々圧倒する力はあったのが、自信によって勝ちきるところに繋がっている。今は内容と結果が伴っている時期だと思う。よりそれを続けることが大事だと思います」と述べている。今の川崎Fの好調さは、戦術的に何かが特別変わったという訳ではない。ただ、選手たちが本来持っている技術を当たり前に発揮した結果として、今やれているサッカーが表現できている状態にある。そうしたサッカーを引き出したのが、自信なのである。リーグ戦終盤に向け、1つずつ勝ち進むためにも、この鳥栖戦で勝利して自信を揺るぎないものに近づけたい。5失点した時とは「別のチーム」(中村)ということを証明するためにも、きっちりと勝ちたい試合である。

そんな鳥栖戦を前にチーム内に、3節のリベンジという思いはあまりない。たとえば山本真希は「やりかえすというよりも勝つことが大事。まずは勝って、それプラスできるだけ点が取れればいいのかなと」と話す。また風間八宏監督も「記憶力無いからね(笑)。昔のことは覚えてない(笑)」と冗談を飛ばしつつ「いつも言っている通り、いい試合をしなければならない。選手たちはその中で1つずつ成長していく。確固たる確信に変えていくチャンスだと思う。そういう意味では良いゲームにしたいと思います」と述べ、前回の対戦とこの試合とを切り離して考えている。そうしたいい意味で肩の力の抜けた空気がチーム内では支配的だった。

ある意味、静かに燃える川崎Fに対し鳥栖は厳しい戦いを強いられそうである。ここまでのリーグ戦全試合で先発出場し、16得点を積み重ねて来た豊田陽平が累積警告のため出場停止となったためだ。豊田はその得点力はもちろんだが、彼自体がチーム戦術と言ってもいいほどで、まさに鳥栖を支える存在だった。最終ラインから素早くロングボールを蹴るチーム戦術に豊田はマッチしており前線での起点となってきた。前線にロングボールが入ると、このこぼれ球を拾うべく中盤の選手たちが前線にポジションを代え、クリアボールが曖昧になるとここにチャレンジし、あわよくば高い位置でマイボールにして波状攻撃に持ち込むのである。そしてそのための1対1の強さを身につけているのである。もちろん、相手守備陣が甘い対応を見せれば豊田自身がゴールを狙う。つまり守備ブロックを無力化するための貴重な戦力だったのである。そんな、鳥栖にとって攻撃の中心となっていた豊田に加え、鳥栖は負傷により水沼宏太、岡田翔平、早坂良太といった選手を欠くこととなる。そういう意味で難しい試合になるのは確実であろう。ただ、藤田直之と高橋義希のボランチコンビは変わらぬ安定感を持っており、また2列目での起用が予想される池田圭や金民友といった選手の力強さも侮れない。チームの大黒柱は不在ではあるが、それにしても鳥栖は簡単に勝てる相手ではないのは間違いない。

川崎Fにとってこの鳥栖戦は、9月7日の浦和とのヤマザキナビスコカップ準決勝第1戦に始まったホーム4連戦の締めくくりの試合となる。ここまでの3戦で川崎Fは3連勝という結果を残している。だからこそ、この鳥栖戦を勝利して、ホーム4連勝を成し遂げたい。選手たちにリベンジの思いはそれほど強くはないようだが、であればなおのこと別物となったチームの力を見せてほしいところである。そのためにも、ここ2試合ノーゴールの大久保嘉人の3試合ぶりのゴールにも期待したいところだ。

以上

2013.09.20 Reported by 江藤高志
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