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【J1:第26節 名古屋 vs F東京】プレビュー:一戦必勝の気持ち新たに難敵を迎え撃つ名古屋。上位からの連勝で勢いに乗るF東京を相手に、チームの総合力が試される。(13.09.21)

前節は清水を相手に先制しながら追いつかれ、後半アディショナルタイムの失点で逆転負け。その前週の天皇杯2回戦ではJFL長野にも負けており、悔しさが募る公式戦での連敗を喫している名古屋が、難敵・F東京をホーム瑞穂で迎え撃つ。連続無敗が9で止まった名古屋に対し、F東京は広島、浦和を相手に連勝中。勢いに乗るチームに対して、名古屋の選手たちの警戒心は膨らんでいる。

「非常に“複雑な”チームです」と語るのはダニルソンだ。自身は清水戦での負傷で全治3週間の診断を受け、9月中の試合は欠場が濃厚だが、前回対戦時のイメージからF東京の印象を次のように語る。
「パスをつないでいけるし、FWの渡邉千真が決定的な仕事をする。中盤を支配して、ペースを握ってくる感じでもないけどボール回しには隙がなく、ポジショニングにもミスが少ない。パスミスもあまりないので、ボールを取りに行ってもかわされるイメージ。そして気づけばFWが得点していて、良い結果を出す。そういったつかみどころのなさが、“複雑”ということです」。
中盤守備の観点からの意見だが、この指摘は興味深く、また的を射ている。前節の浦和戦などを見ていても、F東京は攻撃の起点がひとつだけでなく、絶対的なパターンや型といったものがない。ポゼッションもカウンターも、どちらも対応できる上に、フォーメーションも流動的だ。4-2-3-1が基本のようで、3バックでも戦える。それがダニルソンの言う「つかみどころのなさ」であり、守備の狙いを絞りにくい部分なのだろう。

サイドバックの阿部翔平もまた、F東京を「やりづらい相手」と表現する。
「守備ではしっかりプレスをかけてくるので、ウチもそこでしっかりパスを回して対抗したいですね。タイミングを合わせてサポートに入って、つなぐ時と長いボールを蹴る時との判断も明確に。F東京とはサイドの攻防になることが多いので、両サイドで優位に持っていくことも大事になってきます。あとはルーカスの一本でやられるイメージが、強いんですよね。そういったところではまると相手のリズムになるので、気をつけたいです」。
この意見も正しい。F東京の守備の寄せは早く、2人、3人と一気に囲い込んでボールを奪い、鋭いカウンターを発動することもしばしば。ダニルソンと阿部の分析は、この一戦の要点を端的に説明してくれている。

非常に厄介な相手を迎える名古屋だが、前述した通りダニルソンは負傷で欠場が決定。代役は田口泰士が濃厚だ。ダニルソンの負傷が判明した翌日の練習では気合の入ったプレーを見せており、攻守両面での活躍に期待したい。守備面ではカバーリングで存在感を見せ、ミニゲームでも「ナイス泰士!」の声が次々と飛んでいた。またDFラインには田中マルクス闘莉王が復帰しそうで、こちらは朗報。相棒の候補も増川隆洋、ダニエル、そして清水戦で成長をアピールした牟田雄祐がハイレベルなポジション争いを演じており、ベンチ入りも含めたCB陣の人選は隠れた見所となっている。

ピッチ上の行方に目を移せば、まずはF東京の守備の出方が試合展開を決める第一の要素となる。天皇杯での長野は名古屋のビルドアップ、特に最終ラインへのプレッシャーを強めることで前がかりのディフェンスを実現し、主導権を握った。一方でリーグ前節の清水はそこをある程度自由にしたために、名古屋は余裕を持ってビルドアップができ、またロングフィードでもチャンスを作ることができた。F東京が名古屋のDFラインまでプレッシャーをかけるようであれば、阿部の言う通り名古屋のパス回しとプレスの真っ向勝負となるが、アウェイで守備の重心を下げるようであれば、落ち着いたビルドアップの後に展開されたサイドでの攻防が、ピッチ上で最大の主導権争いの場となる。名古屋としては様々な局面への対応力、つまりはチームの総合力が試される一戦と言ってもいい。

もちろん、個性的なアタッカーが揃うゴール前からも目が離せない。前回対戦で目の覚めるようなミドルシュートを決めた渡邉は現在17得点でランキング2位。多彩な得点パターンと広いシュートレンジを持つストライカーへの対応は、名古屋のDF陣にとって頭を悩ませるところ。他にも老獪なルーカス、機動力のある東慶悟など柔軟性のある攻撃陣は、確かに“複雑な”対応を迫られそうだ。逆にF東京のゴール前ではケネディと森重真人のマッチアップが熱を帯びそう。以前から肉弾戦の様相で激しくやり合ってきた二人だけに、一触即発の対決がスタンドを沸かせることは間違いない。

残り9試合となったリーグ戦で、8位F東京と10位名古屋の勝点差はわずかに2。ともに上位を目指すという立場は似通ったものだが、天皇杯が終わってしまった名古屋のリーグ戦にかける思いは強い。「勝たないと何も始まらない」という阿部の言葉が、その切実さを物語る。可能性としては3位以内も残されている中で、前節でその第一歩を踏み出し損ね、勝利への欲求はさらに高まっている。「現実を見れば目の前の試合に勝っていくしかない」。キャプテン楢崎正剛の言葉は名古屋の意志そのもの。残された可能性の中で最大の結果を残すためにも、名古屋はこの一戦を全力で勝ちに行く。

以上

2013.09.20 Reported by 今井雄一朗
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