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【J2:第33節 福岡 vs 横浜FC】レポート:必勝を誓った試合も1−5で完敗。抜け目なさを見せる横浜FCの前に、なす術もなく敗れる。(13.09.16)

福岡の失点が止まらない。第31節の神戸戦から続く失点は、天皇杯2回戦栃木戦を含めて4試合で18失点。攻撃的なイメージがある福岡だが、第30節までのスタッツを見れば分かるように、少ないゴール数を、少ない失点数でカバーして勝点を積み重ねてきたのが今シーズン。しかし、その特長が一気に崩れた。ひとつのプレーで簡単に最終ラインを突破される姿は、第30節までのチームとは全く別のチームのようだ。

立ち上がりは福岡のペースだった。高い位置からのプレスで横浜FCを押し込んで中盤を支配。自由にボールを動かして横浜FC陣内でのプレーが続いた。攻撃の起点になるのはプノセバッチ。楔を受け、あるいはボールを左右に散らして横浜FCの守備に的を絞らせない。攻撃面に特長を持つ三島勇太と金森健志をSBで起用し、高い位置に配してサイドから攻め上がる狙いも上手くいっているように見えた。後は、いつ先制点を奪うかだけ。この日、レベルファイブスタジアムに足を運んだ福岡のファン、サポーターは、誰もがそう思っていたはずだ。

だが、ひとつのプレーで試合の流れが大きく変わる。21分、三島との競り合いをスピードで制したパトリックが左サイドの深いところから折り返したボールはファーサイドへ流れたかと思われたが、そこへ飛び込んできた三浦知良が再度中央へと送り、ゴール正面でドフリーで待っていた野崎陽介が右足インサイドで合わせた。横浜FCにとっての最初のチャンスにして最初のシュート。それをゴールに結びつけた。パトリックがサイドを突破したシーンも含めて、ゴールに至るまでのいくつかの段階で、関与した福岡の選手全員にアラートさが足りなかったための失点。その隙を横浜FCは見逃さなかった。

そして32分。福岡は同じような内容で2失点目を喫する。寺田紳一から送られたロングフィードはオンサイド。しかし、福岡の選手たちの足が止まる。そして全員がボールウォッチャーになりパトリックに追加点を許した。さらに後半開始早々の46分には、自陣内でのパスミスを野崎に奪われて3失点目。それでも、その直後に金森が1点を返した福岡は、スタジアムに沸き上がる大声援を背に受けて猛攻を繰り出したが、ゴールが奪えずにやがてトーンダウン。そして、77分、89分にも、いとも簡単に失点を喫した。福岡は6位以内を目指して勝つことにこだわって臨んだ試合だったが、終わってみれば1−5の完敗で試合終了のホイッスルを聞くことになった。

試合内容に大きな差があったわけでもなく、また、個々の能力差という点でも大きな違いが感じられたわけでもなかった。だが、抜け目のなさという点においては、この日の両者には違いがあった。そして、そうした「ちょっとしたところ」で勝負が決まるのがサッカーというスポーツ。そこを確実に制した横浜FCと、あらゆるところで隙を見せた福岡。そういう観点で見れば、1−5というスコアは生まれるべくして生まれたものだった。
「真中を固めてパスコースを切って、そこから外へ行かせる守備だったり、崩されても、GKを含めて最後の最後まで集中して守ったりと、いい守備が出来たから、カウンターで点が上手く取れて、上手く試合を運ぶことができた」とは試合を終えた中島崇典の言葉。立ち上がりに押し込まれたとはいえ、横浜FCにすればイメージ通りの勝利だっただろう。

一方、敗れた福岡。今シーズンは小さな変化を積み重ね、成長しながら戦ってきたが、ここへきて、昨シーズンのように、何の前触れもなく、あっけなく失点するシーンが増えている。試合前、マリヤン・プシュニク監督は、全員が連動して戦うことの必要性を説いていたが、ひとつのミスや隙が、そのまま失点に直結するシーンを繰り返す福岡には、チームとして互いに助け合うという姿勢は感じられず、リスク管理という点において大きな問題を抱えていると言わざるを得ない。攻撃的なサッカーを志向する福岡だが、中途半端に攻撃を終わらせないのもリスク管理なら、常にアラートさを保って味方のミスに備えるのもリスク管理。そのいずれも持ち合わせていないのであれば失点が減ることはない。直近の4試合での18失点は、メンタルや調子云々の問題ではなく、必然と言えるものだ。

結果が出ている時には誰でもいいプレーが出来る。一方、結果が出ていない時に本当の姿が現れる。残り試合は9。福岡は本当に変われたのか。その真価が問われる戦いは続く。

以上

2013.09.16 Reported by 中倉一志
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