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【J2:第33節 熊本 vs 東京V】プレビュー:天皇杯でともに激闘を制した熊本と東京V。リーグ戦残り10試合にかける双方にとって、サイドの攻防が主導権を握る鍵(13.09.16)

再試合となった第31節の北九州戦、そして徳島を迎えた天皇杯2回戦に続くホーム3連戦をしめくくる今節、熊本は現在11位の東京Vをうまスタに迎える。

先週行われた天皇杯は延長まで含めた120分で決着がつかず、PK戦の末、ホームでは実に4カ月ぶりとなる勝利を挙げた。なかなか勝てない状況にある中での勝利は、確かにチームに力を与えるもの。しかし勘違いしてはいけないのは、リーグ戦における状況は何も変わっていないということだ。今週のトレーニングでは若干弛みの見られた雰囲気を感じ取った池谷友良監督が練習を中断して選手たちを集め、厳しい言葉をかける場面が見られた。
「集中しようとか、頑張ろうとか。そういうのは当たり前の話であって、個々がもっとこだわりをもって1つ1つのプレーをやらなきゃいけない。試合の中ではミスはカバーし合わないといけないけど、練習から『いいよいいよ』では困る。もっと要求し合って、つまらないミスがあれば厳しく言わないと。全体的にぬるいまま、緊張感や危機感がなければ、上手くもならないし強くもならない」。手綱を締め直した意図をそう明かした。

対する東京Vは前節、岐阜を2-1で下して連敗を3でストップ。また天皇杯2回戦ではリーグで好調の長崎に3-2で逆転勝ちしており、リーグ戦にも明るい兆しが見え始めている。特にこの2試合で3得点の巻誠一郎が攻撃を牽引。チームとしてもともと持っている個の技術の高さに、タイトに激しく戦うという要素を加味する働きで、「チームにもたらす影響も非常に大きくなってくるんじゃないかと思う」と三浦泰年監督も期待を寄せる。
一方で、第19節以降、14試合連続で失点が続いているのが小さくない問題。第32節・岐阜戦では2点リードの状態から精神的な弛みが出たのか、下げるボールを奪われて安易な形で1点を失った。こうしたイージーなミスをなくしていくことも、残り10試合でJ1昇格プレーオフ出場圏内に食い込んでいくには修正しなければいけない課題だ。

熊本は3-4-3、東京Vは3-5-2と、中盤から前の並びが若干異なるが、ともに3バックのシステムを採っている点を踏まえると、この試合ではサイドのスペースでいかに優位に立てるかが大きなポイントとなる。特にここ数試合の東京Vの得点が左右のクロスから生まれていることもあり、熊本としては両サイドの小池純輝と森勇介をしっかり抑え込む必要がある。
「対面を1人ではカバーできない場面が出てくるから、近くの選手と連携して、1人ではなくてグループとして対応したい」と片山奨典が言えば、「守備のときの相手の受け渡しとか、DFとうまくコミュニケーションを取ることが大事」と大迫希も話し、組織としての対応を整えた上で、1対1の勝負で負けないことが求められるだろう。ゴール前に巻や常盤聡など決定的な仕事ができる選手が前で構えているため、中でしっかりと跳ね返すことはもちろんだが、できるだけそこへの出どころ、飯尾一慶と西紀寛、そして鈴木惇ら、ボールに対してしっかりと寄せ、自由にさせないことで失点のリスクを減らしたい。スムーズな切り替えから攻撃につなげる上でも、ボールへの積極的なアプローチで「奪いにいく守備」(池谷監督)を表現できるかが問われる。クロスに対してファーからも入ってくるケースも多いことから、「人数が足りている状況にするだけでなく、人をしっかり見ること」(青木良太)も不可欠となる。

最近のゲームと比べると、おそらく自分たちがボールを保持できる時間は少なくなる可能性が高い。しかし「(相手のシステムが)変則的だっていうことは、どこかに穴がある」(養父雄仁)。攻撃では鈴木の両脇や3バックの横のスペースを上手く使いながら、いち早くその「穴」を見つけて突きたいところ。熊本にとってはゴール前、攻撃の最後の1/3の精度やアイデアが課題となっているが、相手が整っていない状況であれば思い切った仕掛けも有効になるはず。スペースでボールを受けたあと、怖がらずに前を向いてゴールを目指していけるかも重要になってくる。そうした形を織り交ぜることで攻撃のバリエーションを増やせるかにも注目したい。
「(東京Vは)個の技術もしっかりしているけど、つけ入る隙はある。リスペクトしすぎると押し込まれる。自信を持って戦いたい」と池谷監督は結んだ。序盤に押し込まれることがあっても、しっかり落ち着いてマネジメントできれば、自分たちがペースを握る時間は必ず訪れる。勝敗が決するのは90分を戦い抜いたあと。冷静にコントロールして、8試合ぶりの勝点3を手にできるか。

以上

2013.09.15 Reported by 井芹貴志
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