前節、アウェイで東京Vに敗れた愛媛は3連敗。順位を18位まで下げてしまった。その愛媛がホームで迎える相手は13位の札幌。愛媛とは逆に直近の5試合で3勝1分1敗と勝点を伸ばし、順位を上げてきた。前節の横浜FC戦でも開始10分で2点を奪い早々と勝負を決め、勢いを保ったままニンジニアスタジアムにやってくる。札幌はこのニンスタで連敗中だが、そんな過去とは無縁の若手も多い。
札幌U-18出身でトップチームでも活躍した愛媛の石井謙伍は「僕がいた頃とはガラッと変わって若い選手がスタメンに多い。札幌U-18からトップに上がった選手が頑張っていることは誇らしいけれど、勢いに乗ると怖い存在」と、荒野拓馬や深井一希ら伸び盛りの選手たちを警戒する。それに加えて「仲のいい岡本賢明が調子がよくて点を取っている。裏を取ることが上手い選手だし、足元の技術もあるので注意したい。それに上里(一将)選手や砂川(誠)選手との対戦も楽しみ」と中堅、ベテランの名を挙げたが、若くて勢いのあるチームを引き締める経験豊富な選手がいることも札幌の強み。世代交代を進めながら結果も伴いはじめたことが、特に若い選手たちには自信にもつながり、チーム全体の勢いにもなっている。
その札幌に、愛媛はどのように立ち向かうのか。河原和寿は「勝つためには一人ひとりが今まで以上のパワーを出さないと。そのためにはハードワークが必要になる」と指摘するが、やはり札幌戦で問われるのはチームの原点であるハードワークになるだろう。特に札幌は最後まで粘り強く戦い抜くチームだけに、走り勝つことは勝利への大前提になる。そうすることで中盤で優位な状況を作り、ピッチの幅を広く使う愛媛のサッカーで主導権を握ることもできる。その原点をどこまで表現できるか。その上で自分たちのサッカーを90分間の中でより長い時間展開して、勝利に近づくことができるか。
さらに愛媛は連敗中という心理状況も考えれば、先手を取ることで自信を取り戻したい。連敗中は後半の失点で勝点を失っているが、先手が取れれば守備にも余裕が生まれる。チームに好循環をもたらすものはゴールしかなく、そのために愛媛としてはまず前半の45分を慎重かつ大胆に乗り切ることが求められるだろう。また、現在は今季2度目の3連敗中だが、連敗をこれ以上長引かせると昨シーズンのように長いトンネルにもぐりこみかねない。過去の経験を生かし、悪循環を断ち切るチームに生まれ変われるかどうかが試される時期で、その点でこの札幌戦は愛媛の今シーズンにおいて重要なゲームのひとつになるだろう。
そのためには、若い選手たちの活躍も不可欠。今節対戦する札幌と比較しても、愛媛は若い選手たちにチームを変えるだけのパワーが不足している。途中出場でゴールに絡み徐々に頭角をあらわしてきた松本翔や、ケガから復帰した伊藤優汰など、彼らがスタメンの座を奪い取るパフォーマンスを示すことができれば、逆に愛媛はここから伸びていけるチーム。札幌戦を、そのきっかけにしたい。
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2013.06.07 Reported by 近藤義博