★【NON STOP J2】 -J2のススメ- 紹介選手一覧
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名古屋では196試合に出場してキャプテンも務め、2010シーズンにはJ1でリーグチャンピオンにも輝いた吉村圭司が愛媛に帰ってきた。
出身は高知県だが、吉村は高校時代を愛媛ユースで過ごした。親元を離れ、サッカー漬けの毎日を送った3年間。当時、第77回天皇杯全日本サッカー選手権大会ではアローズ北陸を下し、高校生のチームがはじめて社会人チームを破るという快挙も成し遂げた。吉村にとっては青春の思い出が詰まった場所。その愛媛のユニフォームは当時のブルーからオレンジに色を変えたが、吉村は16年の時を経て、再びキャプテンマークを巻きチームをリードする立場に立った。
時を同じくして、愛媛は今シーズンから石丸清隆新監督を迎えた。パスサッカーを掲げる新指揮官のもと、自ずと吉村がプレーするボランチのポジションは重要になってくる。ただ、これまでの愛媛にとって、どちらかといえばボランチはウィークポイントだった。しかし村上巧が「圭司さんとアンテ(トミッチ)を差し置いて試合に出られれば自信になる。高いレベルで競争できる環境にあるし、充実している」と語るように、今シーズンの愛媛はボランチを軸にしたポゼッションやピッチの幅を使ったサイド攻撃がチームの強みになりつつある。
その中で赤井秀一は「つなぎの中で、落ち着いてボールをさばいてくれる。攻守のバランスを取ってくれる選手」と、吉村の安定したプレーに一目を置く。さらにボランチでパートナー役の村上は「ゲームの流れを変えることができる選手。試合中にも、もっとこうしたら、とか状況を判断して試合の中で修正できる能力がある」と、その経験とリーダーシップを頼りにしている。チームに加入したばかりのキャプテンだが、その影響力はシーズンが進むにつれて次第に大きなものとなっている。
もちろん「チームが結果を残せていないし、残していきたい」と吉村本人は課題を持ちつつ、日々トレーニングに臨んでいる。中でも「守備から攻撃の切り替えを速くしないと」と語るように、得点力のアップはチームの課題。今シーズンの愛媛は自分たちのスタイルを出しながら、得点を決められず勝点を失うゲームが目立っている。しかし愛媛には松本翔や重松健太郎、伊藤優汰ら成長が期待される若手の攻撃陣も多い。徐々にコンディションを上げてきた彼らとコミュニケーションを深め、攻撃のアイデアを増やしていけるか。今後、その中心にいるのもやはり吉村になるだろう。
ピッチの上では責任のあるプレーをし、ピッチを離れてもベテランから若手まで自ら積極的に声をかけてチームを引っ張るキャプテン。J1で頂点を極めた選手が、地方のJ2クラブにどんな変化をもたらすのか。自身も「愛媛に来たことでまた新しい経験を積めると思うし、人間としても選手としてもまだまだ成長したい」と貪欲。上を目指し続けるキャプテンと、這い上がるために走り続ける愛媛の6月に注目して欲しい。
以上
2013.06.03 Reported by 近藤義博