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【J2:第16節 岡山 vs 熊本】レポート:勢い、自在、統制を見せて、岡山を圧した熊本。岡山は89分から2点を返すが、それまでの「88分間」を取り戻せず。(13.05.27)

ゲームの最後に、誕生から20周年を迎えたJリーグの成熟にふさわしいシーンがあった。熊本に3点のリードを許した岡山が、FW押谷祐樹の2つのゴールで1点差に詰め寄った後半アディショナルタイム、熊本のGK南雄太が他の選手と交錯してピッチに肩から落下した。心配する両チームの選手たちに囲まれながら、南は立ち上がることが出来ない。そんな場面で、1秒でも早く攻撃を続けたかった岡山のサポーターから巻き起こったのは、ブーイングではなく、南へのコールだった。試合終了後、熊本の選手はコールと拍手をくれた岡山のサポーターに挨拶に行った。熊本は一昨年、鳥栖のJ1昇格の際に祝福の横断幕を掲げた、他者へのリスペクトのあるクラブ、サポーターだ。だが、岡山も引けを取らない。岡山は熊本の選手に拍手を送り、選手とサポーターによって美しいシーンが作り出された。

対戦前の先週、岡山・影山雅永監督は熊本のサッカーについて、「攻守において小気味のいいテンポがある」と話していた。はたして、「昨年からそれほどメンバーは代わっていないのに、スタイルはがらりと変わった」(影山監督)ところを熊本は存分に見せつけた。立ち上がりから勢いのある攻撃を仕掛け、個々のバトルも激しい。その中でも第11節・札幌戦以来、左SHのポジションに入ったMF仲間隼斗が中盤で効いていた。「とくに仲間はアウトサイドで守備が出来るので、そういう選手を使って(ボールを動かしてくる)岡山の良さを出させないようにしました」と吉田靖監督。

攻守の切り替えの早さは当然として、セカンドボールの大半をマイボールにしたのが熊本。スライディングで止めにかかっても、スライディングで奪いにくる熊本は、奪った後、統制の取れた組み立てをして各選手がワンタッチでボールを動かす。テンポの速い、自在な攻撃を作り出し、21分、左SB片山奨典がセカンドボールを拾って仲間に渡すと、仲間が岡山の選手を何度もかわしてコースに持ち込みシュート、ゴール。先制点を見事な形で決めた。岡山はFW押谷祐樹の個人技の仕掛けはあったものの、ボランチからのパスを抑えられた状態で、前半は熊本に圧されたまま終わった。

後半、岡山は押谷とFW荒田智之を2トップにして、熊本のCBからの縦のボールにも対応する形を取る。しかし48分、右サイドを突破したFW齊藤和樹がクロスを上げると、ファビオが合わせてシュート。これをGK中林洋次が弾き、詰めていた仲間がこぼれ球をきっちりと押し込み、2点目を挙げる。焦燥感にとらわれた岡山を翻弄するように、攻撃の手を緩めない熊本。65分にはゴール前に持ち込んだ仲間が齊籐にパスを送り、さらなる追加点で3−0にする。

岡山がFW三村真、FW久木田紳吾の2枚を投入したのが75分。三村の仕掛けが効き始め、また、DF植田龍仁朗がイエローをもらったためDF近藤徹志を入れて、DF後藤圭太を前線に上げたことで、岡山の攻撃がようやく活気づく。89分、右サイドを上がったMF石原崇兆が左にいた久木田に送り、久木田からのクロスを押谷が決めて1点を返すと、その2分後の後半アディショナルタイム、カウンターから三村が後藤につなぎ、右サイドをフリーで走り込んできた押谷にラストパス。押谷の2点目が決まる。しかし後半終了間際の岡山の反撃はここまでとなった。

昨年8月5日、熊本戦から始まった岡山のホーム無敗記録の更新は、熊本によって阻まれ「15」でストップした。しかし悔しさと学びの多い敗戦はきっとこれからの戦いに勝点3以上の意味をもたらす。熊本にとっては3連勝の後を1分、1敗、1勝で進み、次節、福岡とのダービーマッチが真価を問われるゲームとなるだろう。

以上

2013.05.27 Reported by 尾原千明
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