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【ヤマザキナビスコカップ 湘南 vs 川崎F】プレビュー:自分たちのよさを結果に映すのはどちらか。好戦必死の「SKYシリーズ」(13.05.21)

振り返れば、第10節アウェイ鹿島戦に求められようか。0−1で敗れながらも、けっして相手に引けを取る内容ではなかった。そうして続くF東京戦では先制し、追いつかれてなお逆転してリーグ戦今季2勝目を掴んだ。週中のヤマザキナビスコカップ第6節・清水戦も同様だ。早々に先制し、無失点勝利を収めた。先週末は敗れこそすれ、首位の大宮を相手にどちらに転んでもおかしくないだけの拮抗勝負を演じた。遅れし春は成長が大前提の彼らゆえ。けれど確実に、培ってきた戦いが芽吹きつつある。

とりわけたくましさを覚えたのは、1−0で勝利した清水との一戦だ。武富孝介のボール奪取を機に、大槻周平がキックオフ間もない8分に先制ゴールを決めた。前からの守備がいかに機能していたかは、以降も続いた相手のパスミスにもその一端が窺えよう。「何もない」という曹貴裁監督のハーフタイムコメントは、彼らのパフォーマンスをそのままに示している。出場に飢えていたメンバーの多いなかにあって、日頃のミーティングの内容を選手たちが等しく受け止め、ピッチにしかと映し出したことを指揮官も後日あらためて讃えたものだった。

さらに大宮戦では新たな展開も見られた。先制を許して間もなく大野和成のゴールによってすかさず追いつき、ゲームを振り出しに戻して、笛が鳴るまで行方の知れぬ戦いに持ち込んだ。自分たちにも、また相手にも決定機はあった。「今日の試合、面白かったね。ベルマーレの選手も頑張ってたね」と帰る道々、大宮サポーターの小さな子が興奮気味に話していたと聞く。味方同様に相手サポーターからも浴びた拍手は、死力を尽くした選手たちにとって、またプロスポーツとしてのサッカーの意味を希求するクラブにとって、最大級の賛辞と言えるだろう。

さりとて選手たちは、まだまだだと口々に言う。たとえば大宮戦で3バックの中央としてフル出場した下村東美は、「相手のよさを消し、自分たちのよさを出すことができてきた」と語りつつ、「ミスが増えた後半の時間帯のゲーム運びは今後大事になると思う」と課題に目を向けた。GK阿部伸行も、「終盤の戦い方はひとつ課題だと思う。個人的にもまったく満足はない」と、つねと変わらず引き締めた。選手たちの可能性は無限大だと、かつて曹監督が語った言葉と照らしても、彼らの先はいい意味でまだまだ遠かろう。そして、そんなまだまだの途上で、選手たち自身の判断力はたしかにその幹を太くしているに違いない。

今季2度目となる対戦にも、たしかな歩みを刻むことができるだろうか。ヤマザキナビスコカップ第7節、湘南は川崎Fをホームに迎える。前節はリーグ首位の大宮を降し、結果、Aグループ2位に浮上した。今節勝利すれば、3位の磐田の結果を待たずして決勝トーナメント進出が決まる。加えて彼らはリーグ戦も好調だ。先週末には磐田を4−2で破るなど、5月に入ってリーグ戦3勝1分負けなしと波に乗る。今節もその鼻息は荒いに違いない。

湘南の決勝トーナメントへの道はすでに断たれてはいる。しかし、「みんなが同じ方向、勝利に向かって勝つことができた」と大槻が清水戦を振り返ったように、目の前の勝点3を求め、注ぐことに変わりはない。転じて、雨のなか行なわれた4月のリーグ戦では、高山薫のゴールによって湘南が終盤先にスコアを動かし、かたや川崎Fもパトリックがゴールを沈めてドロー決着した。今季2度目の勝負の行方やいかに。意気高い両者の「SKYシリーズ」に、今節も好ゲームの予感が漂う。

以上

2013.05.21 Reported by 隈元大吾
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